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機動戦士ガンダムRS 第7話 宇宙の傷跡

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 ノイマ曹長が不可能だと答えた。
「こう針路が取れれば月軌道に入るのも早いんですが」
 そのルートとは、デブリ帯を突破するルートだった。
「突破は、無理よね」
 ラミアス艦長が確認した。
「デブリ帯をですか?
それは、無理ですよ。
この速度を維持して突っ込んだらこの艦もデブリの仲間入りです」
 ノイマン曹長がやはり不可能だと答えた。
「人類が宇宙に進出して以来撒き散らしてきたごみの山か。
確かに仲間に入りたくは、ないな」
 フラガ大尉は、そこまで言うと何か思いついた。
「待てよ、デブリ帯か」
 ラミアス艦長は、首をかしげた。
「不可能を可能にする男かな、俺は」
 フラガ大尉は、そういって立ち上がった。

        ※

 ユート・シティについたマーク少将とケイト准尉は、リムジンエレカに乗ってコロニー連邦共和国の議事堂として機能しているセントラルハウスに向かっていた。
「そういえばそろそろ血のバレンタインから1回忌だったな」
 マーク少将は、思い出したように言った。
「そうですね」
 お互い親族友人に犠牲者は、なかったが友人の中の親族らが犠牲になったというのは結構聞いた。
「1回忌のため追悼慰霊団を派遣したいが制宙権を確保できなければ犠牲者が出るかもしれない」
 コロニー連邦共和国の貧困層の国民が一攫千金を夢見て作業用モビルでデブリ帯に入ってお宝を手に入れても帰ってくる途中で地球軍艦艇に捕捉され死人が出るという話は、よく耳にしていた。
「それを哀れに感じたのかシーゲル・クライン副大統領が娘のラクス・クラインを送るらしい」
 マーク少将は、地球側の動きを言った。
「クライン最高評議会議長に娘がいたのですか?」
 ケイト准尉は、驚いてたずねた。
「ああ、本当だ」
 マーク少将は、そう断言した。

         ※

 セントラルハウスについたマーク少将とケイト准尉は、議場に入った。
既に議場には、閣僚がいた。
すぐにヘリオポリス崩壊に関する臨時査問委員会が開かれた。
なお閣僚のポストは、旧日本国の閣僚を参考にしている。
「まずは、マーク少将。
君の報から聞こう」
 内閣官房長官のセリック・ルースがマーク少将にヘリオポリス崩壊の経緯につて報告するように言った。
「はい」
 マーク少将は、立ち上がって閣僚の前まで歩いた。

         ※

 アークエンジェルのブリッジにヘリオポリスでの学生とガンダムパイロットが集まっていた。
「補給を受けられるんですか?
どこで?」
 サイがフラガ大尉に質問した。
話は、補給の話だった。
「受けられるというか。
まあ勝手に補給するというか」
 しかしフラガ大尉は、なぜか回答をにはっきり言わなかった。
「私たちは、今デブリベルトに向かっています」
 そんなフラガ大尉を見かねてかラミアス艦長が直球で言った。
「デブリベルト?」
「おい、ちょっと待てよ」
 トールは、何を言いたいのかわからなかったがディアッカ中尉は艦長たちが何をするのかに気づいた。
「君は、勘がいいね」
 フラガ大尉は、ディアッカ中尉の勘の鋭さをほめた。
「デブリベルトには、さまざまなものが集まっています。
そこには、無論戦闘で破壊された戦艦などもあるわけで」
 ラミアス艦長は、デブリベルトの状況を教えた。
「まさかそこから補給しようと?」
「仕方ないだろ。
そうでもしなければ死ぬだけだ」
 トールの質問にフラガ大尉が強く即答した。
「あなたたちには、その際ポッドでの船外作業を手伝ってもらいたいの」
 ラミアス艦長が皆に命令した。
しかし皆の表情は、浮かばれない。
「あまりうれしくないのは、同じだ。
だがほかに方法は、ないのだ。
われわれが生き延びるためには」
 そんな皆にバジルール少尉が納得を求めた。
しかし皆の表情からは、納得を求められなかったの一目瞭然だった。
「失われたものをあさりまわろうというわけでは、ないわ。
ほんの少し今私たちに必要なものを分けてもらおうというだけ。
生きるために」
 今度は、ラミアス艦長が言った。
皆は、少し納得してくれたという感じだった。
 なおコロニー国民は、実はこのようなことを日常茶飯事として行っていた。
宇宙は、地球と違って資源が少ないという問題もあるが人類が宇宙に進出し何もない宇宙で皆が生き残るため「自分が残したものをどうぞ使ってください」という心が強いのがその理由だった。


           ※

「以上の証拠によりη艦隊の行動は、決してヘリオポリス自体を攻撃したものではなくあの崩壊の最大の原因はむしろ地球軍にあると結論します」
 マーク少将が報告を終え自分が座っていたいすまで歩いていった。
「やはりオーブは、地球側に組していたのだ。
条約を無視したのは、あちらじゃないか」
 外務大臣のデビット・ルシェルがオーブの裏切りに遺憾に感じた。
「しかしアスハ代表は」
「コーディネーターの言葉などあてになるか」
 内閣府特命担当甲大臣のマリア・ルーシェの発言を国土増加・整備大臣のカール・ライトニーがかぶせた。
「しかしマーク少将」
 内閣総理大臣のフリット・ダイソンが立ち上がった。
「その地球軍のモビルスーツは、果たしてそれほどの犠牲を払ってでも破壊しなければならないほど脅威なのか?」
 フリット総理大臣は、バッテリー動力のモビルスーツがそれほど脅威とは思えなかった。
「その驚異的な性能は、ケイト准尉から報告するとしましょう」
 マーク少将がケイト准尉から報告するといった。
閣僚は、口々にどうかと聞いたが問題はなかった。
「ケイト・リー准尉からの報告を許可する」
 ケイト准尉は、立ち上がり閣僚の前に立った。
そして報告を始めた。

            ※

 アークエンジェルでは、周辺哨戒のためストライクガンダムを発進させた。
これは、たとえバッテリー切れになってもストライカーパックを装備しなおせばすぐに戦えるためストライクガンダムが選ばれた。
ストライクガンダムは、ポッドとともにデブリベルトに入っていった。

            ※

「以上です」
 ケイト准尉は、報告を終え自分が座っていたいすまで歩いていった。
「ガンダムを作り上げるとは。
コーディネーターどもめ」
 経済産業大臣のイーサン・ウォンは、憤慨していた。
「でもまだ試作機段階だろ。
たった5機のモビルスーツなどそれほど脅威には、感じられないが」
 財務大臣のガイエル・アダムスがのほほんと言った。
「だがここまでくれば量産は、目前だ。
それに更なる高性能ガンダムも開発中かもしれない。
そのときになってあわてろと?」
 それを総務大臣のウォルト・バルガスが否定した。
「これは、コーディネーターのはっきりした意思の表れだ。
やつらは、まだ戦渦を拡大させたいんだ。
これを防ぐためにも軍事費の大幅拡大と大きな作戦をしなくては」
 農林水産大臣のラーガン・ストーンは、軍事費拡大とシビリアンコントロールの緩和を訴えた。
閣僚らは、熱い議論になり騒がしくなった。
「静粛に。
皆さん、静粛に」
 セリック官房長官が皆を静まらせようとした。
 そのかいあって皆は、静まった。