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Wizard//Magica Wish −4−

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・・・

「あぁ、もうこんな時間か~。まどか、もうそろそろ帰らない?」
「そうだね、パパもママも心配しちゃうし。マミさん、そろそろ帰ります」

「それでは、私も帰らせてもらうわ。巴マミ、操真ハルトには気をつけるのよ」


「お気遣いありがとう、暁美さん!」
「って!俺は別に何もしないよ」
「じゃあな~!さやか、まどか!」


夕刻、太陽が完全に沈み、まどか と さやか、ほむら は各々の自宅へと帰っていった。ちなみに ハルトと杏子はマミの家に泊まる予定である

「さぁ~てみんな帰ったことだし、マミ、飯!」

「…っ!え、えぇ、今作るから待ってて!」

「杏子ちゃんはちょっとぐらい遠慮したら?」
「へへっ悪い悪い!」


「……ふぅ」

「疲れてるのかい?マミちゃん」

「え?うぅん!まだ大丈夫よ?さぁて、夕食の仕度しないと!」


マミは玄関からドタドタと足音を立てながら台所へと向かっていった。

さて、実はまどか達が変える時、ハルトは まどか からある相談を受けていたのだ。
それは、「マミさんは何か悩みを抱えているみたい、ハルトくん、なんとか出来ない?」
というものだった。
流石に情報量が少なすぎて自分自身どうすれば良いかわからなかった。

「全く、まどかちゃんも大胆っていうか…俺は22世紀の猫型ロボットじゃないんだよ?…さて、どうするか…」
「どうしたんだ?ハルト」
「なんでもないよ、さて、リビングで夕食できるの待ってよっか」
「おう!」


巴マミ。
この5人の中では一番最初に魔法少女になった女の子だ。
ちょっと前にまどか達からハルトはマミの事について聞いていた。

学年はもちろん、魔法少女としても先輩である彼女は、後輩のまどか や さやかに優しく結構大人っぽい人柄だ。しかし実際は年相応の少女みたいで魔法少女の孤独な戦いに対する不安と恐怖、心許せる家族も…本人には悪いが親しい友人と言える関係もごく少数で普段の生活に孤独と寂しさを感じ続けており、まどか達、もちろんハルトの前でも結構無理をして気張っているみたいだ。
…まどか からは他の人達には内緒と言われているが、とある戦いの最中に まどか が「マミさんのような魔法少女になりたい」という言葉を聞いた時にはあまりの嬉しさに涙を流してしまったらしい。

彼女の願い事は、…いや、正確には願いざるを得なかった状況下だったあの事実。彼女は家族と外食に向かう途中、不慮の交通事故に遭遇してしまい両親は死亡し彼女も命を落とす寸前の非常に危険な状態だったというその目の前にインキュベーターが現れ、そして…

−君の願いは?−

−た……助け…て…−

その結果、彼女は魔法少女となり彼女は助かった。
そんな辛い過去があったのだ。

ここまでが、今ハルトが知っている情報である。
だが、まだマミは まどか 達に打ち明けていない事実があるはずだ。

彼女の本当の訴え、それは一体なんなのだろうか。


・・・


「ぷは~食った食った!さてマミ!今日は何して遊ぼうか?」
「え?そう言われても私はゲームなんてしないし、トランプぐらいしか…」
「杏子ちゃん、トランプで何かできる遊びあるの?」

3人は夕食を食べ終え全て片付け終えたあと、3人は再びテーブルを囲むように座った。寝るにはまだ早すぎる時間帯だったからだ。杏子は暇つぶしと何か提案させるが、マミの家にあるのはトランプのみ。…もちろん、頭があまり動かない杏子にとってポーカー等の遊びが出来る訳がない。

「ババ抜き…とか?」
「なんで疑問系なんだよ…てかババ抜き出来ないって頭悪すぎじゃない?」
「うっせぇ!大体運任せのゲームなんて私は大っきらいなんだよ!」

「トランプで遊ぶゲームは大体運任せなんだけどな…あ!それじゃあ『インディアンポーカー』なんてどうかしら?」

「「インディアンポーカー?」」

「ふふっ!ポーカーといってもルールはとっても簡単よ?」

インディアンポーカーとは、自分の額に一枚トランプを当て、自分以外のカードが全部見える状態で、自分のカードの大小で勝ち負けを決める非常に簡単なゲームである。自分のカードが見えない状態であるが故に、自分が強いカードか弱いカードかは他のプレイヤーの様子を良く観察して判断しなければならないのだ。従って、人間観察力、状況判断力などが問われる、ルールとは対照的に非常にシビアなゲームであると言われている。

「ゲームの流れはね、まずこうやって全員に一枚ずつカードを配って、額に当てるの」

マミは手馴れた手付きでトランプの山をシャッフルし、山札から一枚各々に渡した。

「おう!えっと…」
「佐倉さん、自分のカードは見ちゃダメよ?」
「お、おう!」

「なるほどね…これは面白そうだ」

杏子とハルトは決して自分に見えないようにマミから渡されたカードを自分の額に当てた。続いてマミは賭け点を…と、ルールを教えようとしていたが、当の杏子の頭に?マークが沢山出現していたため、今回は賭け点は無し…つまり一発勝負でゲームを開始した。

「みんな、準備は良い?」

「おう!…で、次は何をするんだ?」

「ここからは本当に簡単!自分以外のカードの数字は見えているでしょ?佐倉さんの視点から例えると、佐倉さん自身の数字は見えなくて私とハルトくんの数字が確認できる状態って意味ね」

「おお!わかるわかる!!」

「じゃあ次ね、もし、自分以外の数字より自分の数字が大きいという自身がある場合は『私の勝ち!』と、断言するの!自身がない場合は『私の負け』…とこの勝負から降りてちょうだい!」

「よし…まずは…」

ハルトはマミと杏子の額に当てられたカードの数字を確認する。マミはダイアの6、杏子はハートの3…と、まず比較的、二人とも数値的には対して大きくはない。問題は自分の数字だ。まだ一回戦なのでジョーカーを抜いたトランプ52枚はある状態である。杏子より自分が低い可能性は無い訳ではない。


「きしし…こいつは私の勝ちだ!」
「あら、対した自信ね!」
「っ!…なるほど、そういうことか!」


先程のマミのルール説明通り、このゲームは運というより心理戦だ。自分は見えなくても相手からは自分の数値はバレバレなのだ。先程、杏子はハルトの数値を見て「勝った!」と断言をした。…ということは、自分の数値は決して高くはない…せいぜい1~4ぐらいなのだとわかる。


「確かに…杏子ちゃんには勝てないかもな~そんな気がする」
「これは、私達の完敗かもね…」
(さすがマミちゃん!乗ってくれた!)

「ははっ!ハルトじゃ絶対勝てねぇよ!!」


最後の仕上げに、自分は勝負に乗るかどうか、だ。もし自分が4だとしても、マミの表示されている数値は6、勝ち負け二択で決めたとしたらおそらく自分は負けるだろう。
この勝負、降りるほうが良いかもしれない。

「俺はこの勝負に降りる…多分勝てないな」

「じゃあ私はマミと勝負するぜ!!覚悟しろよ?マミ!!」
「望むところ!じゃあ、『インディアンポーカー!』の掛け声と共にテーブル上に自分のトランプを置いてね?行くわよ!せ~の!!」

「「「インディアンポーカー!」」」

作品名:Wizard//Magica Wish −4− 作家名:a-o-w