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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 3

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「ええ…ここまで来て行き止まりですか?」
 イワンはげんなりとした。
「いや、待て何か立て札があるぞ」
 リョウカは指を指した。示す先には古ぼけた立て札がある。メアリィが近づいて読み上げた。
「私が読みますね。ええと、『危険、落盤の恐れあり。壁に衝撃をあたえるべからず』だそうです」
 この立て札はある人物の好奇心を駆り立ててしまった。
「よおし、ここはオレに任せとけ…」
 ジェラルドは何の迷い無く壁の前に立った。
「おい、よせジェラルド!」
 ロビンは止めにかかった。
「そうですよ。本当に落盤が起きたらどうするんですか?」
「大丈夫、大丈夫きっと壁が崩れて道が出てくるってパターンだよきっと」
 ジェラルドは壁に手を向けた。
「おい、止せと言ってるだろジェラルド」
 メアリィもコウランも止めましょう、止めるアル…とジェラルドを止めようとしていた。
「あ?もう、うるさいな!大丈夫だから任せとけって!」
 しまいには怒鳴ってエナジーを発動してしまった。
『フォース』
 手先に集中したエナジーを一気に前方の壁に衝撃をあたえた、次の瞬間。
………ゴゴゴゴゴ……
 嫌な音がしてきた。音は上の方から聞こえる。ロビン達はふと、音のする方を見上げた。大きな岩が今まさに落ちようとしている。ジェラルドはひきつった顔で言った。
「おいお?い、誰だぁ壁に衝撃ぶつけようぜ。なんて言ってた奴は??」
 全員くるっと振り返って走り出した。そしてジェラルド以外の全員が声を揃えて叫んだ。
「お前だろ?が?!!」
 ゴンゴンと辺りにぶつかりながら大岩が転がってくる。ロビン達は全力で走っているが、岩もかなり速い。しかもぶつかる度に破片が飛び散ってくる。
 おまけに道もかなり悪く、何度もつまづきそうになった。この状況でつまづこうものなら、間違いなく岩に潰されてしまう。
 ようやく三方に分かれる道が見えてきた。岩からもようやく助かる。
「あっ!」
「コウラン!」
 コウランがつまづいて転んでしまった。岩は彼女のすぐ後ろにある。
「くそ!」
 リョウカは腰の刀を鞘ぐるみに帯から抜き、飛び上がった。
 岩の真上で刀を抜いた。キンッという音を立てて刀身は岩を叩いた。さすがに斬ることはできなかったが、少しばかり軌道をずらすことはできた。
「ロビン、コウランを!」
 言われる前からすでにロビンは飛び出していた。
 コウランを抱き締めて向かい側の方へ飛び込んだ。
 岩は一段下の地面で盛大な音を立てて砕け散った。
 ロビンは腕の中のコウランに問いかけた。
「あの、大丈夫?」
 コウランは赤面し、小さくなって答えた。
「う、うん。私は…」
 その反応にロビンもはっとなった。
「ご、ごめん!今どけるよ!」
 ロビンは大慌てでコウランの上からどいた。コウランを抱き締めていた感覚がまだ腕に残っているような気がした。
「お?い、大丈夫かロビン、コウラン」
 リョウカの声が投げかけられる。
 ロビンは答えた。
「大丈夫、今そっちに行くよ」
 ロビンはまだ尻餅をついているコウランに手を貸して立たせると仲間がいる所に行った。
 皆がいる所へ行くと皆一段下の地面を見つめていた。
「みんな、どうしたんだ?」
 ロビンは誰にともなく訊ねた。するとメアリィが見つめる先を指差した。
