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Wizard//Magica Wish −5−

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「マミさんの好きな事を、してあげるなんてどうかな?例えば私たちがマミさんのためにお茶会を開いてあげる…とか…どうかな?」


「いや…良い!それ良いよまどかちゃん!」
「さっすが まどか!今日冴えているじゃない!!そうね…いっつもマミさんに選んでもらっているんだし、今度は私たちがお茶とケーキを選んでマミさんに食べてもらうの!」
「それぐらいだったらそんなにお金もかからないし、きっとマミさんも喜んでくれるよね!」

そうだ。
良く考えればいつも彼女は自分たちの事を思って激選された紅茶とケーキを振舞ってくれていたのだ。なら今度は自分たちの番だ。自分たちが彼女の為に動かなくてはいけないのだ。


「そうと決まれば今からさっそく選びに行くわよ!行きましょ、二人とも!」
「えっ…ちょ、ちょっと。私まだコーヒー飲んでないよ?」
「時間は待ってくれないんだから今回は諦めなさい!それか一気飲みしちゃえば良いじゃない!」
「うぅ…私、猫舌で暑いの飲めないの知ってるくせに…」

ハルトと さやか は席をたち、カウンターの前で会計を済ませようとしていた。ちなみに まどか は必死にコーヒーに息をかけ冷ましながら無理やり口の中に飲み込んでいた。だが時折彼女が「暑っ」と声を漏らし、ひーひー言っている。そんなすぐに温度が低くなる訳でもないので案の定 まどか は舌をやけどしながら喫茶店を後にした。

3人は商店街を闇雲に歩く。と、言うのも彼女達は普段マミがどこで紅茶とケーキを調達しているのか知らないのだ。なのでこうして一店舗ずつ歩いて探し回るしかない。
身に映るのはお茶会には無縁な店舗ばかり。一体マミはどこで仕入れているのだろうか。
「おっ…」
「あれ、もしかして!」
「ん~……痛てて…どしたの、二人とも?あ、見つけた」
もう少し苦戦すると思われていたが、意外にも商店街の恥にぽつりと立つ茶菓子屋があったのだ。マミがここでケーキ等を調達しているのかは不明だが、これ以上探しても見当たらなさそうなので3人は躊躇なくその店へと入っていった。
目の前にカウンターがあり、ケースには大量のケーキが綺麗に並べられている。


「いざ来たのは良いけど…一体どんな紅茶とケーキが合うのか良くわかんないな」
「そ、そうねぇ。いっつも無意識に食べてたから食べ合わせなんて考えてなかったわ…」
「さやかちゃんも?…うぅ~ん…紅茶って言ってもいっぱいあるなぁ」

無論、3人は何と何が合うなんて知識は持ち合わせていない。
せいぜい甘いケーキには甘味を抑えた紅茶…ぐらいの知識のみである。
来る前に本屋に寄って調べて来ればよかった、と後悔する3人であった。

「しょうがないね、…じゃあ俺たちが美味しそうだと思うものを選んでいこう」
「ちょっと!そんなんで良い訳?大体これは私達が食べるんじゃなくてマミさんに食べてもらうのよ?」
「けど、どれとどれが食べ合わせ良いかなんて俺たち知らないじゃん、さやかちゃんもそうでしょ?」
「うっ…それはそうだけど…」

「よく考えたら、食べ合わせってのも大事だけどさ、俺たちがマミちゃんの為に選ぶってのもすっごく大事だと思うし、むしろそっちのほうがマミちゃん喜んでもらえると俺は思うな」
「うん、私もそう思う!私もよくわかんないし、私達が好きなもの選んでマミさんに食べてもろう!ね、さやかちゃん!」
「まぁ…そうかもしれないわね。うん、そうしよう!…そうだとしたら、……よし、私はこのチョコレートいっぱい乗ってるケーキ選ぶわ!」
「あ、それ私が良いなって思ったケーキだったのに!」
「残念、これは先に私が選びました!」
「が~ん…良いもん、まだ美味しそうなのいっぱいあるもん!」

「おいおい、趣旨がずれてきてるよ…ははっ」

皆が選んだケーキと紅茶を見て、マミちゃんはどう思うだろうか。
きっと大喜びするな。
それどころか、感激過ぎて泣いちゃうかも…結構涙脆そうだし。

こんなワクワクすることは久しぶりだな。
この街には今までなかった出来事が沢山ある。

色々な街を周り巡ってきたけど、こんな楽しい時間は本当に久しぶりだ。

誰かの為に行動するって清々しい気分になる。


「あ、私これ食べたい!」
「まどか、あんたが食べるんじゃないのよ…」
「えへへ、そうだった」

「………。」

もし、彼女達に『真実』を話してしまったらどうなるだろうか。
今、彼女達から溢れ出す希望や笑顔は消えてしまうだろうか…

まだ彼女達はしらないのであろう。
知っていれば魔法少女に変身して魔女と戦うなんてことは出来ない筈だ。
おそらく二人に限らずマミちゃんも、杏子ちゃんも知らないだろう。

その真実を知ったとき、彼女達は一体何をするのだろう。
以前の自分みたいに、ソウルジェムを無理やり奪い…


魔法少女の「魔女化」を阻止するため戦うのだろうか。


絶望を受け入れ、自害してしまうのか…それとも、


魔女化するのか。





「ハルトくん、もうケーキ選んだの?」

「え………あ、ごめん!もうちょっと待っててね」
「たくっ!なにぼぉ~っとしてたのよ!私とまどかはもう選んだからさっさとあんたも選びなさい!」

「はいはい、っと」


作品名:Wizard//Magica Wish −5− 作家名:a-o-w