二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Wizard//Magica Wish −6− 後編

INDEX|6ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 

「ほら、これがファントムの正体。ただの『人間』よ。こうやってファントムを誕生させればその時生まれたエネルギーが私の力の一部になるっていうわけ。まるで魔法少女とは正反対ね」


目の前にいた少女の身体から崩れ落ちた中から、俺がこの街にきて最初に交戦した魔女が出現した…ようやく理解した。幻影魔女、通称ファントムの正体は、魔法少女でもなく、他の魔女や使い魔でもなく、どこにでもいる人間だったのだ。
今まで自分たちは、一般人と戦っていたのだ。


「ふざけんじゃないわよ!相手の正体が一般人だなんて…戦えるわけないじゃない!」
「酷いよ!こんなのあんまりだよ!!あの人を元に戻してよ!!」

「無茶言わないでよ。一度魔女化したら元に戻るわけないじゃない」

「魔女化?…知らない、私そんなこと知らないよぉ!」


あまりにも衝撃的な真実だった。一般人を無理やり魔女かさせ、本物ではない偽物の魔女を作り出す…メデューサが何度もファントムを作り出せていた理由がようやくわかった。…悔しいが、メデューサの言うとおり、一度魔女化してしまえば自分の魔法でも効果はない。もう、彼女を救い出すことはできないのだ。
ただ、怒りだけがどこからともなく溢れ出してくる…許さない。絶対に、許さない!

「メデューサ、もう何をしてもお前だけは許さない」
「『ドライバーオン』プリーズ!シャバドゥビタッチヘンシーン!」

「やっとその気になったのね、指輪の魔法使い、さあかかってきなさい!」

「『フレイム』プリーズ!『ヒーヒー!ヒーヒーヒー!』」
「あぁ、言われなくてもな!」

ウィザードはウィザーソードガンを取り出し一目散にメデューサに振り下ろす。
交戦が始まったと同時に他の二人は拘束が解け、悲鳴を上げながら出口へと逃げていった。
まどか は地面に手を付き大声で泣き叫び、さやか は完全に戦意を喪失していた。

マミにいたっては、数秒前まで知人であったファントムを見続け、何も声を出さず硬直していた。

「うあぁぁぁぁ…っ!!あぁぁぁぁぁ!!!!」
「うっ…くそ…」


「…いい加減にしろ、お前達!!」

「うっ!…きょ、杏子…ちゃ…?」
「杏子?」


「今、お前達が出来ることはなんだ!!ここでずっと泣いてることか!!?違うだろ!!」

杏子は怒りをあらわにし、槍を魔女、シャルロッテに向けた。杏子の罵声と共に まどか と さやか は杏子を見た。杏子は酷く興奮し、槍を握っているてが震えていた。
彼女自身も目の前の現実を認めたくはなかったのだろう。
それも…自分たち以上に。

「ここでこのファントムを逃せば、それこそ他の一般人に被害が及ぶだろ!!お前達はそれで良いのか!?このファントムを倒せるのはあたしたちだけなんだよっ!!現実を受け止めるんだ!!戦えっ!!」

「佐倉さん…うっ…私!!」

「マミ!!お前がしてやれることはなんだ!!あのファントムは今も苦しみ続けている!お前が救ってやるんだ!!」

「…言われなくても…言われなくてもやるわよ!!!!うわあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
マミは泣きながら何度もマスケット銃をシャルロッテに放った!まだ誕生したての為か動きは酷く鈍く、下手すれば使い魔よりも弱い部類に入る程度だ。倒すのは今しかないのだ。
倒して、彼女を救ってあげなくては…!

