新生勇者戦記ブレイヴサーガ・ディザスター 第93話
律の合図を受けた姫子の一声でクラスのみんなが円陣を組んだ。ここにおいても律のリー
ダーシップが窺えていた。
律 「それじゃ、コレまでの成果出し切ってくぞー!!この劇、絶対成功させようぜ!!
みんないくぞー!!」
一同 「おー!!」
講堂内の会場は多くの観客でうまっている。梓たちは入り口付近で誰かを探している様子
だっだ。そこへ俊の声が響く。
俊 「梓ーっ、こっちだ、こっちー!!」
梓 「あ!!俊君だっ!いこ、憂、純!」
俊を発見した梓は、俊の隣に座る。その後ろの席には清次と竜也が座っていた。
梓 「ふー、さがしちゃったよー。みんな一緒?」
俊 「清次と竜也はついさっき会って合流したばっかり。今日は律っちゃんの弟メンバー
の面倒見ながら来てる。」
梓 「そうだったんだ!結構大勢だね。」
俊 「まーな。それにしてもさっきは大変だった・・・はぁ、疲れた。」
梓 「何があったの??」
俊 「ん?まー・・・ツッコミの仕事がちょっとな。」
その後ろの席では憂と清次が、純と竜也が座る。これでほぼ全員のメンバーが揃った。
憂 「この劇、私のお姉ちゃんも出てるんだよ?」
清次 「へ〜、何の役なの?」
憂 「木だよ!」
清次 「きぃっ??!木って木??」
憂 「そーだよ?今までずっと家で練習してきたんだぁ、お姉ちゃん。」
清次 (練習って・・・・必要???)
純 「さっきぶり!!ひょっとしてまた浮気した?!」
竜也 「もう、何も言ってないって!!ホントさっきはごめんなさい!!」
純 「本当にそう思ってるの?竜也??」
竜也 「ああ、思ってる!!俺は純が好きだぁっ!!!」
純 「馬鹿っ、恥ずかしいっっ!!」
その直後ブザー音が鳴り、公演が開始された。いよいよ澪達の劇が開始される。勇士朗も
彼女の劇の成功を祈る。
勇士朗 (澪・・・がんばれっっ!!!)
静まり返った会場に澪の演技の声が響く。完全にロミオになりきった迫真の演技の声だ。
澪 「人の傷を見て笑う奴は、痛みを知らない連中だ!!笑いたければ笑え!!」
そのセリフの最中、蓮が小声で本当に笑う。
蓮 (もけけけけけっ!)
俊 (っ・・・!!!)
俊が突っ込もうとした時、隣にいた勇士朗が突っ込みを入れた。蓮のももをつねりひねっ
た。声にならない蓮のうめきが起こる。
勇士朗 (っのやろーっ!!)
蓮 「〜〜〜・・・・(いでででででっ、ごめんなさい、ごめんなさい!!!)!!!」
澪 「ボクは痛みを知っている。恋する痛み・・・この甘い胸の疼きを!!!」
蓮 (俺は知っている・・・・このもも肉の激痛をっっ・・・!!!)
蓮は懲りずに、一昔前の某お笑い芸人のもち技を小声で発する。勇士朗は、怒りMAXで
更につねった。
蓮 (そして・・・・あまああああああああああいっ!!!)
勇士朗 (からあああああいっ!!!)
蓮 (でゅいいいいいいいっっ!!!!)
その後順調にストーリーが進み、ロミオがジュリエットの屋敷に忍び込む緊張のシーンが
訪れた。会場の観客達もつい見入ってしまう。
女子A 「今、なにかもの音がしなかったかぁ?!」
女子B 「どこの不届き者だ?!!キャピレットの屋敷に忍び込もうとは!!」
監視役の女子二名が歩き出す。その様子を澪が窺っているが、唯まで様子を窺っていた。
梓と光ははらはらドキドキであった。
梓 (ううう〜・・・・唯先輩、なにかやらかしそうぅ〜。)
光 (唯ちゃ〜ん・・・そこ視線を追わなくていいってばー・・・。)
更に物語が進む。ロミオとジュリエットでも要のシーンの一つの場面だ。あの有名なセリ
フが律の声で響く。
律 「ああ・・・・ロミオ・・・あなたは何故ロミオなの?」
澪 「ああ、あの天使のような声は・・・!!!」
普段見慣れない可愛い律を見た蓮が禁断症状に見舞われた。
蓮 (おおおおお!!!やべッ、マジ律ヤベええええ!!!かわいいい!!!マイエェン
ジェエエエエル!!!)
澪が律のいる屋敷の所へと登っていく。勇士朗は踏み外さないか心配になって見ていが、
それはほとなく杞憂に終わる。
律 「何故ここに?屋敷の石垣は高くて登れないのに・・・!!」
澪 「高い石垣など、恋の翼で軽く飛び越えて見せましょう!!」
その直後、蓮は再度ふざけてボケまくる。マイトガインをパクッた謎の架空勇者を熱演(
???)する。勇士朗は、某嵐を呼ぶ園児のおしおき法である、頭ぐりぐりで攻撃(笑)する。
蓮 (恋の翼にロミオを乗せて、灯せジュリエットの恋心っ!!勇者劇団、ロミジュリー
カイザー、定刻どおり只今開演!!!)
勇士朗 (きさまあああああああ!!!てめーの彼女の演技ぐらい真剣に見ろおぉ!!!)
蓮 (まいとがあああああああいんっ!!!)
ぶっちゃけて言えば、初彼女の晴れ舞台に蓮自身は舞い上がっていた。言い換えればその
ボケとテンションは嬉しさの表れだった。
好きな娘の前でのぼせ上がりたくなるあの感情である。それはさておき、メインのシーン
が会場の観客達の視線を集める。
律 「ああ・・・ロミオ!!」
澪 「ジュリエット・・・!!」
そう言いながら二人が抱き合う。ある視点から見れば完全百合シーン。舞台裏では紬が興
奮状態となる。
紬 「ああ・・・澪ちゃんとりっちゃんが・・・!!!」
和 「ムギ・・・落ち着いて。」
ファンクラブのコ達も百合的な場面を見てきゃーきゃー言いながら興奮していた。一方で
彼女達の相方達は違う意味でくっついていた。懲りない蓮は、また何かをやらかしていたよう
だ。
勇士朗 (コブラツイストオオオオオオ!!!)
蓮 (ひぎぎぎぎぎいいいいいい!!!)
更に木役の唯が鼻をむずむずさせている。クシャミ寸前だ。梓と光のハラハラがMAXに
達した。
唯 (ふぇっ・・・・っくくく・・・・ふぃっひぃ〜・・・)
梓&光 (わああああああああああああああ!!!ストップ、ストオオオオップ!!!)
俊 (梓・・・??)
なんだかんだで劇はクライマックスシーンを迎える。澪と律の迫真の演技が最後まで観客
の視線を掴んで離さない。
澪 「ああ・・・美しいジュリエット!!何故こんな姿に・・・!!君を一人で死神の所
へ行かせはしない・・・。」
死神という単語を聞いて黙っていられない光。某L2コロニーの死神の真似をする。勇士
朗のツッコミの苦労は耐えない。GネタにGネタで対抗した。
光 (死ぬぜぇ・・・俺を見た奴はみんな死ぬぜええ!!?)
勇士朗 (今度はお前かああああああっっ!!!ゴットフィンガアアアア!!!)
光 (こりゃ、死ぬぜエエエエエエエエエ!!!)
作品名:新生勇者戦記ブレイヴサーガ・ディザスター 第93話 作家名:Kブレイヴ