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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 5

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「この通り、動けぬのじゃ…」
「この通りって全然見えねえじゃねえかよ!」
「…だから困っておるのじゃ」
 イワンはジェラルドを咎めて、見えない人物に訊ねた。
「一体こんな危険な洞窟で何をしていたんですか?」
「それはな…」
 薬を取りに来たのだと言う。しかし、長い間薬を飲まずにいたせいで薬が切れ、道の途中で倒れてしまった。
 曰わくもしこれ以上薬を飲むのが遅れたら、命に関わるそうである。
 影の人物は藁をも掴む思いで頼んだ。「お主ら、厚かましい願というのは分かっとる。じゃが、頼む、薬を取ってきては貰えぬか?」
 頼み込む声も随分と辛そうであった。
「分かりました。オレ達でよければ」
「おお、行ってくれるのか!?」
「もちろんです。命が危ないなら尚更です」
 ロビンはふと、ジェラルドを見た。
「ここまで来たんだ。最後まで手伝うよ」
 やはり不本意な様子だったが、文句は言わなかった。
「それで、その薬はどこに?」
「この洞窟の一番奥にちょっとした仕掛けがある。教えるまでもない簡単な仕掛けじゃから、すぐに分かるじゃろう。仕掛けを解いた後に開く入り口を行った先のテーブルの上に瓶に入った薬が置いてあるはずじゃ。それを持ってきとくれ」
「お尋ねしますが、その薬はどんな薬なんですか?」
「…隠された大陸、レムリアの…うう、すまんが早く行ってくれんか?」
「すいません、それじゃ急いで行ってきます」 ロビン達は洞窟の奥へ消えていった。
――少年達よ、急いでくれ。あの薬を、あの薬を飲まなければワシは…――
    ※※※
「それではこれより、最後の試合を行います。260番、262番、準備をお願いします」
 長い間行われたコロッセオトライアルも残すは最後の試合のみとなった。
 その最後の試合を行うのはリョウカとウラヌスであった。
「リョウカ、手加減は無用だぞ」「当然だ。ウラヌスこそ手を抜いたら許さんぞ」
 お互いに笑い合った。
 二人は試合場に向き合った。
 リョウカはここまで無敗、ウラヌスも同じだった。つまりここで予選一位が決まるということになる。
「両者前へ」
 試合場に入り、互いに身構える。
「試合開始!」
 合図とともに互いに大声をあげた。
「行くぞリョウカ!」
「来い、ウラヌス!」
 最後の試合が今まさに始まった。
 お互いに仕掛けた。しかし、体格差のせいでウラヌスの拳が先に届いた。
 リョウカは一瞬で攻撃を止め、その拳を受け止めた。
 とても固い一撃で受け止めた腕が一瞬痺れた。
 これまでの戦士達とは次元が違う。
 今度はリョウカが蹴りを入れた。ウラヌスは片手でそれを受ける。すると、リョウカは手を伸ばし、蹴りを受け止める手を掴んだ。それと同時にその手を引き寄せ、両脚をウラヌスの体に絡ませ、うつ伏せに引き倒した。 リョウカは関節を極めたのだ。普通の戦士ならこれで降参をするはずであったが、
「ふぬおおお…!」
「何!?」
 ウラヌスは力で取られた腕を引き離そうとした。力はあまりにも強く、ついにはリョウカの持つ手が離れてしまった。
 ウラヌスはすぐに起き上がり、強引に手を振るった。
 リョウカは後ろに飛び退いてかわした。
 両者の間には広い間合いができた。手はおろか足すらも届かない。
「リョウカよ…」 ウラヌスは口を開いた。
「今のはなかなか危なかったぞ」
 リョウカも言う。