「さやかぁっ!立て!!!!」
「杏子ぉ…」
「立てよ さやか!!…ひぐっ…立てぇぇ!!!!」
「ふざけんな…ふざんけんなふざけんなぁっ!!」
マミに続き、今度は さやか が剣を召喚させシャルロッテを何度も切り刻んだ。たまに聞こえる悲鳴が耳に入るが、一切躊躇なく何度も切り刻んでいった。


「はぁっはぁっまどか!」
「ほむらちゃぁん…うっ…うわぁぁぁぁん!!!!」
「まどか…っ!」

杏子が置いていったソウルジェムを持った ほむら がその場に到着し、泣き崩れている まどかの傍に立ち寄った。まどか は自分の感情を抑えきれず ほむらにぶつけるかのように抱きついた。ほむら は状況を理解したのか、優しく まどか の背中を撫でてあげた。
目の前の魔女を見る…彼女達は、ファントムとはいえ魔女の誕生の仕方を知ってしまったのだ。魔女も、ファントムも、元をたどれば正体は『人間』なのだ。

「ごめんなさいっごめんなさいごめんなさい!!うぅ…ティロ…ふ、フィナーレェェェェ!!!」マミのティロフィナーレがシャルロッテに放たれた。シャルロッテは何もできずに悲鳴を上げ、大爆発を起こした。その爆発を聞いた まどか はさらに大泣きし、さやか も崩れ落ちてしまった。
「マ…キちゃん……あ…いやっ……」
マスケット銃が地面に落ちる。マミは爆発したシャルロッテを凝視した。生々しい異臭がその場に漂い頭が痛くなる。

「…っ……マミ?おい、どうしたマミ!!」
「あ……あぁ……」

「うっ…うぅぅ……っ!マミさん?」
「っ!!まずいわ!!」
「ほむらちゃん、…何、マミさんどうしちゃったの?」


あたしが、マキちゃんを殺した。
これから友達になろうと思っていたのに、私は自分から全てを投げ捨ててしまった。
しかも、自分の手で…彼女を。
どうして。
なんでいつもこれからって時に私の前から全て消えていくの?
あぁ、明日学校で私はどうすれば良いの?
私は、ただ友達が欲しいだけなのに。
私が何をしたっていうのよ。
なんで皆私に意地悪するの?
私は、皆の為に戦っているだけなのに。
どうして全部消えていくの。

あぁ…私は、これから人殺しって言われ続けるの?
ちがう…違う違う違うっ。
私はマキちゃんを殺していない。
私が殺した訳じゃない。
私が…私が殺したわけ…じゃ。


「いいえ、あなたがあの子を殺したのよ」
「うっぐああぁ!!」

「っ!ハルト!!」

メデューサに蹴り飛ばされたウィザードは立つことの出来ない程体力を消耗しきっていた。先程のメデューサの話は嘘ではなかった。ファントムが生まれると同時に発生される因果の力が全て彼女の力になる。あの魔女1匹生まれただけでここまで強くなるとは。なんて効率の良い方法なのだ。これではインキュベーターよりたちが悪い存在ではないか。

メデューサは倒れているウィザードを横切り、地に膝を着いているマミの目の前に立った。マミの目には既に光が失われており、生気すら感じ取れなかった。
ウィザードは必死にマミに手を伸ばすが、身体を言うことを聞いてくれなかった。


「マミ…ちゃん!だめ…だ…絶望…しちゃ!」


「あぁ…せっかくあの子を解放してあげたのに、まさか自分で殺しちゃうなんて。もったいないことしたわね」
「あ…あぁ…」
「あの子、あなたの友達でもなんでもないのに、いえ、友達だと思っていたのはあなただけみたいだったわね」
「…っ!…ふ…うぅ……」
「あなたはまるでピエロね。自分で思い上がって、自分で悲しみ、…あぁ、楽しみね。明日からあなたはなんて言われるかしら。間違いなくあの子達はあなたが変身する姿を見たわ。学校中に広めるでしょうね。…人間ではない、『化物』だって」
「うぅぅぅ…っ!あぁぁぁぁぁ!!」
「とっとと絶望しなさい…



この、人殺し」






「っ!!」