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Wizard//Magica Wish −3−

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「あぁ~腑に落ちねぇ…」

「なによ、杏子。まだそんなこと言っているの?」

「まさか私が不在の時にウィザードが現れてそんなことあったなんてねぇ。しかもウィザードの正体があの時の子だったなんて」


さやか、杏子、マミの三人は私服姿で街角のオープンカフェにいた。
もちろん、ただ遊んでいるだけではなく、巡回も兼用してのことである。


「杏子、あれからあいつに会ったの?」

「いや、全く姿を見せなくなったなぁ。それともどこかで倒れてるか…」

「あんまり怖いこと言わないの。…でもウィザードの正体が同じ人間…しかも私達とそこまで歳が変わらない男の子だったなんて。私達が倒した魔女といい、謎は深まるばかりね」

「まどか は必死にあいつのこと庇うけどさぁ~私にはどうも陽気でマイパースなお調子者にしか見えないのよねぇ。マミさん、あぁいうのほっといたら危険だからいっそのこと捕まえて目的洗いざらい吐かせちゃいません?」

「馬鹿!!そんなことしても何の意味もねぇだろ!!同じ人間だぞ!!」

「ど、どうしたのよ杏子。らしくないわねぇ」

「あ、あぁ!?いや…まぁあいつが私達の『命』狙ってることには変わりないんだけど、さ…。あ、そういや さやか。今日はお見舞行かなくていいのか?」

「あ、えっと…今日は、ほら、仁美がいるみたいだから、いいんだよ…うん」

「別に良いじゃねぇか、その上条って奴の彼女が居ても」
「…佐倉さん、ちょっと…」
「なんだよ、マミ…あ…」


「え?あ、いやそんな気にしなくて良いですよマミさん!ははっ…全く、私もらしくないなぁ…あ、すいません!ショートケーキください!!」


(もう、今度から気をつけなさいよ。佐倉さん)
(わ、悪ぃ…こういうの、よくわかんなくって…へへっ)
(けど、美樹さんも強いわよねぇ…上条君のためにキュウベぇに願いを叶えてもらって、思いを伝えるために頑張ったんだけど…結局上条君は…)
(あぁ、さやか と まどかの親友の仁美って奴に先越されたんだろ?)
(えぇ…本人は逆に吹っ切れた!って言ってたけどね…)


無理やりテンションを上げてケーキを美味しそうに食べる さやか に二人はどのような表情をしてあげればよいかわからなかった。
そんな中、どこからともなくひょっこりとキュウベぇが現れた。


「やぁみんな、あれ、今日は まどか は一緒じゃないのかい?」

「キュウベぇ、あんたがいない間いろんなことがあったのよ」

「色々な事?ウィザード絡みのことかい?」

「そうよ、けど暁美さんがだいぶ弱らせていたみたいだけど…」

「そういえば、今朝も暁美ほむらがウィザードを襲っていたみたいだったね、まぁ全部返り討ちにあって終わったみたいだけど」

「な、何!近くにハルトがいるのか!!?」


杏子がハルトの姿を見たと聞いた瞬間、座っていられなくなりキュウベぇを勢いよく掴み上げた。流石のキュウベぇもいきなりの出来事だったので若干焦った。それほど杏子の豹変振りに驚かせられたのだろう。


「ど、どうしたんだい杏子?とりあえず下ろして」
「最後、最後はどこで見かけたんだ!!?」
「えぇっと、たしかこの近くの図書館の近くで」
「わかった!悪いマミ、さやか!私ちょっくら行ってくる!!」

「え、ちょっと杏子!」
「一体どうしたのかしら…?」


「全く、最近僕の扱いが雑になってないかい?」




杏子は走った。
キュウベぇの証言を頼りに道端にいる人に聞きながら図書館を目指した。
何故、自分がハルトの元に向かっているのかはわからない。
ただほおっておく事はできなかった。
先程、冗談混じりで道端で倒れている…なんて発言したが、冗談では済まない事態になっているかもしれない。現に暁美 ほむら が彼の命を狙っているのだ。
そう考えてしまうと黙ってはいられなかったのだ。


「はぁっはぁっ…ここか」

杏子は図書館の中へと入る。
沢山の人がいたが、各々書物を手に取り自分の世界へ浸っているため、静かな空気だった。もちろん、杏子は本にはあまり興味がないため、その場の空気に馴染めなかった。
しかし彼女の目的は本を読むためにここへ来た訳ではない。ハルトを探すためだ。
数々の本棚の間を探す。しかし彼の姿は現れない。
探す…
探す…

しかし、彼の姿は見当たらない。
そもそも、必ずしもここにいるとは限らない。
もう、どこかへ去ってしまった可能性だってある。いや、そちらのほうが大きい。


「ここに来れば、また会えるって思ったんだけどなぁ…」

「あれ…杏子ちゃん?」

「っ!!ハルト、…ハルトか!?」


後ろに振り向いた。
そこには、ソファに寝ていたハルトの姿があった。
今、杏子がいるのは図書館の最深部、なにやら難しい本が沢山あるスペースだ。
流石に最深部のため、周りには自分達二人以外の姿はなかった。

ソファは窓際に置かれていて窓の奥には3本の植木と小さな噴水がある。周りは壁に囲まれていて空からの光が水面に映し出されている。

杏子は何気なくハルトの横に座り、懐からポテトスティックを取り出した。
ぽりっぽりっとポテトスティックを食べる音がその場に鳴り響く。


「杏子ちゃん、ここ飲食禁止だよ?」

「バレなきゃ何やったっていいんだよ」

「ははっ、今日は襲ってこないの?」

「それ、あたしのセリフ。今日はソウルジェム取りに来ないのかよ」

「ちょっと最近魔力を多く使いすぎてね、今は戦える気力がないんだよ。だからこうやってゆっくり寝て、体を休ませてるの」

「やっぱりお前、その右手の中指に付けてる指輪、他人のソウルジェムだろ」

「そうだよ、俺はインキュ…キュウベぇとは契約していない、ただの人間だよ。こうやって他人のソウルジェムを使ってウィザードに変身して戦っているってわけ。ただ魔法を使う分、体に凄い反動がくるんだけどね」

「そっか、それでいつも寝たりしてんのか」



「あれ?杏子ちゃんに…ハルトくん?」


「あ、まどかちゃん」
「まどか!そのっ大丈夫なのか?」

偶然にも、本を返しにきた まどか が二人と合流を果たした。




作品名:Wizard//Magica Wish −3− 作家名:a-o-w