女性恐怖症のIS<インフィニット・ストラトス>
「一体なんなんだ・・・痛っ」
千冬は起き上がろうとするが、右手に怪我をしていることに気がつく
そんな時声が聞こえた
「おりむらせんせぇー」
呼ばれて後ろを振り返るとそこには
「やはり、山田君か」
真耶が右手にガーゼを持ちながらテコテコやってくる
「織斑先生怪我してるみたいだったから、ガーゼ持ってきました、これを巻いてください」
純白のガーゼを受け取ると真耶は少し頬を膨らました
「もぅ、無茶しすぎですよ!もしあの触手に攻撃を受けていたらどうなっていたこと
か・・・」
今度は一人で戦慄し始めた、全く忙しい人だ
「いや、それは無かっただろう」
「え?なんでわかるんですか?」
「見たところあれは完全自立防御だったからな、操縦者の意識が途絶えている時点でそこまで
は分かった。お前もそうだろう。」
振ってみると真耶は少し自信なさげに「はぃー」と頷く
「でも問題は・・・」
「そう、問題は攻撃対象とみなされる条件だ」
千冬はガーゼを口と左手で硬く結ぶ
「近づいた・・・あの円の中に入ったら攻撃されるのかと思ったが一歩目でそれは違うとわか
った」
「分かったって・・・自ら実験したということですか!?もし攻撃されていたらどうするつも
りだったんですか!」
全く怖くない剣幕で問い詰める真耶、それを片手で制する
「一回なら避ける自身はあったからな、攻撃されていたら円の外に出ていたさ。まぁその話は
おいておこう、先程の私の行動で分かったのは条件さえクリアすればあの円の中に入れるということだな。」
周りで聞いていた識別班は、唖然としている
そんなことは意も解さずに、倒れた神楽を千冬は背中に背負う
「む、意外と軽いな、身柄は上の命令でうちで預からせてもらいます、問題がなければこのま
ま移動しますが」
自分たちに向けられた言葉だと気づいた識別班の班長は端末を数回操作する
「りょ、了承しました、任務、お疲れ様です」
言葉を聞いて移動を始めると真耶は近くによって小さく囁く
「本当はその「条件」にも検討がついているのでは?」
千冬は肯定の意として少しだけ首を立てに動かす
「しかしあそこは人が多すぎる、更には仮定にすぎないからな話すのは到着してからにしよ
う」
そう言って担いでいた神楽を車の中に乗せる
すると真耶は少しだけ溜息をついく
「でもこれから忙しくなりますね、二人目の男性IS操縦者なんて・・・これから新入生も入
ってきて大変になるっていうのに・・・」
「そうだな、だが、恐らく一夏やこいつの方がこれから大変な目にあって行くのだろうな」
しかしそう言った千冬の神楽を見る目には少しの不安が見られた
「心配ですか?一夏君のこと」
「いや、全く」
「はいはい、じゃあさっさと戻りましょうか、明後日は休みですもんね、織斑先生も早く実家
に戻りたそうですし、少しでも仕事を早く終わらせましょー」
即答したのにもかかわらず、真耶は微笑んだままで意見を変える事はない
これは何を言っても無駄と悟った千冬は静かに運転席に乗り込むのだった。
作品名:女性恐怖症のIS<インフィニット・ストラトス> 作家名:小鳥遊 遊