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be my baby

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PM1:00



テレビ番組の収録を終え楽屋に戻るとすぐ、携帯をチェックした。
 メールや着信が無いということは、特に問題なく過ごしているのだろう。そう思ったがやはり心配になって真斗へ電話をかけた。三度目のコールの途中で繋がり、真斗が出る。
「一ノ瀬です。すみません。音也はあの後どうしていますか?」
別れる時にあんなに泣いていたので気になってしまい、そう訊いた。その気持ちが伝わったのだろう。真斗が少し笑った気配がした。
『大丈夫だ。一ノ瀬が出かけた後しばらくぐずっていたが、すぐに泣き疲れて寝てしまった。十一時に起きて本を読んで、今は昼食を取っているところだ。カレーを作ってやったら喜んでいる』
「そうですか。ありがとうございます」
安心して息を吐く。それでは、と電話を切ろうとしたところで、真斗が『一十木に替わろうか』と言ってきた。
「いえ、その必要は」
『一十木、一ノ瀬だ。話すか?』
断るよりも早く、真斗が受話口から顔を離して電話の向こうで音也に話しかける声が聞こえてくる。椅子を倒したのだろうか。ガタッと大きな音が聞こえて、バタバタと駆けてくる足音に「転ぶぞ」と笑う真斗の声が重なった。
『もしもしっ』
覚悟はしていたが、予想以上に大きな声が携帯から響き渡る。思わず耳を離して、「もう少し静かに」と注意をしてしまった。
『トキヤ、いつ帰ってくるの?もう帰ってくる?』
「まだ帰れません。…聖川さんに我侭を言って困らせたりしていませんか?」
『うん。あのね、マサがねー、カレー作ってくれたよ。甘くて美味しいの。パイナップルも入ってるんだ。あとご飯全部食べたらね、プリン食べて良いんだよ』
「それは良かったですね。では私はケーキでも買って帰りましょうか」
『トキヤ、あとどれくらいで帰ってくる?』
「そうですね…空が暗くなったら帰ります」
時間で言っても理解できないだろうかと思い、そう言った。音也が「お星様が出たら?」と訊いてきたので「そうです」と答えた。一応納得したのか「早く帰ってきてね」と言って、音也から真斗へ電話の相手が替わる。
『そういうわけで一応元気にしている』
「ありがとうございます。また、帰る前にメールを入れます。何かあれば連絡を下さい」
『分かった。では』
「よろしくお願いします」
電話を切り、鞄に戻す。
 衣装を脱ぎながら、音也の言葉を思い出して少し笑った。
 お星様が出たら、か…。子供らしい発想だな…。

作品名:be my baby 作家名:aocrot