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氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
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第9Q 子供も案外怖いかもよ?

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「なにやってんだ、早く来い!」
「すいません。遅れましたー」
「なんでそこだけ流暢なの?!」
常習犯らしい。
いろいろ唖然とする誠凛一勢に新協の主将らしき三年生が近づく。
「あ、そーいえば、誠凛さん」
「は、はい?」
「海常に勝ったってマジ?」
「いや…まぁ、練習試合で、ッスけど」
「……んだよ、思ったよか大したことねぇじゃん」
「カイジョー?」
お父さんが反応した。それに新協三年が答える。
「『キセキの世代』入ったとこ。こないだ、教えたろ!」
……誠凛一勢がイラッとしたのは言うまでもない。
「『キセキノセダイ』……マケ?……キセキノセダイにカツために呼バレタのに、ソンナガッカリダよ。弱クて」
彼はフンッと鼻息を出して、トボトボと歩いた。その途中で、
――ドンッ
僕とぶつかった。彼は僕に気づかないのか、少しキョロキョロして、――見つけて持ち上げた。
「ダーメですヨー、ボクー。子供がコートに入ッチャー」
「ん?どっから来…って、ちょっ、バカ!!そりゃ相手選手だ!!」
「センシュ?」
僕の上着の下から覗くユニフォームを見て、
「アンナ子供のイルチームに負ケル?『キセキノセダイ』って、ミンナ子供?」
「ハハッ、かもな」
……僕がキレて、ほかの誠凛一同は必死に、もう本当に必死に笑いをこらえていた。その隙に、
「あれ、アンナトコに女子もイル。アレは、」
「あの人も選手だな」
「『キセキノセダイ』ッテ、弱スギだ」
……ブッツンッ
なにか、明らかに異様なものがぶち切れた音がし、紺野さんがヨロヨロと自分のバックに向かう。そこから、取り出したのは、
「やめろ、紺野!!!いくらキレたとしても、人殺しはダメだ!!ってか、どっから持ち出した、その日本刀!!」
「斬る!!!!!無限一刀流で!!!!」
「なにその変な流派?!!!」
「先輩、正直いろいろイラッと来ました」
「黒子のそれは脅しだ!脅迫だ!!」
「安心してください。モデルのじゃありません。弾丸もちゃんと入ってます」
「余計悪いわ、ダアホ!!」
「やめろよ、二人共」
ガツンッと頭を叩かれる。火神くんのようだ。
「「痛い」です」
「……まぁ、二人がなにげに負けず嫌いなのはわかるけどよ。勝負はバスケでしようぜ。んで、」
すでにユニフォーム姿の火神くんが僕らの上着をひっつかみ、脱がせた。そして、新協に向かって宣言した。
「子供を怒らせると結構怖いってこと、お父さんたちに教えてやるか」

