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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL

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 スクレータの声は鳩尾に受けた、奇抜な化粧でめかしこんだ女の拳によって、止められた。
「まさかこいつらが神殿の仕掛けを解いてくれるとはな、やったなサテュロス」
 女は自分の腕でうずくまるスクレータをそばに寝かせて、言った。
「後は奴らが全てのエレメンタルスターを集めてくるのを待つのみよ。楽なものだな」
 サテュロスは腕のなかで暴れるジャスミンをしっかりと抑えつけながら答えた。
 ジャスミンは何かを叫んでいたがサテュロスの手によってもごもごとしか声にならない。しかし心では全力である者に助けを求めていた。
――ロビン、助けて…!――
    ※※※
 ガララ、と音を立て足元がくずれた。
「うわぁ!」
 ジェラルドの驚きの声が響きわたる。
「つかまれ!」
 ロビンがジェラルドに手を差し伸べる。ジェラルドはそれをしっかりと掴んだ。
 足元から落ちていった石が数秒後に小さな水音を立てて沈んだ。
「こ、今度こそ死んだと思ったぜ…」
 ジェラルドは顔を冷や汗でびしょ濡れにしながら言った。ジェラルド、これで通算三回目の九死に一生を得た。
「だから気を付けろって言っているのに、それにしてもお前も悪運が強いなあ」
 世界中探したとしても同じ日、同じところで何度も九死に一生を得る人物などジェラルドを除いていないだろう。
「まあでもこれで2つだな」
 ロビンはジェラルドを足場の広い崖に担ぎ上げて言った。
 彼等の目の前には黄色く輝く玉がある。地のエレメンタルスター、ヴィーナススターである。
 ロビンはヴィーナススターが奉られている女神像からそれを取り、持っていた袋に詰め込んだ。
「さあ、次はあの紫の光を目指そうか。残るはあと二つだ」
 ロビンは言った。
 彼等は既に二つのエレメンタルスターを手に入れていた。一つは先ほどのヴィーナススター、もう一つは水色に輝く玉、マーキュリースターである。ロビン達は次なる宝玉、ジュピタースターを目指すところである。
「しかし、ほんと損な役割だったなぁ」
 ジェラルドは崖を跳びこしながら前方のロビンに言った。
「もうここまでやっちゃったんだからそんな事言うなって」
 ロビンはジェラルドの方を向かずに応えた。
「それよりジェラルド、あんまり喋ってるとまた滑るぞ」
 ロビンはジェラルドに忠告した。しかし、忠告も虚しくまたジェラルドは足を滑らせた。
「ジェラルド!」
 ロビンはその場に静止し、ジェラルドを向いた。見るとそこにはジェラルドはいなかった。
――まさか、今度こそ…?――
 ロビンはもう一度よく目を凝らした。するとそこにはジェラルドの手が、崖の縁を確かに握っていた。
「オレ多分この先いいこと無いだろうな…」
 ジェラルドは崖に身を乗せて言った。
「オレもそう思うよ…」
 ロビンも言った。 こんな様子でようやく紫のエレメンタルスターの元へとたどり着く事ができた。しかし、そこで重大な問題にぶつかってしまった。
「ロビン、足場が無いぞ…」
 そう、切り立った崖に女神像とエレメンタルスターがあるのみできっちり踏める隙間もないのである。
「ここからじゃ遠すぎてエナジーも届かないぜ…」
 距離は大体15メートルほどである。通常、エナジーが届く範囲はせいぜい8メートルくらいなのでとても届くはずもない。
「どうする、これは諦めるか?」
 ジェラルドには諦めの色が濃くなっていた。しかし、ロビンはそうではなかった。
「エナジーで取る」
 ロビンは言った。
「だから言っただろ、届かないって」
「いや、届く」
 ロビンは覆らなかった。
「じゃあもう好きにしろよ!」
 付き合いきれるか、とジェラルドはそっぽを向いた。
『キャッチ』
 ロビンはエナジーを発動した。しかし案の定エレメンタルスターまでの半分くらいのところでエナジーは途絶えてしまった。
「だから無理だって、もうこれで四回目だぞ」
 ジェラルドの説得に、ロビンは応えなかった。
『キャッチ』
 今度は半分も行かない。
 ロビンは息を切らしている。
――どうしてだ、どうして届かないんだ。こんなはずは無いのに――
『キャッチ』
 5メートル先で消えた。
「もうよせ。エナジーが無くなっちまうぞ!」
 ロビンはやはり応えない。その代わりにロビンは強く念じた。
 ロビンの周りに光が発生し始めた。それはだんだんに強くなっていく。
「ろ、ロビン…!?」
 ロビンの腰の辺りにあるヴィーナススターも黄色く光を放ち始めた。
――行くぞ…!――
『キャッチ!』
 エナジーが大きな力となって、一直線にジュピタースターへと向かっていく。
 残り7メートル、5メートル、エナジーは途絶えることなく向かっていく。そしてついにジュピタースターに届いた。
 エナジーはジュピタースターを優しく包み込むとロビンの手元へと戻ってくる。そして、それはロビンの手の中へと収まった。
「やった…」
 ロビンは疲れ果て、その場に膝をついた。
「ロビン!」
 ジェラルドはロビンの元へと駆け寄った。
「どうだ、ジェラルド。…取れたぞ」
 ロビンはジェラルドの目の前へとジュピタースターを差し出した。
「ああ、すごいぜロビン!おかげであと一つだぜ!」
 ジェラルドは喜んでいた。
「立てるか?」
 ジェラルドは訊ねた。
「今は…、ちょっと…」
 ロビンは弱々しく答えた。
「そうか、まあ、何にせよ最後のエレメンタルスターはここから反対側だ。一旦みんなの所に戻らないと行けそうにないから少し休んでから戻ろう」
 ジェラルドの言葉にロビンは
「ああ」
 とだけ応えた。
「お疲れのようですね」
 突然どこからともなく声が聞こえた。
「誰だ、どこにいる!?」
「ここですよ」
 ロビン達の目の前の崖に空間から男が現れた。
 男は戦士風の格好をし、水色のマントを羽織っている。緑がかった青い長髪を結わえておらずにエナジーによるものなのか、ゆらゆらと揺れていている。その目までもが髪と同じ色をしている。
「何者だ、お前!」
 ジェラルドが男を睨み付けた。
「そう恐い顔をなさらないで、そのうちに分かりますよ…」
 男は言うとロビンの腰にあるエレメンタルスターを奪った。
「沢山歩かせては悪いですからねえ、私が預かっておきますよ」
 男は言いつつ空中に浮かんだ。
「最後のエレメンタルスターも頼みましたよ」
 男は消えた。
「大変だ、このことをスクレータに伝えなきゃ!」
 ロビンは立ち上がって言った。
「行くぞ、ジェラルド!」
「おう!」
 ロビン達は崖を跳び始めた。
    ※※※
「それにしても、アレクス達遅いな」
 奇抜な化粧の女、メナーディが言った。
 メナーディはジャスミンの腕を縄で縛っている。
「ちょっと、何すんのよ!解きなさいよ!」
 捕らわれの身になってもなおジャスミンは強気である。
「うるさいぞ小娘が!生かされているだけありがたく思え!」
 メナーディはジャスミンに怒鳴った。
 ジャスミン一旦は怯んだが、またすぐにメナーディを睨んだ。
「サテュロス、やはりこいつは一度痛めつけて…」
「人質には手を出さない、あやつと約束したであろう」
 サテュロスは自分の傍らにいる仮面の男に指さした。
作品名:黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 作家名:綾田宗