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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL

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「お前は一体なんだ!?」
 ロビンが叫んだ。
「我はワイズマン…」
 岩はワイズマンと名乗った。
 ふと、彼らのいる場所が揺れ始めた。先程マーズスターを取った時よりも激しい揺れであり、辺りの崖がさらに崩れていく。
 いよいよ噴火が始まってしまうのかと思った矢先、揺れは、収まった。
 ロビンが不思議に思い、ふとワイズマンを見ると何かをしていた。
「私の力では噴火活動を止められぬ…ロビン、ジェラルド早く逃げよ」
 なんとワイズマンはエナジーでこの揺れを止めていたのだ。
 それよりも不信なことがロビンにあった。
「どうして、オレたちの名を?」
 ワイズマンからの返答はなかった。代わりに、
「マーズスターを出せ」
 所望が返ってきた。
「おい、オレの質問に…!?」
 ロビンの言葉は止められた。金縛りのようなものに遭ったからである。しかしそれは普通の金縛りとは異なり、体がかってに動き出した。
――なんなんだこれは…!?――
 声すらも出せないロビンは心中で叫んだ。
 やがてロビンの体はワイズマンの前まで行き、ミスリルのマーズスターを入れてある袋からそれを取り出し、ワイズマンに差し出した。
 ワイズマンには手がない、故に念動力によって彼自身の目の前に運んだ。運ぶと、次は何かを念じ始めた。
 マーズスターが不思議な光を帯び始めた。それから数秒の後、それは消え、マーズスターは何事もなかったように元に戻った。
「仕舞うがいい…」
 ワイズマンの言葉と共にロビンの体も動くようになった。
 ロビンは言われたように宙に浮くマーズスターを取ると、それをミスリルの袋に入れた。
「おい、ロビン大丈夫か?」
 ジェラルドもまた金縛りに遭っていたようで今になってロビンに駆け寄ってきた。
「ああ、それよりも…」
 ロビンはワイズマンを見やった。
「お前、今一体何をしたんだ?」
 ワイズマンは答えなかった。
 またしても揺れが起こった。今度のは今までよりも数倍大きい。崖の崩壊もここにまで迫ってきそうな勢いである。
『……!』
 ワイズマンは声にならない叫び声で何かを唱えた。
 ワイズマンの体全体が光り出し、溢れ出した力を地面へとぶつけた。一旦は揺れが収まったかのように思えた。しかし、
………ゴゴゴゴゴ………
 地響きの後すぐにまた揺れが来た。さっきよりも更に大きい。
しかもさっきよりも恐ろしいことも起きた。
 今まで水があった所の水が引き、代わりにマグマが溢れ始めたのだ。
「うわ!もうオレたち死んじまうのか!?」
 ジェラルドは地に這いつくばって叫んだ。
『………!』
 ワイズマンはまた何かを唱えた。こちらもさっきより大きな力が地面へと働く。しかし、大地はその力を遥かに凌いでいた。
 遂にはマグマが柱の如く噴き上がり始めた。
「駄目だ、我には止められぬ。ロビン、ジェラルド早く逃げろ」
 ワイズマンはさして慌てる様子もなく言った。
「早く逃げろなんて言われても…」
「この揺れじゃ立つことも出来ねーよ!」
 ロビン達は這いつくばるしか出来なかった。
 それをワイズマンは1つしかない目で見やると、
「分かった、手伝おう」
 何かをし始めた。
 それはとても大きなエナジーの力であった。エナジーはワイズマンから更に更に大きくなって出てくる。そして、詠唱した。
『テレポート』
 眩い大きな光がロビン達を包み込んだ。
「うわあああぁぁ!」
 次の瞬間、二人の叫び声とともに彼らの姿はそこにはなかった。