「あの技から逃げることができたのはお前だけだ。ウラヌス、お前は私が思っていた以上に強い」
「これでお互い本気をだせるな」
「何を言っている、私は最初から…」
 互いに間合いをつめた。
――本気だ!――
 ウラヌスは拳を、リョウカは蹴りを繰り出した。それぞれの攻撃が互いに相殺された。
 ウラヌスはすぐさま攻撃を続けた。リョウカは既に構えなおしている。
――かかったな!――
 リョウカはウラヌスの手を取り、手首を捻った。ウラヌスの体が空中で弧を描いた。そして背中から地面に土煙をあげながら倒れた。
「投げ技一回!」
 リョウカの得意技の一つ、合気である。
 突然ウラヌスが起き上がり、リョウカの襟を掴んだ。すると、足をかけて前に倒してきた。
「ぐ!」
「投げ技一回!」 ウラヌスの全体重と地面に叩きつけられた衝撃で呼吸が止まった。
 ウラヌスはリョウカに馬乗りになったまま服の襟で首を締め始めた。
「投げ技を決めて安心したな?一瞬の油断が命取りだぞ」
 ギリギリと絞める力が強くなっていく。力では到底ウラヌスにはかなわない。どうにか手で締めをかわすのがやっとだった。
「さあ降参しろ。さもないと命はないぞ…」
 リョウカは降参しない、頭を後ろにやって、苦しそうな表情を浮かべるのみだった。
 しかし、そんな行動の裏で、ある企みがあった。
――もう、少しだ…――
 体の力全てを頭に集結させていた。
「さあ、早く降参しろ!」
 力は満たされた。
――今だ!――
 リョウカは思い切り頭を突き出した。次の瞬間ウラヌスの顔面に目に見えない強い力がぶつかった。
「ぐほ」
 絞める手が緩んだ。その瞬間をリョウカは逃さずウラヌスの腹を蹴り上げて後ろに飛ばした。
「ごほ、げほ、げほ…」
 リョウカは咳をしながらも呼吸を整えた。
「うぐうう…今のは、一体何なのだ?」
 ウラヌスは目に涙をためて鼻を押さえている。指の隙間から鼻血が出ているらしくかすかに血が漏れていた。
「ラマ寺よりシーアン村に伝わる極意、エイヤだ」
 驚く事にリョウカはエイヤを頭で使ったのだ。さすがに手で使ったときほど威力はないが、ウラヌスほどの大男を怯ませるには十分だった。
「ウラヌス、悪いがこれで終わらせてもらおう!」
 リョウカは拳に力を込めた。エイヤで勝負を決めるつもりである。
「えええい!」
 リョウカは拳を突き出した。見えない強い力の流れがウラヌスに襲いかかる。
「ぬう!」
 ウラヌスは力を受け止めた。しかし、押し返すには至らず、どんどん後ろに押されている。ついには試合場の端まで押し込まれた。
「ぐおおおお!」
 ウラヌスの腕が弾かれ、守りが解かれた。
全力のエイヤを受け、試合場外まで吹き飛ばされた。
「場外、勝負あり!」
 コロッセオトライアルは幕を閉じた。
    ※※※
 石のテーブルの上に不気味な色の液体をつめた瓶が置かれていた。その後ろには同じような瓶が何十本と置かれている。
「これが薬なのか?」
 ロビンは瓶を手に取った。
「嫌な色の薬だなあ、とても飲む気にはなれねえな」
 ジェラルドは瓶を覗き込んだ。
「これであの人を助けられますね」
「ああ、そうだな。急いで戻ろう」
 ロビン達は薬のある部屋を出た。すると、入り口がまた元の姿に戻った。
 影の人物は薬の部屋の入り口には仕掛けが施されていると言っていた。恐らく盗まれぬようにしたのであろうが、絶対に盗まれはしないだろうとロビンは思った。
 人物曰わく仕掛けは説明するまでもなく簡単だなどと言っていたが、実際には仕掛けを見破るのに結構な時間がかかってしまった。
 ジェラルドが偶然側にある岩に触らなければ、絶対に分からなかった。ジェラルドが岩に触った途端、不思議な色の付いた玉が壁に現れた。