Wizard//Magica Wish −7−
−おいおい、なんだこりゃ…−
−泥棒でも入ったのか?かなり荒らされてるぞ…とりあえず警察だな−
以前、ハルト達がメデューサと交戦した倉庫にその倉庫の管理者である2人の男が立ち寄っていた。男たちは懐中電灯を照らしながら奥へと進んでいく。
−おい…なんだあれ!−
−鼠かなんかじゃないのか?−
−いやいや、違うだろ!…なんだ…ガラスのかけらか?−
ふと、男たちの目の前に大量のガラスのような物体が大量に散らばっていたのだ。男たちはおそるおそるそのかけらを手に取る…ガラスにしては綺麗すぎる程透き通っている物質だった。
−窓ガラスでも割れたのか?−
−馬鹿言え!この倉庫には窓なんてないぞ!−
−だったら…こいつは一体…−
『許さない…』
−あ、お前なんか喋ったか?−
−いや、お前こそ…なんだ、この声?−
『許さない…絶対に許さない…!』
−いや、やっぱり聞こえる!女の声か?−
−ちっ!ここを荒らしたやつか?おぉい!!おとなしく出てこい!!!!−
−いや、…違う。もっと近くにいる…なんだ、…こ、このガラスからか?−
男は恐る恐るガラス辺に耳を傾けた…すると!
−っ!!ひゃあぁぁっ!!!!−
−な、なんだ!!?ガラスが勝手に!!−
ガラス片が急に動きだし、男たちの目の前に集合し始めた!そのガラス辺の塊は次第に形を形成していき、徐々に人の形へと変貌していった。男たちはお互いに抱きつきあい、今、目の前で起きている奇妙な現象に怯えていたのだ!!
ガラスがほぼ全部集まり、最後のひとかけらが集合体へとくっ付く…すると、そのガラス片がさらに変貌し…。
「はぁ……許さない…許さないわよ!!指輪の魔法使い!!」
−あぁぁぁぁぁ!!!!−
−だ、誰なんだアンタ一体っ!!!!−
以前、ハルトが倒した筈のメデューサ…いや、フェニックスが男達の目の前で復活したのだ!フェニックスは酷く機嫌が悪いのか、急に高熱を身体から発火させ、周りにある物を燃やし始めた。炎は一気に燃え移り、既に男たちは逃げることができなくなってしまった。
−い、いやだ死にたくねぇ!!!!−
−助けてくれぇぇ!!!!−
「あら、丁度良いところに人間が…お前達、私の為にファントムになりなさい!!…はぁ!!」
その一瞬、倉庫の外に男たちの悲鳴が響き渡ったという…。
作品名:Wizard//Magica Wish −7− 作家名:a-o-w