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Wizard//Magica Wish −3−

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「ここね…」


丁度 まどか が二人と出会った時、図書館の入口でソウルジェムを光らせていた ほむら の姿があった。ソウルジェムをレーダー変わりにしてハルトの後を追っていたのだ。


「今度こそ、終わらせて…っ。」

「あら、ごめんなさい。お怪我はないかしら?」

「いえ、大丈夫です。こちらこそ御免なさい」


図書館に入ろうとした瞬間、ほむら は自分より背が高い自分と同じ長い黒髪の女性にぶつかってしまった。ほむら は軽く頭を下げ、そのまま図書館の中へと入っていった。
その長い黒髪の女性は何故か ほむら の後ろ姿をじっと見続けていた。


「あの子、魔法少女ね…あの時、路地裏にいた子達とは別のようだけど…まぁ良いわ」


そのまま、長い黒髪の女性は何処かへと去っていった…。


・・・


「パパに相談したら、ちょっと吹っ切れたっていうか、気が楽になったんだ。心配かけてごめんね、杏子ちゃん」

「気にすんな!あと さやか とマミにもちょっと元気になった顔見せてやれよ?」

「うん!」

「なんだか杏子ちゃんってお姉ちゃんみたいだね」

「あ、あぁ…そうだろ!ははっ」


どうやら まどか は本を返し終えた後、聞いた事のある声をたどってここへ辿り着いたらしい。3人はソファに座り、平穏な時間を過ごしていた。


「そういえば、なんで まどかちゃんは落ち込んでいたの?何か嫌なことでもあった?」

「馬鹿っお前絡みの事だよ!!」

「えっ、俺?」

「あ、杏子ちゃん…」

「なんだ、俺の事で落ち込んでたんだ。別に俺の事なんて気にしなくても良いのに」

「気にしないって…ちょっとは自分の事気にしてよ!本当にハルトくんのことも心配だったんだから…」

「本当に まどかちゃんは優しいなぁ…俺なんて、他人に好かれること何一つやってないんだよ?」

「でも、…その、ソウルジェムの件だって、ハルトくんは欲しいだけって言っているけど、私にはそうは思えないんだよ。なにかあって、やってるんじゃないかって」
「あたしも同じだ!やっぱりお前は何か隠してんだろ!いい加減教えろよ!」

「そうだなぁ…しいて言えば…なんて言えば良いか…」




ハルトは考えこんだ。
腕を組み、中を見つめる。

そして、考え抜いた言葉を、二人に話した。


「俺は、皆の絶望を集めているだけ」


「…は?」
「えぇ~っと…どういうことかな?」

「まぁ、そうなるよね。あんましはっきり言えないけど、魔法少女になるって、結構辛い事じゃない?だから、俺はソウルジェムを集めているの」

(流石に、この子達にはあの『真実』を知る段階は早いよね…インキュベーターもまだ話してないみたいだし、『魔女』の正体も知らないみたいだし。)

「でも…その絶望を集めて、ハルトくんには何があるの?なにか見返りや…希望があるの?」

「ま、まどか…」



「希望?…ははっそんなのないよ」

「え?」

「俺はもう、とっくの昔に『絶望』しきっているから」




「え…」

「ハル…ト…」


彼の口から出た言葉。
何の他愛もない言葉だが、二人の心に大きく染み込んだ。

ハルトは、希望を持っていなかった。
希望すら持たない状態で、毎日を過ごしている。
では、彼は何を頼りに生きているのか、何のために戦っているのか。

一体、何のために彼はソウルジェムを集めているのか。
彼ははっきりと話してくれない。

けど、まどか には何をすれば良いのか、少しだけ理解できた。


彼には、必要なのだ。
そう、彼には…



「だったら、私が!」


「どうした、まどか?」
「ん?」

「私が、ハルトくんの…私があなたの希望になる!」


まどか の声が図書館中に響き渡った。
それほど彼女が大きな声を出したというのだ。
次の瞬間、自分がどれだけ恥ずかしい言葉をいったのか理解したらしく、一瞬で顔が真っ赤になっていった。


「おぉ!愛の告白かぁ!?」

「ま、まどかちゃん、流石に照れるなぁ…」

「え、違っ!違うよ二人共!!」


まどか は焦りながら訂正するが、二人は大笑いし、一瞬だけ自分の失態を後悔してしまった。だが、ハルトにとっては久しぶりに良い気持ちになれた一言だったのだ。


「希望になる…か」


俺にも、まだ…希望はあるみたいだな。



「それは違うわよ?鹿目まどか」


「え?」
「ほ、ほむらちゃん!?」


ふと、聞きなれた声が横から聞こえてきた。
そこには、右手に拳銃を構えた魔法少女の姿の暁美ほむら が立っていた。

「お前、ここでドンパチする気か!?」

「そいつを…ウィザードさえ倒すことさえ出来れば、これぐらい最小限の規模よ…それに、鹿目まどか、あなたは勘違いしている」

「ち、違うよ ほむらちゃん!さっきのは愛の告白とかそういう類ではなくって…」
「そっちじゃないわ」
「あ、ごめんなさい…」

「ウィザード…操真 ハルトはいずれ、この世に生きる全ての人間に『絶望』をもたらす存在になるわ。彼に希望があるなんてこと、ないのよ」


「相変わらず俺には厳しいね、ほむらちゃん」

「悪く思わないで頂戴、ここであなたが消えれば、全て綺麗に収まるのだから…っ!!」


ほむら は拳銃を構え、今にも引き金を引く寸前だった。
しかし、その前に一つの閃光がほむら目掛けて走っていたのだ。


「っ!なんのつもりかしら、佐倉 杏子」

「わるいな、やっぱり こいつを消すっていうのは納得いかなくてね」

「杏子ちゃん!」


ほむら の首筋に、槍の先端が突きつけられた。
あと一ミリでも動けば喉を切られただでは済まないだろう。

杏子は魔法少女に変身し、ほむら を静止させたのだ。


「まどか!ハルト!こいつはあたしが相手する!!お前達二人はどっか遠くへ逃げるんだ!!」
「で、でも…」
「知っている人に脅そうとしたぐらいでビービー泣く奴に何ができるんだっ!!…ほら、まどかこれ持ってけ」


杏子は空いた片手で食べかけのポテトスティックを投げた。まどか は上手くキャッチし、再び杏子の顔を見た。その表情は まどか を落ちつかせようと気遣いをする優しい笑顔だった。


「安心しろ、別に殺そうって気はないよ。それ食べてちょっとは落ち着け!」

「杏子ちゃん…」
「ありがとう、杏子ちゃん。行こう、まどかちゃん」


二人は図書館の出口へと向かい走っていった。

静寂な空間に取り残された杏子と ほむら。
お互い、ピクリとも動かないまま時間だけが過ぎていく。


「…佐倉 杏子。こんな事をしても何の意味はないわ。今すぐそれをおろしなさい」

「へっ!…確かに、ハルトは私達にとって最悪の存在かもしれないな。けど、いくら考えても、あいつ自身をどうも憎めなくなってさぁ…本当、何だろうなぁ…不思議な奴だよ」

「今、ウィザードを倒さないと他の魔法少女達のソウルジェムが奪われる事態になるわ。あなたはそれで良いの?」

「良い訳ねぇだろ!…もし、そんな時が来るなら、あたしが責任もってあいつを止めてみせるよ」


「本当に…あなたは愚かね……そんな事、出来ないくせに」
「えっ…」

作品名:Wizard//Magica Wish −3− 作家名:a-o-w