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Wizard//Magica Wish −5−

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「長引いたわ、早く帰らなければ」

同時刻、ほむら は病院での検査が終わり、やや足早に帰路を歩いていた。いつもであれば小1時間で済む検査なのだが今日はかなり長引き半日ほどかかってしまった。
元々、彼女の身体が弱く、戦闘時は常に魔法を使用してスタミナ不足という弱点を補っているのだ。しかし魔法を使用してしまえばもちろんソウルジェムのにごりが溜まっていく、グリーフシードの蓄えも十分あるが『来たるべき戦い』に備えて貯蓄しておかなければいけない。そのため普段の生活では無理をしてでも魔力を節約して生活しなければいけないのだ。

「情けない、魔力で身体を補わないと、まともに長距離歩くことさえ厳しいなんて…今でも精一杯だわ」

ほむら は息を切らしながら暗くなる前に家に帰ろうとしている。

あの出来事以来、ほむら は誰も信用はしていないし、誰の助けも借りない。
無論、自分を支援してくれる人なんていない。何をするにも自分一人だ。

ただ、『この時間軸の世界』では彼女達は自分との距離はそう離れていなかった。本来の時間軸でいけば 美樹さやか や 佐倉杏子はあまり自分に対しては良い印象は持っていなかった。
…それも、あの操真 ハルトが自分の目の前に出現したためであろう。
もちろん今後も彼女達を信用するなんてことは一切無い。彼女達はあくまであの『魔女』を倒すために共闘する為だけの存在だ。

「私に…『仲間』なんて必要ない…」






「あら、また会ったわね」



「…?」


ふと、自分がいる先に一人の女性が立っていた。
たしかあの時、図書館の入口でぶつかってしまった女性だ。
今自分がいる場所は周りに建物は無く人通りが少ない道だ。別にそんなことはどうでも良いのだが彼女は何故自分を引き止めたのだろうか。
いや、この場合は軽く流して面倒事を避けたほうが良さそうだ。
彼女には悪いが自分は一般人と話している余裕なんてものはない。

「あの時はごめんなさい、申し訳ないけど急いでいるのでこれで…」

ほむら は軽く頭を下げ女性の横をやや足早に通りすぎる。
それで事は済む…と、思っていた。


「何処に行くの?




…『魔法少女』さん」




「…っ……何の事かしら?」


危ない、つい顔に出してしまうところだった。
何故だ。何故彼女は魔法少女の存在を知っているのだろうか。
あの口振りは冗談で言っているものではない。
…と、いうことは。

彼女も『魔法少女』である可能性が高い。


「とぼけても無駄よ?私にはわかる。あなたが魔法少女だっていうことがね」

「だとしたら…どうする気かしら?」

戦うつもりだろうか…以前の杏子のように縄張り争い目的で出現した、と考えるのが得策であろう。ここで魔力を消費するのは気は向かないがこれ以上邪魔されるのも面倒だ。こういう時に限ってあの男がいない。今日はあまり運が良くない日なのだろう。


「申し訳ないけど、戦うのであれば手加減は一切しないわ」

「ふふっ!…あなた、心の中に絶望が一切宿ってないわね…一体何を希望にして生きているのかしら。…さて、ここであなたには消えてもらうわ!」

「…もう、遅いわよ」
「っ!」

何を言っても無駄であろう。
彼女が何か話していた瞬間に ほむら は魔法少女へ一瞬で変身しすぐに ほむら の得意魔法『時間操作』を発動した。左手に装着されている円盤型の盾が起動し、内部の砂時計が逆転する。その瞬間に周りの時間が全て停止し ほむら だけが許された固有世界を発動させる。そのまま 彼女の後ろへと周りこみ、拳銃を頭につきつける。

それと同時に砂時計が再び逆転し、止められていた時が進み始めた。


「変な気は起こさないことね、大人しくソウルジェムを渡し……え…」
「『時間操作』…ふふっ!面白い魔法を使うのね」

「っ!!」

何が起こったのであろうか。
今、自分は彼女の後ろに周りこみ、拳銃を突きつけた。
そこまではよかった。
なら、何故だ…

何故彼女が自分の『後ろ』に立ち、剣を自分の首元に突きつけているのだろうか!

「あなた…何をしたの…!?」
「残念ね、私にそんな子供騙しは効かないわよ?」

間違いない、彼女は自分の魔法の特性を知っている!
おかしい…今まででそんな事ができる魔法少女なんて存在しなかった。
このようなケースは今回が始めてだ。

どんな魔法を使用しているのか、…だが、まだ勝機はある。時間停止が効かないのなら、相手が魔法を使用する前に片をつければ良い話だ!


「…っ…」

剣を突きつけられたまま ほむら は再び魔法を使用する。今度は時間停止ではない。自分の身体の動きを早くする、『クロックアップ』を使用した。
ほむら は加速し一瞬で距離を取り拳銃を何発か彼女に放った!

「これで…っ!!」

「遅いわよ、こんな攻撃私に通用すると思っているの?」
「なっ!!」

彼女は片手の剣でいとも容易く銃弾を切り落とした。
それも…クロックアップした今の瞬間でだ。

ほむら は愕然とした。
このようなことは絶対にありえない、並大抵の魔法少女では絶対に自分の魔法を乗り越えることなんてできるはずがない!!



「何をしても無駄よ、私は特別な存在なのだから。



さて、どのように料理してあげましょうか…ふふっ!」
「……っ!!!?」





・・・


「そっか、やっぱりマミさんはゆっくり休みたいんだ」
「そういうこと、だから俺たちでなんかマミちゃんにできること探してみないと」
「まさかあのマミさんがね~、…まぁ確かに私達も便りっぱなしなところあったなぁ」

ハルトは 学校を終えた まどか と さやかと喫茶店で合流した。もちろん、昨日の夜の件を報告するためである。3人はホットコーヒーを注文しボックス席に座る。ハルトは まどか と さやか が対面する形に座った。

「マミちゃんは俺たちの前では強がっているけど、本当は裏ですっごく苦悩していたんだ。…俺の想像以上にね。ソウルジェムは魔力を使えば汚れが溜まるけど、本人が苦悩すればするほどそれ以上に汚れが溜まっていくんだ。どっちにしろ、俺たちがなんとかしてやらないと」
「でもなんとかするってどうすれば良いのよ?魔女退治を休ませるとか?」
「う~ん…でもマミちゃん真面目だから休んでっていっても休んでくれなさそうだなぁ。まどかちゃんは、どう思う?」

「無理やり休ませるっていうのは私もあまり良い気はしないと思うんだ。だから、…そうだなぁ…うぅ~ん…」


まどか はコーヒーを一口飲み、腕を組み顔を険しくしながら考えこんだ。

温泉に連れていってあげる…なんか老人夫婦のしそうな事だ。その前にそんなお金なんて無い。
美味しい食べ放題の店に招待する…しかし最近「ちょっと太ったかなぁ」って言っていたので逆効果か…。
自分たちが一日召使いになる…それこそ気を使わせてしまうか。その前にちょっとずれていないだろうか。

いや、何もそんな特別な事にこだわる必要性があるのだろうか?
いつもどおりの事で良いんじゃないだろうか。

作品名:Wizard//Magica Wish −5− 作家名:a-o-w