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短文寄せ集め

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「無題 (ツイッターから」

ボトリと音を立て近藤の箸から落ちた里芋が土方の前へ転がってきた。午後からの警視庁での会議に向け近藤は朝から落ち着きがない。寝起きに書類を漁りだし、回廊をうろうろとしては、皆の部屋の戸を無駄に開け嫌がられている。原因は分かっていたので放っておいたが、

地震かと勘違いするほどの貧乏揺すりにはさすがに閉口した。冷めた緑茶が茶碗から溢れだし机を濡らしているが近藤はそれを気にする余裕も無いようだ。土方は仕方なく里芋を摘まみ近藤の皿へ放り返した。顔を上げた近藤に向かい、ちっとは落ち着けよ、と言い、沢庵をぼりぼりと噛む。

だってよぉトシ、と近藤が情けない声を出す。その橋の先からまた里芋が転がってくる。だってもくそもあるか、と土方は溜息を吐いた。俺達は上に従って仕事をしただけだ。手元が狂って江戸城の堀を少しばかり壊したくらいでゴタゴタ言われる筋合いはねぇよ。言って、里芋を放り返す。

いやいや完全に崩壊してたしね水溢れだしてきてたしね道路冠水してたしね、と近藤の顔がどんどん青ざめていく。あぁもう鬱陶しい、と土方は近藤の唇に里芋を押し込んだ。モゴモゴと何かを言った近藤が、拗ねたような顔をして、里芋を咀嚼し始める。

過ぎたことをうだうだ言ったってどうにもなんねぇんだ。俺達は悪くねぇんだから、アンタもドンと構えてりゃ良い。後はなんとでもなる。そういうふうに出来てんだよ。そう言って茶を飲んだ。ごくりと喉を上下させ里芋を飲み込んだ近藤が眉を下げて、

なんともならなかったら?と子供のように訊いてきたので笑った。その時は慰めてやるよ。時間をかけてじっくりな、と土方は言って、近藤の唇についた里芋の欠片を指で拭い取って舐めた。
作品名:短文寄せ集め 作家名:aocrot