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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 4

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 イワンは駆け出した。
「あ、待ってイワン!」
 皆それぞれの目的のため、人混みへと消えた。
    ※※※
「だぁ?もう!また外れた!」
 ジェラルドの叫びが辺りに響き渡った。町行く人々が何事かとジェラルドに注目する。
「おいおい、目立ってるよ…」
 ロビンは周囲の視線を痛いほど感じているが、ジェラルドは全く気にしていない。
「ジェラルド、ちょっと騒ぐのは止めないか?」
「くっそ?、何なんだよあのカニ!ちょこまか動きやがって!もう一回だもう一回!」
 ジェラルドがここまでむきになってやっているのはトレビの泉と言う変わった泉である。
 どんな仕組なのかは分からないが、人が近づくと噴き出す泉の水が止まり、底の方に大きな的のようなものが現れる。その的に後ろ向きにコインを投げ入れ、中心に入れば幸せが訪れると側の立て札に書かれていた。
 しかし、泉にあるのは的だけではなく、カニとカメが的に入れるのを妨害するかのように動き回っている。そのせいでジェラルドは何度も的を外していた。
「だぁ?!今度はカメに当たりやがった!もう1000コインも使ってんだぞ!」
 ジェラルドの叫びは大きくなるばかりである。
「なあジェラルド、もう行…」
「次だ次だ次だ!」
 ジェラルドは財布からまたコインを取り出した。
「…くわけないよな。やれやれ…」
 ロビンは泉の縁に腰掛けた。腰掛けて初めて、地面に何か落ちているのに気がついた。
 ロビンはそれを手に取った。通貨のコインよりも一回りほど大きく、この泉そっくりな絵の周りに文字が彫り込まれていた。
――ラッキーメダル?――
 名前からしていかにも幸運を呼び込むようなメダルである。
――よし…――
「ジェラルド、ちょっと変わってくれ」
 ジェラルドはまた的を外して悔しがっていた。
「ロビン、やるのか?結構難しいぜ?」
「まあ、任せていてくれ」
 ロビンは泉の正面に立って、後ろを向いた。
 手の中にラッキーメダルを握って、大体の角度を予測する。
――この辺か?――
 ロビンはラッキーメダルを投げ込んだ。
 メダルはころころと転がり、泉にいるカメやカニをうまくすり抜けていく、やがてカラカラと音を立てながらメダルの回転が止まった。
 メダルは的の中心に入っていた。すると、何やら泉の仕掛けが動き始めた。
 泉の中に水を吐き出していたドラゴンの像の首が、何かをくわえてロビンの目の前まで伸びてきた。
 ドラゴンの像は細剣をくわえていた。像はロビンがそれを取るまで待っているようだった。
――アサッシンソード?――
 細剣の柄にこう記されていた。
 ロビンが剣を取るとドラゴンの像は戻っていった。
「すっげ?!ロビン、一発で入れちゃったのかよ!何貰ったんだ!?」
「これは、レイピアだな」
 ロビンは鞘から細剣を抜いてみた。その刀身は妙な赤みを帯びており、妖しい光沢を放っている。
 なんだか不気味な剣だ、とロビンは思った。
 ロビンは細剣を振ってみた。細剣というだけあって確かに軽い、片手でも十分すぎるほど軽く、扱いやすい。小回りのきく剣である。
「ジェラルド、君にあげるよ」
 ロビンは細剣を鞘にしまった。
「え、いいのか?」
「いつも使ってる大剣じゃあちょこまか動く魔物相手だと大変だろ?そんな相手にはそれを使うといい」
 ジェラルドのこれまでの戦いを見て思うことだった。大剣は確かに威力があるが、その重さ故に攻撃の仕方が単純化する傾向にあった。そのせいで何度も危ない目に遭うこともあった。
 これほど小回りのきく剣である。力もあるジェラルドには扱いやすいであろう。
「へへ、じゃあありがたく貰っとくぜ」
 ジェラルドは嬉しそうに細剣を受け取った。
「それにしても、ジェラルドが急に飛び出して行くもんだからリョウカ達とはぐれたな…、みんな一体どこにいるんだろう?」
 相も変わらず町中は人だかりである。この中から仲間を探すのは困難であった。しかし、探さなければ今日の宿も確保できない。
「ジェラルド、行こう。みんなを探さなきゃ」
「あっ、ち、ちょっと待ってくれよ」
 彼らは再び人混みの中へ消えていった。
    ※※※
 ダイスと同じ目がついた台の上に、二つのダイスが投げ込まれた。
 ダイスは何度か転がった後、動きを止めた。
 ダイスが落ちた台の目は二つとも二、ダイスの目は三となっていた。
「おや、お客さんすごいねえ。四回連続2ペアかい?」
 ギャンブルダイスの店主の男は驚いていた。
「やった!」
 イワンは喜んで店主から配当金を受け取った。
 普段大人びているイワンをこれほどまで夢中にさせているのはギャンブルダイスというゲームである。
 先述したようにダイスを投げ入れる台にはダイスの目と同じような目があり、それらの数字でポーカーのような役を出すゲームになっている。
 役はそれぞれ1ペアが一倍、2ペアが二倍、3ダイスが三倍、そして数字が全部揃うパーフェクトはなんと掛け金五倍である。ベットはいつもは570コインの所を今日は特別300コインとなっていた。
 イワンは四回連続2ペアを出しているので、配当金は2400コインになっていた。
「お客さん、もう一勝負どうだい?」
「やります!」
 イワンは間髪入れずに300コイン差し出した。
 男はコインを受け取り、ニヤリと笑った。
「お客さん、ちょいと大勝負してみないか?」
「大勝負、ですか?」
「ああ、そうさ。掛け金をあんたが今まで稼いだ金全部にして配当をさらに二倍にするのさ。2ペアは四倍に、もしパーフェクトだったら十倍だ。だが、もしあんたが負けたら掛け金を二倍にして払って貰うぜ。2400コインだから4800コインだ」
 大勝負の名に恥じないハイリスク、ハイリターンな賭であった。
 額が額なだけにイワンは悩んだ。
「どうする?止めとくかい?」
「イワン、こんな無茶な賭け事止めた方がいいです」
 そばにいたメアリィはイワンを止めた。
 イワンは決断した。
「いいでしょう。やります!」
 イワンは2400コインを台の上にばらっと撒けるように置いた。
「へへ、そうこなくちゃなぁ、お客さん。それじゃダイスを渡すぜ」
 イワンはダイスを受け取って、台の前に立った。
「イワン!」
「大丈夫ですよ。必ず勝ちますから」
 イワンは自信に満ち溢れていた。
 イワンはダイスを一度握りしめ、心を集中した。台の目の間隔をもう一度確認してみた。
 間隔はそれほど狭くはない、ダイスはきちんと二個収まるはずである。
 狙いを定め、イワンはダイスを投げた。
 ダイスは台の端にぶつかって何度か弾んだ。二つのうちの一つのダイスが四を出して四の目に止まった。
 もう一つのダイスは何度も弾んでなかなか止まらない。
 六の目の所でダイスが大きく弾んだ。
 ダイスは四の目に入った、そして一回転がって、ダイスは四を出した。
「こ、これって?」
 ダイスは二つとも四を出し、二つとも四の目に止まっている。
「し、信じらんねぇ…お客さんパーフェクトだよ!」
 店主の仕掛けてきた大勝負の軍配はイワンへと上がった。
「や、やった!」
 イワンは飛び跳ねて喜んだ。
「ほら、これ。配当金の24000コインだ。約束だからな」