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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 3

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 かば、と音を立てて体を起こした。荒れた息づかいで周りを見渡すとそこは窓から差し込む月明かり以外に辺りを照らす物が何もない。無論ここがどこなのかもわからない。
――夢だったのか?――
 がちゃ、とドアが開く音がした。見てみると金髪碧眼の少年が立っていた。
 ドアの向こうの部屋は暖炉で明るく照らされており、漏れだした明かりが少年の笑顔が鮮明に見えた。
「気が付いたんだね」
 金髪の少年ロビンは言った。
「ここはどこなんだ」
 少女はぶっきらぼうに訊ねた。
 ロビンは笑顔のままに答えた。
「イミル村の宿さ。君が灯台で倒れてたから連れてきたんだ」
 少女はロビンから顔を逸らした。
「そうか」
「あ、名前を言ってなかったな、オレはロビンていうんだ」
「…別に訊いていない」
 この言葉にロビンの笑顔は苦笑に変わった。
「あ、あのさお腹とかすかない?」
「別に…」
 言葉ではこう言えたが、体は正直だった。
「…ふん」
「何か持ってくるよ…」
 幸いいつもロビン達の倍は食べるジェラルドが今日、負傷してあまり食べなかったため少しシチューとパンが残っていた。ロビンはそれを少女のもとへ持っていった。しかし、少女はなかなか食べようとしなかった。少しの間が開いたあと、ついに空腹に耐えかねたのか食べ始めた。
 よほど空腹だったのか、あっという間に食べ終えてしまった。
 それから少ししてから初めて少女から口を開いた。
「ロビンと言ったか、お前も灯台にいたというなら少し訊きたい事があるのだが」
 とても嬉しく思ったロビンは笑顔で答えた。
「何?なんでも訊いてよ」
「シン、という男を見なかったか?」
 どんな事を訊かれても絶対に答えてやると思っていたロビンだったが、残念ながら覚えがなかった。
「ごめん、分からない…」
 ロビンが申し訳なさそうにうなだれる姿を見て少女はさして期待していなかったのかそうか、と顔を逸らした。
 少しの間沈黙が流れた。
「あの、君…」
「リョウカだ」
 少女は遮るように言った。
「え?」
「私の名はリョウカだ。…勘違いするなよ、ただいつまでも君、君呼ばれたくなかっただけだ」
 リョウカは思わぬ所で名乗った。当然ロビンは面食らってしまっていた。
――な、なんてトゲのある奴なんだ…――
「どうした、私に何か訊きたかったんじゃないのか?」
 圧倒されていたロビンにリョウカは言った。
「あ、ああそうだ。リョウカだっけ、どうしてあんな所で倒れてたんだ?」
 リョウカは一息ついてから話し始めた。
「アレクスという男と一戦を交えて私は負けた。アレクスも相当強かったが、私には及ばなかった。だが、灯台が灯った時、奴は各段に強くなった。そして私は奴の力の前に倒された」
 ロビンは考えていた、灯台がもたらす力はそれほどまでに大きいのかと。
「そうだったのか、あのアレクスと互角の勝負を…」
「互角ではない、灯台さえ灯らなければ私が奴を葬り去っていた」
 リョウカは悔しそうに言った。
「なあ、リョウカも灯台の解放を阻止しようとしてるんだよな?」
 ロビンは言った。
「ああ、そうだ」
「だったら…」
 ロビンは手を差し伸べた。
「オレ達と旅をしないか?同じ使命を負っているんだからさ。一人で行くよりもみんなで行った方が安全だし何より楽しいぞ」
 リョウカは少し間をあけて答えた。
「断る」
 ロビンは拍子抜けしたように体制を崩した。
「何でだよ?」
「お前と私は今初めて言葉を交わしただけなんだぞ、それなのにそう簡単に仲間になれなどと…」
 リョウカは言い切らないうちに欠伸をした。目もかなりうとうとしている。
「ずいぶんと眠たそうだね?」
「こんなに話したのは久々だったからな、少し疲れた」
 ロビンはリョウカを寝かせた。
「まあ、もう真夜中過ぎだしな、オレももう寝るよ。お休みリョウカ」
 あ、そうだ、とロビンは再びリョウカを見た。
「一緒に旅すること、もう少し考えてくれよ」
 ロビンは笑みを送り、部屋を後にした。
--一緒に、か…。何をバカな…--
 リョウカはロビンが部屋を出て行く所を見ながら眠りについた。
    ※※※
 夜が明けて朝が来た。
 窓から差し込む日の光でリョウカは目を覚ました。リョウカはベッドから出て窓の外を見た。一面の銀世界が陽光を浴びてきらきらと輝いている。早朝なのせいか、疫病のせいなのか歩いている人は見受けられない。
 リョウカは後ろを振り返り、ドアから部屋の外に出た。そこにはあの男と青緑色の髪をした自分と同じくらいの年齢の少女がソファーに座っていた。
「おはよう、結構早起きだね」
 ロビンは前日と変わらず気さくに声をかけてきた。
「おはようございます」
 にこやかに笑いながらメアリィは言った。
「あ、ああ…おはよう」
 リョウカは素っ気なく返した。
「ちぇ、なんだよメアリィには返してオレには返さないのかよ…」
 ロビンは拗ねてそっぽを向いた。
「あ、申し遅れました。私はメアリィと申します。あなたは…?」
 少し間を開けてから答えが返ってきた。
「私の名は…リョウカだ」
 ロビンと話したときはなかなか教えてくれなかったのに、メアリィにはすんなりと名乗った。これがロビンにはおもしろくなかった。
「…ちょっとイワンを起こしてジェラルドの様子をみてくるよ」
 すっかり拗ねてしまったロビンは席を立った。
 メアリィはお願いします、とロビンに言った。ロビンは答えずに階段を上っていった。
 さて、とメアリィはリョウカに向き直った。
「どうぞそこへ座ってください。あなたについて聞かせてくれませんか」
 リョウカは促されるままに向かいのソファーに腰掛けた。
「リョウカさんでしたね?リョウカさんはどちらからいらしたのですか?」
 メアリィは訊ねた。少しためらったがリョウカは答えた。
「ここからとても遠い、海を越えた先にある小さな孤島、ジパン島のイズモ村だ」
「イズモ村…初めて聞きましたわ。でもとてもいい所なのでしょうね」
 メアリィは一瞬難しい顔をしたが、すぐに笑顔に戻った。
「ロビンから訊いたのですが、リョウカさんも灯台の解放を阻止する目的があるそうですね。差し支えなければその目的を教えてくださいませんか?」
「…それは」
 リョウカは順を追って話し始めた。その昔イズモ村には村の神、魔龍オロチがいることを。
 イズモ村はオロチのおかげでこれまで何不自由なく生き長らえてこれたこと、しかしある年の祭りの日にオロチが大暴れをし始めた。村人達は果敢に立ち向かったが、相手はオロチ、龍の名の付くものであるため到底歯が立たず村人達は数多く死んでいった。
 そんな中村一番の豪傑、ミコトが伝説の剣あまくもの剣を求めて旅を始めた。それから2年後、彼は見事にあまくもの剣を手に入れてきた。そしてすぐにオロチと戦った。
 オロチの力は村一番の強者をも凌駕しており、伝説の剣をもってしても勝負は負けかけていた。そこで彼はある手段を使うことにした。自分の命を削ってオロチを封印する事である。
 ミコトはその策を成功させ、こうしてオロチは封印された。しかし、彼自身も命を削った事により、体の傷も相まってすぐに亡くなった。