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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 3

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「お前がトレトだって?」
 ロビンは言った。
「いかにも、私こそがトレトだ。お前達何のためにここまで来たかは知らぬが、ここならばこっちのもの、さっきは木にし損ねたが今度こそ木となり我らとともに滅びるのだ!」
 トレトの顔が木から離れ、倍くらいの大きさになり、青白いオーラを発生させ火の玉のような形に変化した。
「来るぞ、みんな!」
 ロビンは背中のバスタード・ソードを抜いた。
 他の仲間達も武器を取り出した。
「イワン、『インパクト』を頼む」
 イワンは詠唱した。
『インパクト!』
 イワンから生じたエナジーが光線になってロビンを包み込んだ。
「よし!」
 ロビンはトレトに向かって斬りかかった。斬撃は命中し、トレトを両断した。
「ぐおぅ!」
 トレトが苦悶の声をあげた。両断されたトレトは雲散霧消した。
「なんてな!」
 消え去ったかに思えたトレトはロビンの背後に出現し、『グロウ』を発動してきた。
 ロビンの足元から植物の蔦が出てくる。ロビンはすんでのところでかわした。
「わしに斬撃はきかぬぞ!」
 トレトには傷ひとつない。
「くそ、力押しじゃ無理か…」
「どうするんだ、ロビン?」
『レイ!』
 強力な磁気から発生した電撃がトレトに走った。
「剣が効かぬならエナジーだ」
 電撃はリョウカによるものだった。
 電撃を受けたトレトは平気な顔をしていた。
「貴様等にはこの程度の力しか無いのか?ならばすぐに楽にしてやろう」
 トレトはロビン達に飛びかかってきた。そしてその鋭い歯で噛みついて回った。
 ロビン、ジェラルド、リョウカの3人から血が舞った。
「ぐう…!」 ロビンは肩口を押さえうずくまった。
『チルドアース!』
 トレトはすかさずエナジーを発動した。冷気の刃がロビン達目掛けて吹き付けた。
『プラズマ!』
 イワンは雷で冷気を相殺させた。
「イワン…」
「皆さん、早くメアリィから傷の手当てを。ここはボクが引き受けます!」
 イワンが1人トレトの前に立ちはだかった。
「小僧一人で私を止めるつもりか?私もなめられたものだ」 トレトはニヤリと笑った。
「ここは通しませんよ!」
 イワンはスイフトソードの切っ先をトレトに向けた。
「無理をするな。手が震えておるぞ?」
 これまでイワンは旅の中での戦いで前線に立つということをしなかった。いつもメアリィとともにロビン達の後方援助ばかりであった。
 そんな中でも戦いでロビン達の役に立ちたいと思っていた。ロビン達が負傷した今、その時がやってきたのだ。しかし、頭では分かっていても体は動いてくれない。かつて無い恐怖感がイワンを縛り付けていた。
「どうした?私を止めるのでは無かったのか?かかってくるがよい」
 イワンは彼に似つかない大声をあげながらトレト目掛けて突進した。
「えええぃ!」
 イワンは剣をトレトに突き立てた。やはりこれも先程のロビンのように斬った感じがしない。
「無駄だあ!」
 トレトはイワンに衝撃を与えた。イワン数メートル吹き飛ばされたがすぐに立ち上がってまた向かっていった。
「無駄無駄無駄ぁ!」
 向かっていく度にトレトに吹き飛ばされ、転ばされているうちに体中傷だらけで尚且つ服もぼろぼろになっていた。
「か…は…」
 イワンは痛む体を震わせて立ち上がったが、すぐに膝をついてしまった。
「小僧、よく頑張ったな。その頑張りに免じて木にはせずすぐに殺してやろう」
 トレトは『チルドアース』を発動した。冷気の刃がイワンに襲いかかった。
――く、ボクは…死ぬのか…?――
 イワンが死を覚悟したその時、イワンは自分の中に新しい何かが表れたように感じた。
 それはとても強く、弾ける力だった。
 イワンは手を前に突き出し、その力を感じるままに出した。
『レイストーム!』
 『レイ』よりも強く、広範囲に及ぶ電撃がトレトのチルドアースもろともトレトを包み込んだ。
「な、何ぃ!?」
 電撃の力でトレトは崩れかかった。
 エナジーが消えると同時にイワンは倒れ込んだ。最早指一本も動かすことができなかった。
「イワン、よくやった。後はオレ達に任せろ!」
 治療を終えたロビン達が前線に戻ってきた。
「行くぞジェラルド、リョウカ、奴に強いエナジーをくらわすぞ!」
 2人は頷いた。
『ヒートバーナー!』
 ジェラルドは一直線に走る炎を発した。
『フレア!』
 リョウカの炎が放射状に広がり、爆発した。
「食らえ!」
 ロビンは持てるエナジーを最大限に集めた。
『ラグナロック!』
 上空に発生させた巨大な剣を突き落とした。
「ぐわあああぁぁ!」
 トレトは3人のエナジーのなかで粉々になっていった。
    ※※※
「ジェラルド、イワンはどうだ?」
 ジェラルドはイワンを抱き起こして体を調べた。
「脈はあるし息もしてる。大丈夫だ」
「よし」
 ロビンはトレトの御神木を見た。そこにはやはり目を閉じている顔があった。
「やっぱりさっきのトレトは怨みの念に包まれた心のトレトだったみたいだ」
「う、うん…」
 トレトは辛そうに目を開けた。
「わ、私は…」
「気が付きましたか?」
「お主等は…そうか、怨みで包まれた心の中の私を倒してくれたのだな。…感謝する、これで思い残すことなく滅びの時を迎えることが出来る。ありがとう…」
 ついに始まったトレトの滅びによって顔が徐々に消え始めた。
「まずい、メアリィ早く水をかけるんだ!」
「はい!」
 メアリィは急いでヘルメスの水のボトルを取り出してトレトの根元に水を撒いた。水は地面に染み渡っていく、すると消えかかったトレトの顔が再び現れ、光を発した。
 数秒の後、辺りの枯れ始めた木々に緑が戻っていた。
「力が溢れるようだ…」
 トレトの顔は生気に満ちていた。
「あの、トレトさんよろしいですか?」
 ロビンは尋ねた。
「何だね?」
「オレ達お願いがあるんです。あなたが木に変えてしまったコリマの村人達をもとに戻してあげてくれませんか」
 ロビンの申し出にトレトは大層驚いていた。
「なんと!この私がそんな事を…急いでもとに戻さねば!」
 そう言うとトレトは念を送り始めた。少しの間たってから後、トレトは言った。
「これで大丈夫。村人はもとに戻ったはずだ」
「しかしあんた、今まで自分が何してたのか覚えてないのか?」
 ジェラルドは言った。
「うむ、樵が私に斧を入れてきた時からは全く覚えていないのだ。しかし、うっすらと心の中の私が悪いことをしているのは感じていた」
「そもそもトレトにはこんな事は出来ませんでしたわ」
 どこからか声が聞こえた。それは誰のものかロビン達にもすぐに分かった。
「おお、レント。お前も蘇ったか」
 レントは続けた。
「トレトに恐ろしい力が宿ったのはある日、輝く宝石がトレトに当たった時からでした」
 エナジーストーンの事だと推測するのは簡単だった。
「その不思議な宝石は私の怨みに満ちた心を増大させ、このように人とも話す事ができる力を授かった」
「あなた達、南西の方向に向かうつもりですか?」
 レントはロビン達に訊ねた。
「ああ、オレ達の目的の場所はその先だからな」
 ジェラルドが答えた。