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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 3

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『フレア!』
 炎が渦を巻き爆発を起こした。炎の当たった痺れ蜂は消し炭も残さず消えた。
 運良く炎を免れた一匹がまた仲間を呼んだ。ぶんぶんという羽音が再び聞こえてきた。
「きりがないぜ、これじゃ!」
 ジェラルドは大剣を振り下ろした。しかしひらりとかわされ大きな隙が出来てしまい痺れ蜂に懐に入られて肩を刺されてしまった。
「くっ、しまった刺された」
 刺されたところはみるみるうちに赤く腫れ上がり、痛みが増大していく。次第に毒が体中に回ってしまい、目の前が真っ暗になり始めてついには体が全く動かなくなってしまった。
 痺れ蜂の群れは一心に動けなくなったジェラルドを襲い始めた。
『レイ!』
 直線上に広がる磁気が電撃となって痺れ蜂の群れに走った。電撃により二、三匹仕留めたが、まだ一匹残っていた。
「ジェラルド、これを飲むんだ!」
 リョウカは気付け薬をジェラルドの口に流し込んだ。
 ジェラルドは薬のあまりの苦さに蒸せかえったが、咳が治まる頃には体は動くようになっていた。
「サンキュー、リョウカ」
 ジェラルドは立ち上がると逃げ出した痺れ蜂に手を向けた。
「逃がしゃしねえぞ!『ヒートバーナー!』」
 ジェラルドの手から一直線に炎が発生した。炎は瞬く間に痺れ蜂を包み込み、一瞬でそれを灰にした。
「やったぜ!」
 スケルトンは既にロビンによって倒されていた。戦いは終わった。
「ジェラルド、さっき刺された傷口を見せてくれ」
 リョウカは言った。
「お、おう」
 ジェラルドはすぐに肩を出した。まだそこは腫れておりジンジンと痛んでいた。
「こうでいいのか?」
「ああ」
 リョウカの手が優しく光り輝いた。
『キュアライト』
 光はジェラルドの傷を優しく包み込んだ。やがて光が消え始めると傷は跡形もなく無くなっていた。
「どうだ?」
「痛くなくなったよ。サンキュー」
「リョウカさんは癒やしの力も持っているのですね」
 メアリィは言った。
「『キュアライト』まで使えるなんて、リョウカは一体なんのエナジストなんだ?」
 ロビンは驚いた様子である。
 リョウカは火のエナジストであるが、それは便宜上のものであり実際は大体のエナジーを使うことができる。しかし、本来ならばこのような事はあり得ないのである。
 実際ロビンが多用するエナジー『ムーブ』は地のエナジストである彼に対して火のエナジーである。しかしこういった物体に干渉するエナジーは練習さえ積めばエナジストであれば誰でも修得しうるものであって、普通は自分が属さないエレメンタルのエナジーはどれほど修行しても使うことができないのである。
 というのも戦闘で使うようなエナジーはエナジストの力ではなく属するエレメンタルの力で発動する事が通常なのであり、エナジストはそれを引き出していだけにすぎないのである。もしもエナジーだけで発動しようものならば、精神力だけでなく命も削る事になってしまう。
 リョウカは命を削る事なくエナジーを使っている。だからこそロビンや他のエナジスト達は彼女の能力に驚くのである。
「私は私、それ以外の何者でもない。イズモ村からやって来たエナジストだ」
 リョウカは誰にともなく言った。
「ほら、ぼやぼやしている暇はないぞ。急がないとコリマの人々を助けられなくなってしまう」 そう言うとリョウカはさっさと歩き始めた。その時ロビンは見落とさなかった。振り返りざまに現れた気丈に振る舞う彼女の素顔を、である。ロビンは悪いことを言ったか、と少し後悔した。
 その後の森の中は閑散としていた。ここへ来るまでに更に何度か魔物と戦ってきたが、ここまで来て全くいなくなってしまい、鳥の鳴き声すらも聞こえないほどに不気味な静けさをしていた。
 ロビン達は森の最奥と思しきところまで辿り着いた。そこには2本を大木が、立っていた。特にも奥にある木は大人が手を繋いで囲もうとしても相当な人数のいりそうなほど太い巨木であった。
 この木の他に印象の強い木は無い。恐らくこれがこのコリマの御神木なのであろう。
「ここが一番奥みたいだな」
 ロビンは言った。
「一体ここで何をすれば呪いは解けるのでしょう?」
 イワンは辺りを見回してみた。
「あなた達は…?」
 女性の声がした。
 ロビン達は誰かいるのかと見回していると、驚くことにロビン達の背後の木に人の顔があり、それが言葉を発していた。
「あなた達からは不思議な力を感じます。なるほど、トレトの攻撃に耐えて木にならなかった方達ですわね?」
「あんたも御神木なのか?だったらコリマの人達を元に戻してやってくれよ」
 ジェラルドは言った。
 木の顔は残念そうに目を閉じた。
「私の名前はレント、トレトとは違い、御神木などではありません。私の力では無理です、トレトにしか…」
 レントは言いかけて、少し間をあけた後目を開いた。
「いえ、最早もう滅びを止めることは無理でしょう。あなた達も早く逃げるのです。森の滅びに巻き込まれる前に…」
 レントは言い終わると眠ったように深々と目を閉じた。
「やばいな、早く何とかしないと本当に滅んじゃうぜ」
「どうにか滅びるのを止めることは出来ないのか?」
「ヘルメスの水を使えばあるいは…」
 ジェラルドやリョウカが相談している所にメアリィが提案した。
「そうか、その手があったか!」
 ロビンはメアリィを指差した。
「それをトレトにかければ森は滅びから復活する」
 メアリィには心配な事が1つあった。
「ですが、植物にも効くのかどうか…分からないのです」
「けど、やってみる価値はあるんじゃねえか?」
 ジェラルドはロビンに賛成のした。リョウカとイワンの2人もヘルメスの水を使ってみるとこに同意した。
「分かりました、やってみましょう。これで駄目でも他の方法を探せばいいのですから」
 全員の意見も固まり、一行は奥の巨木の前に来た。
 さすがに御神木と呼ばれるだけあって近くで見ると更に凄い。高さもさることながら太さが尋常ではなかった。ロビン達では絶対に囲むことは無理なほどである。
 こちらの木にもレントのように顔があった。これがコリマの御神木、トレトである。トレトの顔はレントと違って老人のように皺のよった顔をしており、とても厳格な、まさに森の王の雰囲気を醸し出していた。
 トレトは厳格な表情のままに眠っているかのように目を閉ざしている。
 ロビンは話しかけてみたが、案の定返答は返ってこなかった。
「メアリィ、早く水を。これは相当滅びが進んでいるみたいだぜ」
 メアリィはヘルメスの水を取り出し、トレトの前まで近づき、トレトの根元に水をかけるべくボトルのキャップを開けようとした。
「キャッ!」
 目には見えないが、強い衝撃がメアリィを襲った。そのままメアリィは吹き飛ばされ二転三転して倒れた。
「メアリィ!」
 最初にジェラルドが駆けつけてメアリィを抱き起こした。
「大丈夫か、怪我はないか!?」
 見た限りではメアリィに大きな傷は無かった。
「平気です。ありがとうジェラルド」
 メアリィはすぐに立ち上がった。
「今のトレトを支配しているのは私だ。余計なことはさせんぞ」
 木の表面に出ていた顔がいつの間にか目を開け、禍々しい表情に変わっていた。