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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 4

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「足手まといが!どうにか叩き起こして連れてこい!」
 メナーディは苛つきながら怒鳴った。
「…てめえら、ジャスミンがこんなになってるてのに…!」 ガルシアはシンの前に手を出し、シンをとめた。
「ガルシア…」
 ガルシアはジャスミンをシンに預けてサテュロス達に歩み寄った。
「頼む、ジャスミンを休ませてやってくれ。時間がないのは分かっている、だが、頼む、この通りだ」
 ガルシアは頭を下げた。
「ふん、貴様らと合わせていてはいつまでも抜けられん。しばらく別行動としよう。我々は先に行く、砂漠を抜けてすぐにあるカレイの町で落ち合うことにしよう。あまりにも遅れたら、分かっておるな?」
 サテュロスはニヤリと笑った。
「ああ…」 
 ガルシアは了承した。
「行くぞメナーディ」
 サテュロスは足早に歩き出した。
「断じて遅れるなよ!」
 メナーディは言った。
 2人が行った後ガルシア達はひとまず休めそうな所を探した。しかし目の前は広大な砂漠が広がっているのみでとても見つからなかった。
 探しているうちにスクレータまでも消耗してきてしまったので、仕方なく最初に水を見つけることにした。
 ラマカン砂漠は灼熱の暑さであるが、オアシスはあらゆる所に点在している。しかし、灼熱によって生み出された陽炎によって視界は歪められ、同時に発生する蜃気楼のせいで肉眼では見つけにくいのである。
 歩き回るうちに石で円形に囲まれている箇所を見つけた。この砂漠ではこのようになっている所にオアシスがあることが多い。
「よし、オレに任せな!」
 シンは自信満々に胸を叩いた。そして、心を集中して、五感を最大限に活用した。
 目では捉えられないため、すぐに閉じた。独特の匂いなどもしない。となるとあとは耳である。
 辺りの風の音なども入らないほどに水の音を聞き取ろうとする。
………ピチャ………
 シンは目を開いた。
「ガルシア、あそこだ。あそこに水はあるぞ」
 ガルシア達はそこに歩み寄った。次第に視界ははっきりしてきてオアシスの輪郭も見えてきた。
「おお、本当に水じゃ!」
 スクレータは真っ先にオアシスに顔を埋めた。
「ぷはぁ、うまい。生き返るようじゃわい」
 スクレータはこれまで何度もオアシスの水を飲んでいるのだが、飲む度同じ事を言っている。
「おいおい、爺さんあんまり飲み過ぎるなよ。若くないんだから生水は体に障るぜ」 シンはからかってみせる。
 スクレータはムッと立ち上がった。
「こりゃシン、ワシを年寄り扱いするでない!」
「あぁ、オレは爺さんを年寄りとは言ってないぜ?」
「ほらまた『爺さん』などと…」
「あ、バレた?」
 シンはケタケタ笑い、スクレータはそれをとがめている。
 そんなやり取りの端でガルシアはジャスミンを横たえて手にすくった水を飲ませた。
「どうだ、大丈夫かジャスミン?」
「うん…ありが…とう…ね、兄さん」
 弱々しく掠れた声で答えた。
 ジャスミンの衰弱は目に余るものだった。汗も出なくなり、押さえてるガルシアの手に高い体温が伝わってくる。顔も青白くなっており、しっかりと処置をしなければ危険な状態だった。
「どうだいガルシア、ジャスミンの様子は?」
 シンはジャスミンの顔を覗き込んだ。
「だいぶ悪いみたいなんだ。どうしたら…」
 シンは少し考えた。
