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Wizard//Magica Wish −6− 後編

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−ピシっ−



「止めろぉぉぉぉ!!」
さやか は両手に剣を持ちメデューサに振り下ろした。完全に油断していたのかその斬撃が当たり数歩後ろへふらついた。さやか は斬撃を止めることなく何度もメデューサ目掛けて振り回す。酷く興奮しているためか、瞳孔は完全に開き言葉にならない声をずっと上げ続けていた。

「マミさん!マミさぁぁぁん!!!!」
「巴マミ!」

「ハルト…大丈夫か?」
「あぁ…それより早く俺をマミちゃんの元へ!」

ウィザードは杏子の肩を借りながらマミの元へ駆け寄った。マミは完全に沈黙し、ピクリとも動かない。頭に装着されていたソウルジェムを見てハルトは驚愕した。
…ものすごい勢いでソウルジェムの汚れが増えていたのだ!
ハルトは考えるより先に行動した。腰からソウルジェムをウィザードリングに変える指輪、リボーンウィザードリングを取り出し、右手の中指に装着した。
「『リボーン』プリーズ!」
「これで………くそ、だめか」
魔法を発動し、イチかバチかマミのソウルジェムを指輪に変えようとしたが、汚れがそれを邪魔し、魔法が通らなかった。

「ね、ねぇハルト君!一体マミさんに何が起きているの?」
「なんだよこれ、…こんな現象見たことねぇ!ハルト、これは一体なんだよ!!」

「これは……その」
「『魔女』になろうとしているのよ」
「っ!!ほ、ほむらちゃん!!」

ほむら は、一切の躊躇もなく、まどか と杏子に真実を告げた。その言葉は興奮している さやかの耳にも入り、剣を握る手の力が若干抜けてしまった。
「なん…だと?」
「何言っているの ほむらちゃん、嘘でしょ?嘘なんだよね!?」

「嘘ではないわ…まどか、あなたは幻影魔女の正体を見たのでしょう?魔女も同じよ。魔女の正体は魔法少女なの」
「止めろ…ほむらちゃん!」
「魔法少女のソウルジェムの汚れが溜まった時、ソウルジェムはグリーフシードへと変貌する…疑問に思わなかったの?汚れが溜まる意味とその理由」
「でもっ!キュウベぇはそんなこと一言もっ!」
「言う訳ないじゃない。奴らはそれを望んでいるのだから…例え問い詰めても『聞かれなかったから』と言うに違いないわ。…これが、魔法少女の真実よ」

「ふっざけんじゃねぇ…それじゃあ私達は…」
「騙されたって…事?キュウベぇに?」


「巴マミの汚れはもうグリーフシードじゃ吸いきれないわ……このままじゃ、巴マミは魔女化してしまう…なら、いっそここで…」

ほむら は拳銃を取り出し、マミのソウルジェムに砲身を向けた。まどかは一瞬止めに入ろうとしたが、ここで止めたら先程のあの光景を再び見ることになる恐怖心から身体が硬直してしまった。

「ほむらっ!止め…」
「止めて?あなたは巴マミの魔女化した姿を見たいの?…佐倉杏子…決断しなさい。あなたさっき言ったわよね?目の前で魔女が生まれるっていうのに、あなたは何もしないの?」
「そ、それは…」
「違わない、どちらも同じよ。私達の手で…彼女を救ってあげなければ」

ほむら はゆっくりと人差指を引き金に乗せ、引き金を引こうとした。
「……。」
こんな光景はもう何度も見てきた。今更何の後悔なんてない。
私は まどか さえ無事ならそれで良い。
他の犠牲なんて、どうだって良い。
これで…いいのだ。

これで…。


「本当に引き金を引けるのか?」
「…何かしら…操真ハルト」
ウィザードは ほむら の肩に手を置き、優しい声で ほむら に声をかけた。

彼は自分を止めようとしている。
今更何を言っているのだろうか。このままでは敵を増やすことになる。
さぁ…早く引き金を…ソウルジェムを破壊しなくては…。

「感情を押し切ろうとするな…本当は撃ちたくないんだろ?」

だからなんだというのだ。
彼は彼女を殺されることが嫌なのか?もう手遅れなんだ。
もう彼女を救う手段は何もない。
だったら自分で蹴りをつけるしかない。

「いい加減にしなさい…私は何を言われようと、巴マミを…」
「だったら…


その涙、隠したらどうだい?」

「えっ…」

ほむら の顔に、一筋の涙が流れ落ちていた。
彼女は気が付いていなかったのだ。自分が、泣いているということを…。
必死にもう片方の手で涙を拭こうとするが、また新しい涙が滲みでてくる。
それどころか、次第に涙が止まらなくなってしまった。

「うっ…く……ふぅぅ…っ!!」
「もう良い、それ、下ろしなよ」

ウィザードは ほむら の右手に持っていた拳銃を取り上げた。頭を軽く撫で、マミの顔が見える位置へと視線を落とす。
「まだ…諦めるな」
「…っ!ハルト…くん」
「ね、まどかちゃん」
まどか は最初、ハルトと出会ったあの瞬間を思い出す…絶望しかなかったあの瞬間を。
…そうだ、ここで諦めてはいけないのだ。
希望を捨ててしまえば…それは絶望を受け入れることになってしまう!

「ハルトくん!…うっ…ぐすっ…マミさんを!マミさんを助けて!!」

「まどか…お前」

「お願いハルトくん!あなたが私達の…魔法少女達の希望なの!…助けてよぉ!!」

「あぁ…安心して」


ウィザードは腰のベルトからまた新しい指輪を一つ、取り出した。だがその指輪を自分の指には装着せず、何故かマミの右手の中指に装着したのだ。

「俺が最後の希望だ」

「…っ!…操真 ハルト…何をするつもり?」
「マミちゃんの魔女化を止める」
「何を言っているの!?そんなこと出来る訳が…」

「君たちには出来ない…けど、俺には出来る。『悪夢』を見るのは、俺一人だけで十分だ…っ!!」


「『エンゲージ』プリーズ!」
腰のベルトに指輪を装着したマミの右手が掲げられた。するとソウルジェムからウィザードの独特な魔法陣が展開され、人一人分通れるぐらいの大きさになる。
ウィザードは立ち、後ろを振り向かずにその魔法陣を通り始めた。

「ハルトくんっ!」
「大丈夫、絶対にマミちゃんを救って見せるから…。俺がマミちゃんの中入っている間、外は任せたよ、杏子ちゃん」
「あ、あぁ…ぐすっ…あぁ!任せとけ!!」

ウィザードは魔法陣の中に入り、ソウルジェムの中へと目指し始めた。そんなウィザードを守るため、杏子と ほむら はメデューサへと振り返る。
「ぐあぁぁっ!…はぁっはぁっ…」
「さやか、ハルトとマミを守るぞ!」
「この前の仮、返させてもらうわ」
「ったく、遅いっての!!」

「あの指輪の魔法使い…一体何を?まぁいいわ。もう何をしてもおそいのだから」


「ハルトくん…マミさんを救って…」
まどか は、沈黙したマミの両手を優しく自分の胸に包み込み、二人の生還を祈り続けた…。