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こらぼでほすと 年末風景4

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 レイのほうは、ちょっと違う。これからの数年を、自分のやりたいことに費やしたいと思っている。もちろん、キラの提唱する平和な世界は、レイも望むものだが、確立されるまで手伝える時間はない。だから、そこは折り合いをつけて、自分ができることを手伝うつもりだ。先の時間が短くなったら、シンにも事実を告げるつもりだが、今は、まだ言いたくない。
「俺は、キラさんも心配だが、ママも心配だ。だから、こっちに残るかもしれない。」
「確かにな、それなら、とーさんのことも頼むぜ、レイ。」
「わかった。・・・・とりあえず、アカデミーを卒業してからだ。」
「俺、ちゃんと卒業できるかなあ。」
「なんとかなるさ。ザフトレッドの意地を見せろ。」
「おうっっ。」
 まだ、少し先だが、と、レイは内心で呟く。いつか、本当のことを話さなければならない。その時、シンが、どんな顔をするのか気にはなる。親友なのに、どうして話してくれなかったんだ、と、詰られるのかもしれないと予想している。
「おまちどーさん。シン、勝負しようぜっっ。」
 ようやく、悟空が追い着いてきた。
「ねーさんは? 」
「あっちの流れるプールで、さんぞーとリジェネと浮いてるから大丈夫だ。レイ、審判やって。」
 悟空の指差した方向に、大きな浮き輪で浮いて流れている三人が居る。それなら、大丈夫だろう、と、レイは悟空たちと、競泳用のプールへ向かった。



 ようやく、のんびりとした大晦日の朝だ。ドタバタと忙しかった忘年会やら大掃除が終わってしまうと、トダカ家は静かなものだ。アマギ以下三名が居残り滞在しているが、それもいつものことだから、どうということもないし、ニールも里だと朝寝坊するクセがついてしまった。
 起きたら、誰もいないのが、毎日のことだ。欠伸しつつ、朝の支度をして居間に顔を出すと、のんびりと、テレビなんかがついているし、適当に人間が座っていて好きなことをしている。トダカはニュースパックの鑑賞をしていた。
「おはよう、娘さん。」
「おはようございます、トダカさん。」
 その声で客間のほうからレイが顔を出す。どうも、レイがニールの食事管理をしているらしく、きっちりと食事が用意される。本日は、軽めのパン粥だった。リジェネが興味津々で、それを眺めているので、少し相伴させてやる。居間と台所はくっついているから、食事しつつトダカに本日の予定を確認する。
「何時に出かけるんですか? 」
「一時前だ。ゆっくり食事するなら、昼時は外したほうがいいんだ。」
「じゃあ、アマギさんたちの食事の準備はしておいたほうがいいですね。」
「そんなに甘やかさなくていいよ、娘さん。アマギたちも、買出しに出るから、外で食べるさ。そうだろ? アマギ。」
 同じようにソファで、ニュースパックを観ていたアマギに、トダカが、そう言うと、ええ、と、いう返事だ。
「年越しの蕎麦とか飲み物やらの買出しに出るんだ。だから、食事のほうはいい。どうせ、きみらを送るつもりだから。」
「いや、五人ならクルマで行きますよ、アマギさん。俺、運転できるし。」
「はあ? ニール、きみ、運転禁止だろ? 帰りも迎えに行くから、問題はないぞ。」
「もう、治ったんだから、いいですよ。みんな、飲むけど、俺は飲まないんだから。」
 五人なら、トダカのクルマに全員が乗り込める算段だ。だから、ニールは、そう提案したのだが、アマギも退かない。ついてに、レイが、「ママ? 」 と、ニールの顔を覗きこむ。
「ん? 」
「お里帰りなんだから、ママは親衛隊をこき使ってもいいんですよ? 」
「いやいや、レイ。俺は、トダカさんじゃないからさ。」
「まだ、運転なんて以ての外です。いくら右目の視力が戻ったと言っても完全じゃないんだし、帰りは疲れるかもしれない。」
「食事ぐらいで疲れないよ。おまえさん、年々、八戒さんみたいになってくけど、もう治ったから心配ないって。」
「厳しくなるのは、ママが無自覚だからです。今夜、年越ししてオーナーのところへ移動するんだから、体力を温存するのは基本です。・・・年越しして初詣に出かけて、それから移動です。どう考えても疲れるでしょう。」
 レイの言う通り、今夜、年明けしたら歌姫様の本宅へ移動する予定だ。それまで、トダカ家の年越し行事に参加するのだから、あまり疲れてもらっては困るのだ。
「ニール、レイの言う通りだ。きみは、お里帰りしてるんだから、好きにしてればいい。まあ、こき使ってもらっても構わないんだ。どうせ、きみがすることは、我らも考えることだからな。」
 だいたい、ニールがすることなんていうのは、トダカやシン、レイ、親衛隊のためなので、里で休養させたいトダカの意図としては、その部分は親衛隊が肩代わりしてくれ、と、思っている。
「そうそう、送迎は我らの仕事だ。横取りされては困るぞ? 」
「トダカさんと一緒できる時間を奪うのはやめてくれ。」
 他の親衛隊も、そう言って笑っている。なんせ、トダカはニールたち子供と一緒に居ると、とても楽しそうに笑うのだ。その笑顔は、親衛隊にはレアな表情だから、是非とも拝みたいものだ。
「娘さん。お父さんと一緒に送ってもらおう。きみも少しぐらい飲めばいいよ。お祝いなんだから。」
「その場で寝ますよ? 俺。」
「そうなったら、シンとレイで担いで連れ帰るさ。・・・いや、起きるまで寝顔鑑賞してもいいな。どうだい? レイ、シン、ニールの寝顔を肴に呑まないか? 」
「寝顔鑑賞? ねーさんの顔なんか見ても、なんも思わないなあ。」
「ママが風邪引きませんか? トダカさん。」
「そうかな? 結構、可愛いんだよ。寝言言ったり、なんか笑ったり眉間に皺を寄せたり、ちょこちょこと表情が変わるんだ。」
「はい? 」
 トダカは、ニールが寂しくないように、と、トダカ家に居る時は、昼寝中も傍についていたり、様子を見に何度も部屋に入る。だから、ちょこまかと表情を変えているのを鑑賞しているのだそうだ。
「子供みたいに寝ているんだよ? 娘さん。知らないだろ? 」
「ちょっ、ちょっと、トダカさん? 」
「きみの亭主や間男も鑑賞してるんじゃないかなあ。あははははは。」
「いやいや、それはないでしょう。・・・てか、俺、寝言言ってるんですか? 」
「たまにね。さすがに内容はプライバシーの侵害だから口外はしないでおこう。」
 と、お茶を濁しているが、トダカが知っている寝言は、ディープなものだ。「助けて。」とか「怖い。」なんてことを呟くので、その度に手を握ったり声をかけたりするようにしている。たぶん、過去のトラウマを再現しているのだと思われるからだ。それを知っているから、睡眠中のニールを観察するようになったらしい。どこかが壊れているニールだから、トダカも心配する。
「そういえば、シンも、いきなり大声で叫ぶなあ。」
「え? レイ、俺も? 」
「同室だった時は、何度か、それで目が覚めた。」
「何、叫んでるんだ? 俺。」
「うーん、その時々だが、『ディスティニー、発進っっ。』って盛大に叫んだ時は驚いた。」