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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 3

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「さすがに壊して進むのはまずいだろ?こんなに簡単な作りのバリケードだし、もしかしたらどっか外れるんじゃないかと…あ!」
 ロビンはバリケードの左端の木箱がどこにも釘打たれていない事に気づいた。
「ここだな、ようし…」
 ロビンは精神を集中させた。
『ムーブ』
 木箱はエナジーによって引き寄せられた。おかげでバリケードには人1人通れそうな隙間ができた。
「さあ、行こう。この先のコリマ村に」
 ロビンは先に進んだが、後には誰も付いてこなかった。
「どうしたんだ、みんな?」
「どうしてコリマ村に行くんですか?」
 イワンが訊いた。
「どうしてって、コリマ村の人達は木の呪いで苦しんでいるんだぞ?人として困っている人は助けないと」
 ロビンの言葉にジェラルドとリョウカは賛成した。
「そうだな、子供だってバカにされたままじゃ悔しいもんな」
「私達の力をマッコイに見せるのも悪くはないな」
 イワンとメアリィはどうにも気がのらないようである。
「人が木になっちゃうんですよ?そんなものに本当に立ち向かうつもりですか」
「私達が木になってしまうようなことがあればガルシア達を追えなくなってしまいますわ」
 イワンとメアリィは言ったが、ロビンは覆されなかった。
「大丈夫、きっとオレ達なら打ち勝てるって」
 イワン達は不本意な様子であったが、ロビンに従うことにした。
「ロビンがそこまで言うならお供しますよ」
「よし、決まったな。このままコリマを目指そう」
 ロビン達はバリケードを越えていくのだった。
    ※※※
 コリマの村には人は誰1人としていなかった。
 この村は森をそのまま人が住めるようにした村であるため建物はすべて大木を家にしている。なのでもともと木は多かったようだが、今この村は異変に包まれていた。
 人や動物が全くおらず木しかない。それも普通の木ではない。ビリビノの町の入り口で見たような服を着ている木なのである。
「ちょっと調べてみます」
 イワンは服を着ている木の一つの前に立ち、念じた。
『リード』
 イワンの心に直接声が響きわたった。
『誰じゃこいつは?この村にこんな奴いたじゃろうか。まだ木になっていないなら早く逃げた方がいい…』
 イワンは驚いた。
「みんな、この木はやはりもとは人だったようです!」
 メアリィはあるものに気づいた。
「あの木の葉にキラキラしているものは一体なんでしょう?」
 そこら中の木の葉に光輝く粉が付着していたのだ。みる限りそれは村中のあちこちに散らばっており、神秘的な光をはなっている。
「もしかしてこれが人を…うっ!」
 リョウカは胸に衝撃を感じた。
「どうしたリョウカ!ぐわっ!」
 ロビンも同じように衝撃を受けた。この2人だけではなく仲間達全員が受けた。
「なんなんだよこれ!?」
 その衝撃は鈍いもので痛みというよりは苦しみの方が大きい。鼓動はどくどくと早く打ち、喉が窒息しそうであり、なによりも呼吸がしづらい。この衝撃は何やらエナジーの力のようなものに感じる。
「くそ、誰かがオレ達の心に攻撃を仕掛けているんだ」
「私…立っているのも辛いわ…」
 メアリィは膝を付いた。
「耐えるんだ。倒れちゃいけない…」
 ロビンが、ジェラルドが、そしてみんな膝をつき地面に伏してしまった。
 倒れて体が完全に動かなくなった時、何かが降ってきた。 それは雪のようなものであった。しかし、この辺りの今の季節で雪など降るはずはない。
「何か…降ってきたぞ…」
「あれは…木の葉に付いていた粉みたいです」
「じゃああれがコリマの人達を木に?まずい、早く逃げなきゃ」
 ロビンはどうにか逃げようとしたが起きあがるどころか指一本動かすことができない。
「くそ、木になるしかないのかよ…!」
 全員が諦めかけた時不思議な現象が起こった。
 ロビン達を包み込むようにして不思議なオーラが発生した。光輝く粉はそのオーラに阻まれて消えていった。
『むん?なぜこの者達だけ木にならぬのだ?』
 老人のような声がロビン達の耳ではなく心に響いた。
『トレトのほうしを受けても木にならないなんて、この方々は特別な能力があるのですね』
 今度は若い女性の声が響きわたった。
『まあよい、どうせこの者どもにもコリマの滅びは止められぬこのままコリマの村人と一緒に滅んでくれる』
 声がやむと人を木にする粉も降り止んだ。
 同時にオーラも消滅した。
「あのオーラがオレ達を守ってくれたのか?」
「あれは一体何だったんでしょう」
「あれは、きっと私達のエナジーだ」
「エナジーだって!?」
 ジェラルドは立ち上がった。
「オレは別にエナジーなんか使ったりしてないぞ」
 ジェラルドははっとした。先ほどまで鉛のように重かった体が嘘であったかのように動いた。
「みんな、もう大丈夫だ。起きてみろよ」
 ジェラルドに促されて皆次々と起き上がり立ち上がった。
「リョウカ、さっきのオーラがエナジーだって言ってたが、どうしてなんだ?」
 ロビンは訊ねた。リョウカは説明し始めた。
「エナジーは集中した時に出る。そういうものだと思ってはいないか?」
「う?ん、でも実際集中しなきゃエナジーは出せませんよ」
「そう、確かに『フレア』や『レイ』は集中しなければ出せない。他のエナジーだってそうだ。だが私達には精神の奥深くに無意識に働くエナジーを持っているんだ。本当に命が危険になったとき、それは発動し、時として新たなエナジーとしてその姿を現す」
 ジェラルドは聞いていてあることに気が付いた。
「そういえばロビンは危ない目に遭った時に新しいエナジーを使えるようになってたよな?」
 今までロビンは魔物との戦いで何度も死の淵にたたされてきた。「アースクエイク」や「スパイア」はその時に覚えている。
「でも『ラグナロック』はいつ覚えたんだよ?」
 ジェラルドは訊ねた。
 ロビンは皮肉な笑みを浮かべながら教えた。
「あれはお前のおかげで覚えたんだよ…ホント、あの時は水に落としてくれてありがとうよ…」
 ジェラルドは思い出してすまなそうに肩をすくめた。
――まあ、それだけじゃないんだがな――
「とにかく私達は木にならない。トレトに滅ばれる前に早く村人を元に戻さなくてはな、森に行くぞ」
    ※※※
 コリマの森は枯れ始めて褐色に包まれていた。
 もともとは立派な木だったのだろうと思える立木も枯れて倒れかけてしまっている。
 何よりもどういうわけか現れる魔物が厄介だった。
「ロビン、敵だ!」
 ロビンは歯噛みした。
「くそ、またか!?」
 目の前に現れたのはスケルトンと痺れ蜂である。スケルトンとは今までも何度か戦ってきてそいつとの戦いは慣れているが、痺れ蜂はとてつもなく厄介な敵であった。
 最初一匹や二匹で来るところが戦闘で危なくなると仲間をどんどん呼び出してくる。
 何よりも怖いのが彼らの毒針である。それで刺さればその名の通り全身が痺れ動けなくなる。その間に集中攻撃を受けようものならとても太刀打ち出来ないのである。
「くそ、この!」
 ぶんぶんと羽音を響かせて襲いかかる痺れ蜂をジェラルドは大剣を振り回して追い払っていた。
「伏せろジェラルド!」
 間髪入れずにエナジーが発動された。