「よし、ガルシアお前ちょっと日除けになってくれ。あ、スクレータも頼めるか?」 ガルシアは素直に応じた。スクレータは、年寄りを日除けにしおって、などと文句を言ったが、シンに、言ってる事めちゃくちゃだぜ、と言われ仕方なしに従った。
「よしっと、それじゃジャスミン、ちょっと失敬するぜ…」
 シンは外套を脱がせ、その下の服も脱がせた。真っ白い下着が露わになる。シンはその下着をもまくし上げ始めた。
「おい、ちょっと待て!お前一体何を!?」
 下着をまくし上げられへそがあらわになり、胸までも露出されるかというところで、さすがのガルシアも見るに堪えずシンを止めようとした。
「おいおい、何を勘違いしてんだ?さすがにこれ以上は脱がせねえよ。ただ緩めてやっただけだよ」
 それとも、とシンはいやらしい目つきで続ける。
「妹の成長ぶりを見てみるか?」
「なっ!」
 ガルシアは絶句した。
「アハハ、冗談、冗談だって。ムキになるなよ!」
 シンは彼特有の笑い声を上げながら赤面しつつ俯くガルシアの肩バシバシ叩いた。
「じゃあちょっと水を汲もうかね、ガルシアお前いらない布と料理用の塩持ってないか?」
「ああ、それなら俺の袋の中に」
 ガルシアは道具袋の中から頼まれた物を取り出した。
 この旅の中での料理係はガルシアだったので調味料は彼が持ち歩いていた。シンが塩で何をする気だったのか分からなかったが。
「どうも、じゃあオレが水汲んでいる間ジャスミンを扇いでいてくれ」
 シンは水を汲み始めた。ガルシアは言われた通り布でジャスミンを扇いだ。シンのせいで目のやり場に困ってしまったが。
 少ししてからシンが戻ってきた。
「お待たせ、じゃあまずこの布をジャスミンの脇にはさんでくれ」
 そう言ってシンは濡れた布をガルシアに手渡した。ガルシアはためらいながらもどうにかはさむ事ができた。
 シンは頷くとジャスミンの頭を抱えて少し起こした。
「ほら、ジャスミンこれを飲むんだ」
 シンが手にしているのは見る限りでは普通の水が並々と注がれたコップである。それをゆっくりとジャスミンの口に注ぎ込んだ。
「っ、けほ…けほ…!」
 水が注ぎ込まれた途端にジャスミンは咳き込みだした。
「ありゃ、ちょっと多かったかな?まあいいか…」
「おい、シン、お前何を飲ませたんだ?」
「飲んでみるか?」
 シンはコップを手渡した。コップにはまだ半分ほど水が残っている。ガルシアは一口含んでみた。
 それは恐ろしくしょっぱい味だった。
「がは、ぺっぺっ!」
 飲み込むことなど到底無理だった。
「ああ!せっかくの塩水を!」
「塩水だって!?」
 ガルシアは口元を手で拭った。
「そんな物を飲ませたのか!」
「落ち着けよガルシア…、こんな時は塩水を飲ませなきゃ駄目なんだって」
 シンは説明した。
 熱中症を起こすということは体内の水分量が不足するのはもちろんのこと、塩分までも不足してしまうのである。
 一般的には塩は水分を飛ばしてしまうような認識があるかもしれないが、実はその塩分を与える事が重要なのである。また、シンはジャスミンの体温を下げるために脇を冷やすようにしたが、これにも重要な意味がある。
 熱を出した時などはよく額を冷やす事が多いが、実際には首筋や脇のほうがより解熱に適しているのである。そのためシンはそこに布をはさませたのだった。
「シンの言っとる事は全て正しいぞ、ガルシア」
 スクレータは言った。
「どれも的確な処置じゃ。勉強した者でないとなかなか分からん事じゃぞ」
「スクレータ分かるのか、さすが学者だな!」
 シンは笑った。
「…そうとは知らず、さっきは悪かったな」
 ガルシアは怒鳴った事を謝った。
「いいって、ちゃんと最初に説明しなかったオレも悪かったからな」
 シンは特に気にとめていないようだった。まあでも、とジャスミンを見る。