「これでよいか…」
 1人となったワイズマンはマグマのたぎる中呟いた。
「後は私の役目か…」
 ワイズマンもまたその場から消えた。
    ※※※ 
 ロビンは目を覚ました。上半身のみを起こし、辺りを見回した。
 そこは木々に囲まれた場所であった。長閑な鳥のさえずりが聞こえる。
 背後には、ソル神殿が建っていた。相も変わらず荘厳な扉をたずさえて。
――帰ってこれたのか?――
 ロビンにはまだ疑問であった。なにせ死ぬしかない状況下につい先ほどまでいたからである。
「おい、起きろジェラルド」
 ロビンは自分の傍らでまだ気を失っていたジェラルドを揺すり起こした。しかし目を覚まさない。
「起きろジェラルド!」
 ロビンはジェラルドの耳元に寄って、大声で言った。
「うわあ!」
 ジェラルドは跳ね起きた、ロビンが耳元で大声を出したせいで耳がおかしくなってしまったが。
「んだよもう、耳元で大きな声出すなよ…」
 ジェラルドは不機嫌そうな顔で耳をほじくっている。
「ていうか」
 ジェラルドは周りを見る。
「ここどこ?」
「どうやらオレたちソル神殿から出られたみたいなんだ」
 ロビンは背後のソル神殿に親指を立てた。
「なんだって、本当か!?」
 ジェラルドは続けざまに喜びの声を上げた。
「生きてる、オレは生きてるぞ!」
 そこへ草が踏まれる音がした。
「誰かそこにいるのか?」
 声まで聞こえた。
 ロビン達は驚きのあまり身動き出来ずにいた。やがて声の主が現れた。
「お、お前達こんな所にいたのか!?」
 それはハイディア村の神殿の神官であった。
 ロビン達はソル神殿に潜入する前にこの神官の目を盗んでここまで来た。なのでただでさえ禁断の地なのに入り込んだとあっては相当怒られる、はずだったが。
「早く逃げなさい。アルファ山が噴火するぞ!」
 意外な、というよりも神官の言葉はかなり切羽詰まったものだった。
    ※※※
 ハイディア村の神殿に村人全員が集められた。それはロビンの意志によるものだった。
 ロビンとジェラルドは自分たちに起きた出来事、行ってきた事すべてを告白した。
 禁断の地ソル神殿に潜入したこと、謎の戦士風の男女が現れたこと、錬金術の鍵を握る宝玉エレメンタルスターのある不思議な空間に行ったこと、ジャスミンとスクレータが空中浮遊や空間消滅を行える戦士と先程の男女にさらわれたこと、アルファ山の噴火の被害はワイズマンによって防がれたということを、そして、ガルシアが生きていたことを。
 ロビン達がひとしきり話終えた後しばらく村人は黙り込んでいた。やがてまず最初に村長であるジェラルドの祖父が沈黙を破った。
「ジェラルド、ロビンよくぞその事を伝えてくれた。しかし、ソル神殿に無断で入ることは何を意味するか、分かっておるな?」
 村長の表情は厳格である。
「うん…、分かってるさじいちゃん」
 ソル神殿に無断で入ることはハイディアの掟として、死罪、軽くても村外追放の罰は免れない。
「待ってくれよ村長!」
 集まった村人の中の若者が前に出た。
「たかがソル神殿に入ったくらいで罰を与えるなんてひどいぜ、まだロビン達は子供なんだぜ!」
 私も、僕も、と口々に村人は続いた。
 さらに若者は続けた。
「大体ジェラルドはあんたの孫なんだろ」
 村長は厳格な表情のまま深く頷いた。
「うむ、皆がそう言う気持ち、痛いほど分かる。しかし村の長としてこうしたことはしっかりせねばならぬ。たとえ、我が孫であってもな…」
 村長の顔は威厳を保ちつつも悲しみが表れていた。
「みんな、ありがとう…」
 ジェラルドは続けた。
「みんながそう言ってくれて、嬉しいよ。でもやっぱり罰は罰だから…」
作品名:黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 作家名:綾田宗