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とある二人の無能力者3話

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そこでふと初春がいない事に気づいた。

「初春!!」
「佐天さん・・・ここですぅ」
「あ・・・ごめん!」

初春は佐天の下敷きになっていた。

「うぅ・・・ひどいです」
「ごめん、でも早くここを離れよう。上条さんも手伝ってもらっていいですか?」
「何があった・・・何て聞いてる場合じゃなさそうだな。分かった、手伝うよ」
「ありがとうございます」

互いに初春の左右に回り肩を持つ。

爆発があってからだいぶ経ったせいか辺りには不気味な程の静けさが漂っていた。
そこで何か違和感を覚えるも今はそんなこと考えている場合ではない。
その場から初春を連れて行こうとしたその時。


「おいおい、一体今日はどうしちまったってんだよ。こんなカス共に時間かけるなんてよ」

この数分で何度も聞いたあのぞっとするような声。

「・・・手っとり早く終わらせる」

佐天は分かっていた。
というかそれ以前に何となくだが感じてはいた。

勝てない。

自分がレベル0だということを抜きにしてもそう言える。
あの少年と自分では根本的に何かが違う。
あの異様な雰囲気に包まれた少年を見たときからそう感じていた。
だから、振り返らずそのまま去ろうとした。
このまま逃げられれば・・・。

「二度目はねぇ」

何か分からないが何かが迫ってくるのは分かる。
それでも前を見続けて、

ズガァァァァァァァ!!!!

響き渡るのは轟音。
体のバランスを崩す程の振動。

しかし佐天達は無傷だった。

振り返った先には引き裂かれたアスファルト。

そしてもう一度音が響き渡る。
今度は凛とした澄んだ声だ。

「アンタねぇ・・・」

短髪に常盤台の制服。
デフォルトな顔立ち。

「どこの馬の骨か分からないけど・・・」

学園都市に7人しかいない、第三位の超能力者。


「私の友達に手出して無事で済むと思ってんなら大間違いよ!」


レールガンこと御坂美琴だった。


「・・・流石に長居し過ぎたな」
「逃がすと思う?」

御坂少年の前に立ちふさがるように前に立つ。

そしていつの間に動いたのか。

「悪いけどこっちにも行かせないぜ?」

上条も少年の後ろを塞ぐように立っていた。

「・・・悪いが一旦退かせてもらう」
「この状況を見てそう言ってんなら随分と余裕が」
「御坂さん!!建物が!」

初春の言葉ではっと気が付く2人。
しかしその時にはすでに大通りに面した建物の一つがが音を立てて崩れ始めていた。

「くっ!」
「マズ!?」
砂煙が立つ中佐天は二人の名を呼ぶ。

「上条さん!御坂さん!」

数秒後、

「私は大丈夫」
「・・・何とか間一髪セーフ」

2人の無事な姿を見てふっと肩の力が抜ける。

すると隣の初春が、

「あの人は?」
「・・・逃げられたわ」


皆が一斉に崩れ去った建物の方を見る。
先程までそこに建っていた建物は、
まるで嵐が過ぎ去ったかのような惨状となっていた。

当然・・・あの少年の姿は無かった。







「はい、これでおしまい」
「ありがとうございます」
時刻は午後の5時過ぎ。
初春の手当てを終えた佐天は休憩の為、人数分のお茶を用意して御坂達のところまでやってきた。


「よろしければどうぞ」
「ありがたく頂戴致しますの」
「ありがと」

初春のを置くと佐天は御坂の隣に座った。

「まぁとにかく。皆無事で良かったわ」

そう言ったのは白井、初春の先輩の固法先輩だ。
今日は非番だったらしいのだが、事件を聞きつけて駆けつけてくれたのだ。

「心配をかけて本当にすみません」
「もう…だ・か・ら!初春は何にも悪くないって」
「そうですわよ。むしろ私達が駆けつけるまで耐えて下さったのですから、頑張ったと言いたいくらいですわ」


実際あれだけの状況下、
これだけの傷を負うだけで済んだのだから運が良かったとしか言いようがない。
車両の爆発、建物の倒壊。テロでもあったのではないかと思わざるをえないひどい有り様だった。


「……」
「お姉様?」
「ん?どうしたの?」


そんな中1人、御坂だけはどうも腑に落ちない顔をしていた。

「…何を悩んでいらっしゃるのかは分かりかねますが、犯人が逃げたのはお姉様の責任ではありませんわ」
「そうだけど…」
「相手の能力すら分からない状況でしたから深追いをなさらなかったのは良い判断でしたの」
「白井さんの言う通りよ」
続けて固法先輩が言う。

「さっきも連絡があったんだけどアンチスキルの方で大規模な捜索が始まったみたい…こうなるのも仕方ないわね」
「やっぱり…死者が出たからですか?」

佐天は飲んでいたお茶の入っていたカップを置くと恐る恐る聞いてみる。
「そうでしょうね、能力者による殺人事件なんて異例中の異例だから」

今まで風紀委員が管轄した事件の中でも死に至る事件は今まで一回も無かった。
アンチスキルの方もこういった事件は無いという。
能力者の暴走による大きな爆発事故などはあるがいずれも死人が出るには至っていない。

「能力者による故意的な事件…いえ殺人事件。ただごとじゃありませんわね」
「犯人の顔は?」

声を発したのは御坂だ。

「あれだけ大きな街中で起きた事件よ、監視カメラに犯人の顔が写ってるはずでしょ?」
「そのことなんですけど」
ノートパソコンのキーをせわしく叩いていた初春が、
その手を止め何とも納得のいかない顔付きをしながら会話に入ってきた。

「あの時間帯に作動していた周辺の監視カメラの撮影記録を調べたんですけど…」

一旦間を置き、

「ちょうどあの時間だけカメラに不具合が起きてたんです」
「不具合?」
「はい、強力なジャミングを受けていたのか…もしくは犯人の能力によるものなのか…いずれにしても何らかの影響で強制的に不具合を引き起こされたのには間違いないですね」
「ということは監視カメラの不具合は犯人の計画の一端ってこと?」
「そういうことになりますね」
「・・・ビルの崩壊は?」
「それについても検査結果が届いてます」

白井の問いに即答する初春。

「爆発物を使った痕跡は無かったそうです。」
「建物そのものは?」
「建物自体の老朽化、改装予定もありませんし、そもそもあんな大通りに面した建物が簡単に崩壊なんてありえません」
「能力によるもの?」
「考えたくありませんがそうなりますね」

皆唖然としてしまった。
あれだけの建物をあっさりと崩壊させる程の能力。

「少なくとも・・・レベル4以上、その中でもトップを誇る能力者です」
「・・・・・・・」

御坂は依然と浮かない顔をしている。

(あれが・・・大能力者、白井さん達の立つ世界)
初めて目の当たりしたからかあの光景がいまだに離れない。
それと同時に恐いとは別の感情が芽生えてきた。
無能力者と能力者の違い。
自分とは次元が違う人間。

(私に出来ることは・・・・なさそうだな)
我ながら情けないと思う。
だがどんなに悔しかろうがそんなことは関係ない。
意地を張ったところで勝てる相手ではない。

「犯人確保も時間がかかるでしょうね。例え見つかったとしても相手は能力者・・・それも大能力者ですから流石のアンチスキルも」