 先ほどの落石でそこには大きな穴が空いていた。その穴の先には灯りが見えた。しかも穴の周りに敷かれていたトロッコのレールがうまい具合に梯子のように垂れ下がっていた。
「もしかしたらあの先に何かあるのではないかと思っていたのです」
 メアリィは言った。
「下りてみますか?」
 イワンは訊ねた。
「そうだな、下りよう。どのみちこの先道がなかったしな」
「オレが落盤を起こしたおかげで道が開けたんだ。まっ結果オーライて事で」
 ジェラルドが調子に乗ったことを言うと全員の冷たい視線が注がれた。
 ジェラルドは首をすくめるしかなかった。
 穴の下に下りてみると、
「これは…」
 驚く事にそこは壁が石造りであった。壁に掛けられた燭台の炎によって辺りの壁の石は綺麗な光沢を放っている。
「どうして鉱山の地下にこんな物が…」
「ロビン、敵だ!」
 瞬間ロビンの足元に氷が飛んできた。『チルド』のエナジーである。
 ロビンは剣を抜き放ち、氷が飛んできた方向を見た。
 丸いようでゴツゴツした体に不釣り合いな短い手足が特徴的な青い魔物がこちらに唸り声をあげていた。
 これがアルテインを水浸しにした魔物、ハイドロスタチューだということは容易に判断できた。
「こいつが元凶だな」
 ロビンは剣を構えた。
「見るからにトロそうなヤツだぜ。みんなで一斉にかかればすぐ片付くんじゃねえか?」
 ジェラルドは言った。
「よし、ジェラルド、リョウカ、一斉にエナジーをやつにぶつけるぞ」
 ロビンは両隣の2人に目配せした。2人は承知したとばかりに頷いた。
「イワン、メアリィ、コウランを守ってくれ」
「お任せください!」
 メアリィの返事が返ってきた。
「行くぞ!」
 ロビン達はハイドロスタチューを中心に逆三角形の陣形を組んだ。
『フレアウォル!』
『ヒートバーナー!』
『スパイアクレイ!』 リョウカの爆発を引き起こす炎が、ジェラルドの極太の一直線の炎が、ロビンの多数の土槍がハイドロスタチューに降りかかった。
 魔物はよけられていない、と勝利を確信したがそこにはまだハイドロスタチューの姿があった。
「そんな、無傷だと!?」
「バカな、確かに手応えはあったのに」
 ハイドロスタチューは水を吐き出してきた。強力な水圧はロビンに襲いかかった。
 吹き飛ばされ、壁に強かに激突し、ロビンは地に伏した。
「がはっ、ぐぅ…」
 壁にぶつかったロビンは内臓が潰れたかのように苦しんでいる。
「ロビン!」
 ジェラルドはロビンのもとに駆け寄ろうとした。
「ダメだジェラルド!」
 振り向くとジェラルドにも魔物の水が襲いかかった。
『プロテクト!』
 よけきれないと判断したジェラルドはエナジーで透明な盾を出現させた。しかし、水の勢いは凄まじく、エナジーの盾にひびが入りだした。 ジェラルドは盾を放り出して身を伏せた。一直線に飛ぶ水は石造りの壁にまでひびを入れた。
「あの野郎見た目よりもタフみたいだな…」
 ジェラルドは後ろでロビンを介抱しているメアリィに叫んだ。
「ロビンはどうなんだ!?」
「肋骨を何本か折っているみたいです。プライをかけますが治るのに時間がかかりそうです!」
「分かった。じゃあ早くかけてやってくれ!」
 ジェラルドは言った後ハイドロスタチューに向き直った。
 不気味な唸り声をあげてジェラルド達を見下ろしていた。見下ろす眼も相当不気味なものである。
「くっそー、次こそ焼き尽くしてやるぜ」
「ダメアル!」
 エナジーを詠唱しようとしたところにコウランが叫んだ。
「あいつ、火を受けるとき一瞬石になっているネ。だから、石になっても、むしろ石になって痛い攻撃をしないと…」
 コウランにだけは見えていた、いや予期していた。
 ハイドロスタチューはもともと石像に魔が取り憑いてできた魔物であるため、石になることは造作もないのだろうが。