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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 3

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 魔物が現れないのは結構なことだが、ジェラルドにとっては少し残念な事だった。それほど回復したということなのだろうが。
 洞窟を進んでそろそろ一時間は経とうかという所でジェラルドは行き止まりに着いてしまった。
 ジェラルドの向かいの方向には進めそうな穴があるのだが、そこまで行く道がないのである。おまけにこれまで通ってきた道と比べると薄暗く、足元を見ることは難しい。
 これまでの道の中で地面が尖った所があった。ここは修行の場であるが故の罠であろうが、それがここにもあったらうっかり踏んでしまおうものならまた怪我を負うことになってしまう。
 ジェラルドは考えた。
――ここで行き止まりなはずはねえ。ここ以外に道はなかった。ここであってるはずなんだが…――
 ジェラルドは周りの壁を叩いたり、地面をよく見たりして調べた。
 壁を調べているうちにジェラルドは大きな石像があることに気が付いた。それは龍の形をなした物であり、灰色をしている。ジェラルドがなかなか気付けなかったのも無理なかった。
 龍の石像の傍らに何やら石版が立てられていた。
 ジェラルドはエナジーで小さな火を指先に出してそれを明かりにして石版を読んでみた。
――龍の目に光が灯されし時、まことの道が示される――
 ジェラルドには皆目見当も付かない。
「龍の目に光だって?そんなもんどうすりゃいいんだよ!」
 ジェラルドは1人大声をあげた。腹いせに石版を蹴ったりもした。意外に石版は固く、ジェラルド自身の足を痛めるだけで気分は全く晴れなかった。
 目にうっすら涙を浮かべて足の指先をさすっていたら脚に何か当たっているような違和感があった。
 ジェラルドはポケットから赤い宝石を取り出した。洞窟に入ってすぐに戦ったミミックが落としていった物である。
「もしかしてこれ…」
 ジェラルドは龍の石像の顔を調べてみた。案の定目の部分が何かはめられそうになっていた。
 ジェラルドは宝石を龍の目に取り付けた。かちっ、という音と共に宝石はぴったりと窪みにはまった。
 龍の石像の目がキラリと煌めくと口が開き炎を吐き出した。炎が周りにあるたいまつに燃え移り、辺りは明るさに包まれた。
「よぉし、これで謎は解けたぜ!」
 ジェラルドははしゃいだが、またすぐに新たな謎にぶつかってしまった。
 周りが明るくなったのはいいが、どうやってここから先に進むのか解決出来ていないのである。
 ジェラルドは一段下の地面を覗き込んだ。地面には尖った石が沢山ある。
「こりゃ落ちたら串刺しだぜ…」
 とても無理な事は出来そうにない。
 突然ジェラルドは下の地面に影になってジェラルドの向こう側にある穴までそれが一直線になっているのに気付いた。
 影になりそうな物は特に見受けられない。しかし何も無いところに影などできるはずがない。目には見えないが何かがあるのではないだろうか。
――行ってみるか!――
 ジェラルド意を決して影となっているところに足を踏み込んだ。すると全く見えないがそこには確かに足場があった。
 そのままジェラルドは影が繋がっている通りに進んだ。それはとても危険な道だった。影を見誤れば真っ逆さまに石の槍に串刺しになるからである。
 どうにかジェラルドは渡りきる事ができた。
「ああ…、恐かった…」
 安堵しながら進んでいると次の試練が待ち受けていた。
「ふ、簡単には通さないってか?おもしれえ、かかってこいよ!」
 目の前に現れたのはキラーエイプであった。 長年生き長らえた猿が大猿となった魔物である。
 獰猛な唸り声をあげる口は鋭い犬歯がのぞいており、手には爪が尖っている。体長はジェラルドの二周りは大きい。まさに猿の一群を束ねるに相応しい風格である。
 キラーエイプはその鋭い爪でジェラルドに襲いかかった。しかしその攻撃は速くはなくジェラルドはよけた。キラーエイプは勢いのままに岩にぶつかった。岩は砕けた。力は相当あるようだ、まともに受ければ無事では済まされない。
「ふ、いい攻撃だな!だが、ちゃんと狙わなきゃ意味ないぜ!」
 次はジェラルドが大剣を振るった。しかしキラーエイプはその巨体からは想像できないほど身軽な動きでバック転をしながらジェラルドの攻撃をかわした。
「猿のくせにやるじゃねえか」
 キラーエイプはニヤリとした。
「笑ってんじゃねえ!」
 うおりゃ、と剣を振る。キラーエイプは華麗なジャンプでかわす。大振りの一撃をよけられた事でジェラルドには莫大な隙が生まれてしまった。
 キラーエイプは落ちる勢いを利用してジェラルドに爪を立てた。
「…!」
 ジェラルドの胸元から血が噴き出した。傷は深く見えるが、もしとっさに後ろに下がらなければ体を分断されていたかもしれない。
「ちきしょう…また傷が増えちまったぜ…」
 ジェラルドは胸元を押さえた。押さえる手はすぐに血で赤色に染まってしまった。
 ジェラルドはフッと笑うと血まみれになった手を振った。血の滴がキラーエイプの目に飛んだ。 キラーエイプは血によって視力を失い、何よりも痛みで悶絶した。ジェラルドはそこに斬りかかった。
 ジェラルドはキラーエイプの左肩から腕を斬り落とした。キラーエイプの腕が地面に落ちると同時におびただしい量の魔物の血が噴き出し、ボトボト落ちた。
 キラーエイプは痛みと怒りで大声をあげた。目が開ききらないままにジェラルドに飛びかかった。キラーエイプはジェラルドを狙っているつもりだったのだろうが、全く違う所で壁にぶつかった。そこでジェラルドは次に背中を突き刺した。剣を抜くと血しぶきがあがった。
 キラーエイプはもはや死にかけである。
「とどめを刺してやるよ」
 ジェラルドは全ての精神力をエナジーに込めた。
『フレアストーム!』
 キラーエイプの左右へと広範囲に及ぶ大きな炎が包み込んだ。
 キラーエイプは叫び声をあげながら炎の中で灰になっていった。
 ジェラルドが斬り落とした腕はすぐに朽ち果てて砕け散った。
 ジェラルドは胸元に負った傷を押さえて重い足取りで最後の部屋にたどり着いた。
 そこには石版と石の台座の上に丸い光輝くものが置かれていた。
 石版にはこう記されていた。
『ここまでたどり着きし者にフォースの極意を授ける。フーチン寺当主、ニュンパ』
 ジェラルドは台座の上に置かれていたオーブを身に付けた。付けた途端に新たなエナジーが頭の中に浮かんだ。
 ジェラルドは手先に精神を集中した。エナジーが一気に貯まっていく。そして発した。
『フォース!』
 貯められたエナジーが物凄い勢いで飛んでいく。それはあまりの勢いによってそばにあった岩が砕けてしまう程だった。
「やった。オレはついに奥義を手に入れたんだ!」
 ジェラルドは感激のあまり傷の痛みなど忘れていた。だがすぐに思い出された。
「痛てて…、こりゃ早いとこ外にでて傷を治してもらわなきゃな…」
 ジェラルドは道を戻るのだった。
    ※※※
「ニュンパさん、本当にジェラルドの修行は終わったんですか?」
 ロビンは訊ねた。
「うむ、先程修行の穴より大きな精神力を感じた。恐らくそれは奥義によるものじゃ」
 ニュンパは自信満々に答えた。