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とある二人の無能力者3話

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「どちらにせよこの事件には分からないことが多すぎだわ。しばらくの間は忙しくなりそうね」

固法先輩は飲み終わったお茶のカップを置いて立ち上がると、

「とりあえず今日は皆帰りなさい。疲れてるでしょ?」
「そうですわね・・・調査はまた明日からにしましょう」

それぞれが席から離れ帰り仕度を始める。

「じゃあ、私先に失礼するわね」

そんな中、いち早く支度を終えたのは御坂だった。

「・・・お姉さま」
「ん?どうしたの?」
「1人で犯人を探しに行く・・・なんてことは間違ってもなさらないでくださいまし」
「あはは・・・分かってるわよ。ちゃんと門限までに戻るから」

それだけ言い残すと御坂は出て行った。

「私もカップを洗ったら帰りますね」
「あ、いいわよ佐天さん。私がやっておくから」
「え・・・でも、わざわざ支部まで来てもらったのに悪いです」
「今日はゆっくり休んで」
「・・・じゃあ、お言葉に甘えて」

佐天は自分の通学バッグを片手にパソコンに前に座り今もなお手を動かし続ける初春に声をかける。

「初春はどうするの?」
「私は今日分かったことをレポートにまとめてから帰ります」
「あんまり無理しないでね」
「はい、佐天さんも今日はゆっくり休んで下さいね」
「じゃあ、また明日ね」

固法先輩にも挨拶をすると支部をあとにする。
階段を下りていくとちょうどアンチスキルの車両が目の前を通り過ぎて行った。
車両の天井にくっついているスピーカーから帰宅を促すテロップが流れていた。

「はぁ〜、アンチスキルの人も大変そうだなー」

溜息をつくといつもの近道の公園へと向かった。
大通りを歩いているといつもと違う物静かな雰囲気が流れてくる。
いつもなら自宅へと帰宅する生徒で賑やかなはずが今は何人かの大人や学生が行ったり来たりするだけだ。

(何かテンション下がるな・・・)

自分の性格上こういう雰囲気はあまり好きではない。
ましてやあの事件があった後にこれだ。
疲れなどもそれらの感情を後押しをし気分的には最悪な状態だった。
ここまで静かな学園都市もなかなか見られたものではないだろう。

(そういえば上条さん・・・今日も早く帰っちゃったなー)

脳裏に浮かぶのはまた助けてもらった時のことだ。
今回で2回目の対面となるわけだが、

(まさかああいう再開しちゃうなんてな・・・)

佐天もなんだかんだで乙女なわけでもっとしっかりとした、
願わくばロマンチックな再開を果たしかったわけだが正直なところそんな贅沢は言ってられない。
そもそもあそこで彼が助けに来てくれなかったら今頃佐天はこうして自宅に帰宅・・・なんてことは出来なかっただろうから。
前回といい今回といい。
いずれも自分がピンチな時に現れる彼。
何となく運命的なものを感じてしまう。

(ってアレ?運命的って・・・そ、そんな大袈裟なことじゃないよね!あはは、何考えてるんだろアタシ)

顔を赤らめ顔をブンブン振る佐天。
回りの人から見ればだいぶおかしな人に見られるだろう。

(考えすぎだよね・・・)

「・・・うん、それで?」
「え?」

ふと聞こえてきた聞き覚えのある声。
気付くといつもの公園内のいた。
どうやら無意識のうちにここまで来たらしい。

「今の声って・・・」
どうにも気になり声のした方向へと足を運ぶ。
すると・・・

「やっぱり・・・アンタもそう思う?」
(御坂さん?)

やはり知り合いだった。
視線の先には一足早く支部をあとのした御坂の姿があった。

「そう・・・分かった。何か分かったら連絡して。うん、それじゃ」

どうやら電話をしていたようだ。
携帯を閉じ溜息をつく姿が目に入る。

(何の話してたんだろ・・・明るい話じゃなさそうだったけど)

「佐天さん?」
「え、あ・・・はい!?」

突然の掛声に思わず慌ててしまった。

「こんな所でどうしたの?」
「えーっと・・・帰る時はいつもこの公園を通ってるんですよ」
「そうだったんだ。初春さんは?」
「何か少しやることがあるからそれが終わったら帰るそうです」
「あんまり無茶しないといいけど」
「意外に負けず嫌いですからね」

怪我をしているのが足といえどあれだけの事件に巻き込まれたのだ。
精神的にも肉体的にも疲労が溜まっていておかしくない。

「確か途中まで同じ道だったわよね?」
「え・・・何がですか?」
「帰り道のことよ」
「・・・そうです、ね」
「今日は何かと物騒だったし途中まで一緒に帰りましょ」
「はい」

すっかり人気のなくなった公園内。
2人はその公園を話しながら進んでいった。

「あの・・・今日はありがとうございました」
「ああ、別に気にしなくていいわよ。それよりも2人が無事で良かった」
「よく考えてみるとよく助かったなーって・・・はぁ」
「ん?どうしたの?」

深いため息をつく佐天に疑問を投げかける御坂。

「レベル0として能力を持ってる人っていうのはなんて言うか・・・一種の憧れみたいなのを感じてるんです。こうして身近な人に高い能力者がいればより一層。自分もいつか能力を持って誰かの役に立つ
事をしたいな・・・なんて」
「誰かの役に立つ・・・・か」
「でも・・・」
「ん?」
「今日・・・私たちを襲ってきた人を見て、思ったんです」

佐天はうつむきながら言う。

「せっかく人の為になる程の力を持ってるのにそれを人を傷つけることに使うなんて、許せないって」
「・・・すべての能力者が善人ってわけでもないしね」
「私なんてレベル1でもいいから・・・なんて思ってるのに」

小さい頃から能力者に憧れていた佐天としては今日の出来事は衝撃的だった。
誰かの為、ではなく誰かを傷つける為に力を振るう。
正直一番考えたくないことだった。

「・・・私、思うんだけどさ」
「・・・・?」

御坂が突然そう切り出してきた。

「確かにレベル0と高位能力者じゃ、やれることには差がでると思う」
「・・・・・・」
「でもそこは重要なんかじゃないわ」
「え?」

視線を向けるとそこには何かに微笑みかけるような優しげな御坂の顔があった。

「重要なのは今の自分に出来ることを精一杯する、ってことなんじゃないかな」
「御坂さん・・・」
「それに!佐天さん私たちのムードメーカーなんだからそんな顔しない!」
「はい・・・」

(自分に出来ること・・・か)

考えてみてもそう簡単見つかるものではないだろう。
実際、ああいった戦闘なんてのはまったく無縁の世界だから。

「んー、そういえばさ」
「はい?」

暗くなりつつある空を見上げながら御坂は話題を変えた。

「この間ファミレスで・・・ほら、好きな人がいるいないの話したじゃない?」
「そんな話しましたね」
「それでね私考えてみたんだけどさ。その・・・やっぱり好きな人とかがいるとなんて言うか心のよりどころになるっていうか、その人がいるから頑張ろうって気持になったりしない?」
「ん〜、どうですかね。私はまだそういう人はいないし」

(御坂さんがこういう話題を振ってくるなんて珍しいな・・・ん?)

そこでふと気付く。

「御坂さん」
「ん、何?」