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とある二人の無能力者2話

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頭から血を流しながら倒れる仲間の姿を見て息を飲む少年たち。
だがそれを見てもたじろぎもせずまた一人、また一人とたて続けに青年に突っ込んでいく。
能力者がいないにせよ多勢に無勢だ。
誰から見ても絶望的な状況だろう。
しかし、
そんな絶望的な状況も、
青年は、
身じろぎ一つもせず、
覆してしまう。

「・・・チッ。やってらんねーな」

ここにきて青年の口から言葉が発せられた。
今だに少年たちに目もくれない青年はそのまま反転すると、
歩いて行く。

「駄目だ・・・こんなんじゃあ全然駄目だ」

悲しくも怒りの籠った声。

「つまんねー奴らだぜ」

そう呟きながら学生は路地の奥に消えていった。



先程まで騒がしかった路地裏には、

人の呻き声がただ響くだけだった・・・








時間は午後1時過ぎ。
日曜日という休日のせいかいつもの大通りはたくさんの車が行き交っている。
いつもなら学生服に身を包む学生たちも、
おのおの私服を着て出歩いているため・・・

「はぁ〜、やっと終わったよ・・・」

黒髪ツンツン頭の・上条当麻はひと際目立っていた。
この日はどこの学校も例外なく休みであるのに対して上条は午前の早い時間から、
学校へと赴いていた。
理由は単純。

「小萌先生ももう少し手加減してくれたらな〜」

補習である。
もはや補習の理由など説明しなくても、
彼の夏休み、その後の様子からして一目瞭然だろう。
生まれながらの不幸体質もここ数カ月で何度も体感したばかりだ。
中には死に直面するという、学生らしかぬ生活を送っていた程である。
唯一このことを知っているのは彼のクラスメイトである土御門元春だけだ。
ちなみに彼も上条と同じくいくつもの修羅場をくぐり抜けている訳だが、
上条と違うのはしっかりと学校に出席出来ているあたりと勉強が出来るというところだ。

「今日の晩御飯は・・・昨日の残り物を使おうかな」

こうして一日の夕食を決めながら帰宅するのも上条の日課となっている。
無能力者の上条にとってはいかに無駄なく節約出来るかが重要なのだ。
とはいえ、もう一人の居候がいなければそれなりの生活は出来るのだが。
そんな考え事をしていると、

「はいはいー、今からここはしばらく封鎖するじゃんよ」

何の騒ぎかとつい近寄る上条。
彼の視線の先には複数人のアンチスキルと数台のアンチスキル使用のトラックが停車していた。
路地の方を行ったり来たりしているあたり、どうやら路地裏で何かがあったようだ。
とはいえ、配備されているアンチスキルの少なさから考えてそんなに大きな事件ではないだろう。
上条は特に気にする素振りも見せずにそのまま立ち去ろうとしてその背後から声をかけられた。

「あれ?アンタ・・・」
「ん?」

振り向くとそこには制服姿の御坂がいた。

「御坂か。何かようか?」
「別に用があるって訳じゃないけど・・・たまたま見かけたからさ」
「お前にしてはだいぶまともな理由だな」
「なっ!どういう意味よそれ!!」
「んーそうだな、例えばこの間も突然やって来たと思ったらいきなり電撃を浴びせてくるし」
「あれはアンタが無視するからでしょ」
「無視?無視なんてしてねーぞ?」
「携帯電話の方よ」

携帯?と首を傾げつつもポケットから出した携帯の画面に目を落とすと、

不在着信4件、
受信メール6件、

という文字が表示されていた。
それも昨日だけでだ。

「いつのまにこんな・・・」
「そんだけ連絡してるのに気付かないアンタもアンタよね」
「はぁ・・・俺は毎日多忙なわけで携帯なんて見てる暇がないんだよ」
「多忙・・・ね」

神妙な顔つきで上条の顔を見据える御坂。
彼女の頭に浮かぶのは今まで見てきた上条の凄惨な姿だ。
何があっても他者を巻き込まず一人で解決しようとして傷つく彼を、
彼女は何度も見てきた。
止めようとしたことは何度もあるが、そのたびに何らかの理由で失敗に終わっている。
とは言っても進展が無かった訳ではない。
彼について分かった事もあるし、
何より自分の気持ちに気付くことが出来た。
今までにない初めての気持ちだったからか、あの夜のことは強く印象に残っていた。

「・・・(ボッ)」
「ん?お前顔赤いけど大丈夫か?」
「よ、余計なお世話よ!」
「何でお前が怒るんだよ!」
「うるさいうるさい!アンタ早く帰りなさい!!」
「ば、馬鹿野郎!こんなとこで電撃放つんじゃねぇよ!?」



理不尽にも見えるこの光景。
彼の日常はいつだってこうなのだ。
ついさっきまで平穏だったのにも関わらず・・・

ドォォォーーン!!!

彼の不幸体質がそれを許さず、
不意に不幸は訪れる。

「なっ!?今のは何?」
「・・・、ただ事じゃあ無いよな・・・」
「よりによってこんな時間帯に!」
「・・・御坂」
「何?」
「お前はここで待ってろ」
「え?ちょ!?待ちなさいよ!」

御坂の静止を振り切って上条は黒煙を目印に全力疾走する。










爆発発生30分前・・・



「いやー、やっぱりあそこのクレープは美味しいですね」
「あぅ・・・今月はもう買い物禁止だなぁー」

昼過ぎの公園前。
約束のクレープを奢り公園のベンチに佐天と初春は座っていた。

「約束は約束ですからね、仕方ないですよ」
「一番高いの頼むなんて初春の薄情者〜!!」
「何のことでしょうね」
「むぅぅ・・・」

いつもと違って立場の逆転している佐天達。
さらに逆転しようと思えばできるのだが、
座られてしまうと肝心のスカート捲りも出来ない。
そんな下心満載の佐天であった。

「こういう休みが取れるのも最近はあまりないですからね」
「そういえば最近仕事多いけど何かあったの?」

佐天は、ここのところ放課後になると急ぎ足で風紀の仕事に向かう初春を見て疑問を抱いていた。
そもそも普段から初春とは基本的にいつも一緒に行動している佐天だが、
毎日のように通い詰めているのはなかなか見ない。
今までに無かった訳では無いが決まってそういう時は何かしら大きな事件だったりする。
「また大きな事件?」
「それがですね…」

初春が今回捜査にあたっている事件はちょうど2週間前あたりから起き始めた。
裏路地でたくさんの負傷者が出るのだ。
ここ学園都市ではスキルアウト間での抗争がよくあることなので最初は誰もがただの暴力事件だと終わりにしようとしたのだが負傷者の話を聞く限りどうも違った伏線が見え始めたのだ。どうやら能力者に襲われたというのだ。
能力者…と言ってもここは科学を司る都市、学園都市だ。そう簡単に見つかるはずがない…のだがここは初春の能力の見せ所である。ある程度の能力の特徴さえ分かればだいたいの予想が出来る。
後は事件の発生日時さえ分かればほぼ確実に犯人を割り出せる。
今までの風紀委員きっての名探偵だ。
そして今回も首尾よく解決するはずだったのだが…そう単純にことは進まなかった。

肝心の能力の特徴を聞いた時にこんな事を言われたのだ。


「特徴?んなもん分かんねぇよ…あいつ何しても触れられないんだ」
「近づくことも出来ないんだぜ?マジで意味不明だよ」