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短文寄せ集め

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「無題 (ツイッターから」

仕事を終え屯所に戻ると回廊に座り込んだ近藤が夜空を睨んでいた。少し前から雨が降り出している。空には厚い雲が広がり、雨はこれから更にひどくなりそうな様子だった。近藤が寄りかかるようにしている屯所の柱には笹が括りつけられている。笹には近藤と沖田の書いた色とりどりの短冊が揺れていた。

放っておこうかと思ったがその後ろを通らないと自分の部屋にいけないので、仕方なく、何をしてるんだ濡れるぞと声を掛けた。近藤が振り向き、雨が止まない、と憂鬱そうな声で言った。ああ、止まねぇだろうな。明日の朝まで雨の予報だ。そう答え、近藤と同じように空を見上げる。

ポケットから煙草を取り出し火を点けた。吸い込んだ煙をゆっくりと吐き出した土方を、近藤が恨めしげに見上げた。冷てぇなトシ、と眉を下げて。雨が降ると天の川が氾濫して、織姫と彦星が会えないんだぞ、一年に一度しか会えないのに可哀想だと思わないのか、と非難をされ軽く肩を竦める。

それならば、と手にしていた煙草を口に咥え、土方は笹の葉を一枚千切り小さな舟を作った。これで良いだろうとそう言って、出来上がった舟を近藤の手に渡してやる。近藤は舟をじっと見つめると、これじゃ沈んじまうよ、と唇を尖らせた。じゃあ返せと手を出せば、子供のように腕を逸らされた。

ったく、仕方ねぇな、この人は…。咥え煙草を指に取り、笑う。煙を全て吐き出してしまうと、土方は身を屈めて、尖ったままの近藤の唇へ口付けた。…舟が沈まないように願いをかけろよ、近藤さん。きっと天の川を渡してくれるだろう、とそう言った土方に、近藤も唇の端を上げて笑った。
作品名:短文寄せ集め 作家名:aocrot