3―火神大我
「へ?紺野さんと黒子くんも先発(スターター)?」
相田先輩が選手を集める中、やっぱ黒子たちは口を出した。
「二人共、時間制限あるでしょ?控え選手、すなわちシックスマンとして、戦況見て出していくって言ったじゃない」
「「お願いします」」
「なんで二人して目がギラついてるのよ……」
先輩は、試合前の話し合いのためか、二人の一騒動を見てないらしい。
「ま、初っ端からからカマすのも、嫌いじゃないし、いいわよ。……ただし、いきなり切り札見せるんだから、中途半端じゃ逆効果よ。紺野さんは先発としても第1Qだけであとは戦況次第、は当たり前として、その第1Qで、最低10点差はつけなさいよ」
――普通の学校にだったら、その命令は無茶苦茶な気もするが、二人はそんなことも考えてそうにねぇ……。
さて、
「それではこれより、誠凛高校対新協学園高校の試合を始めます」
「「「「しゃす!!!」」」」
挨拶のあと、みなが散らばる中、またお父さんがため息をついた。
「キョウのテキもミンナ小サイ……みんな、ゴハン食ベテる?――ソレに、サッきは子供がベンチにイタし、」
「子供じゃありません」
「ワァ!!って、ベンチじゃなくてスターター!!!ナニソレ?!!」
もしかして、試合の度に黒子、驚かれるのかよ……。と、同じことを思ったのか、近くにいた主将も、
「めんどくせーから、次からあらかじめ言っとこう」
俺は苦笑しながら賛同した。
ボールは上に放られ、俺も高らかに飛んだ。――けど、
バシッ
「うおっ、マジかよ!!っコノヤロー」
「火神が高さで負けた!」
「まずは新協ボールだ!」
「させねぇよ!!」
と、俺はお父さんの前に出て、フリースローラインで相対する。
そこでお父さんは、俺を無視してんのか……ノーフェイクでジャンプシュートの構えを見せる。
舐められた気分で俺は飛んだが、
ピッ
た、高ぇ!!!!
スパンッと、ボールがネットをくぐり、新協に二点が入った。先制を取られちまった。
「チョロイね」
クソッ、……いらつく。
日向先輩と伊月先輩がボールを回し、お父さんから結構な距離をもってから、フリーの日向先輩が撃つ。
刹那、下から長い長い腕が伸び、
バシンッ
ボールはお父さんの手に収まったのだった。
って、あそこからでも届くのかよ!守備範囲どんだけだよ?!!
「ヨッと」とか言いながら、着地して、新協側でボールが回る。
そこで俺たちのベンチから一年の三人が言った。
「デタラメだろ、あんなの」
「やっぱズリーよ、外国人選手なんて」
いや、でもよ…と思っていると、斜め後ろで新協の主将と日向先輩が話し始めた。
「誠凛さんって、あれ?スポ根系?」
「は?」
「いるんだよね、よくさ~。『助っ人外国人ズルい!』みたいな?別にルール違反とかしてねぇし」
え?
「そうなのか、黒子?」
「外国人は2人まではいいんですよ。というか火神くん、さすがに黙っててください」
いいじゃねぇか、知らなかったんだからよ。新協主将は話を続ける。
「強い奴呼んで、何か悪いの?楽だぜ、あいつにボール回しゃ、勝手に点入ってくしな。楽して勝ちたいだけだよ。それのどこが悪いんだよ、って感じ」
日向先輩は、一瞬だけ呆れ顔をして、言った。
「そのポリシーなら、逆に文句言うなよ。強い奴なら、うちにもいるから」
「はっ?」
簡単な敬語も忘れ、相手は疑問を投げる。
呼んでないけど、とあとから付け加える日向先輩であった。
ちなみに、いまは8-3で負けてる。くそっ…っていや、水戸部先輩、
「大丈夫だぜ、っすよ」
心配そうな先輩を見て、とりあえず言う。まあ、いいや。
シュッ――ガツンッ
「くっ……」
「おいっ、パパ?どうしたよ、シュートの精度がぐっと落ちてるじゃんか」
それは俺のせいだがな。なんたって、
「火神くんがパパに自分のプレーをさせないからね」
だからだ。相田先輩、解説してくれて楽だぜ、うん。
そう、俺はこの新協との戦いに備えて、DFの特訓をしたんだ。

〈DFも燻し銀、水戸部くん!〉
いや確かにCだけれども!身長俺より低いじゃん!
〈シュートを止めるのは、なにもブロックだけじゃない。相手に外させることも方法の一つなのよ〉
いや、そうだけどよ、無理だろ。
――と思ってたんだけど、
外で、はともかく、インサイド限定の1on1だと、結構きついな……。
シュートも、なかなか入らねぇ。
身長も差があるのに、なんでだ?
…………そうか。

DFでは相手のしたいことをさせない、相手の行きたいとこへ行かせない。それをなせば、身長が高いやつでも、抑えられる!だから、
「火神くんがパパのプレーを邪魔しているから、パパのシュートはもう入らないも同然よ!」
だぜ!