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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 5

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 ロビンの焦りようにリョウカもつられ、さらに慌ててしまった。
「あ、うん、じゃ言うよ…。明日の試合、もしオレ達が当たったら、本気できてくれ。オレも本気で闘う」
 ファイナルに出る以上勝ち進めればいつかは闘わなければならないかもしれない。ロビンは覚悟を決めていた。
 リョウカの答えは決まっていた。
「当然だ。だが、まずはお互い勝ち残れるように、力を尽くそう」
 二人は固く誓い合った。
 不意に浴場の戸が開いた。
「お?いロビン、やっぱり来てやったぜ」
 ジェラルドが入ってきた。しかし、ジェラルドの呑気な顔はすぐに驚愕のものに変わった。ロビン達も同じだった。
「あ、あ?、オレ邪魔だったかな。ゴメン…、てかお前らそういう仲だったのか…」 ジェラルドは明らかに誤解していた。
 ロビン達は大慌てで弁解した。
「ち、違うんだジェラルド!これは偶然…!」
「そ、そうなんだ!私が入ってちょっとしてからロビンが!」
「まあまあ、二人とも、そんなに隠さなくていいだろ。あ、オレ今出てくから」
 ロビン達の声が重なり合った。
「だから違うんだって?!」
 その後ジェラルドの誤解を解くのにしばらくかかったのだった。
    ※※※
 コロッセオファイナルの日がついにやって来た。
 早朝にもかかわらず、コロッセオは既に観客で埋め尽くされ、歓声がわいていた。
 競技場の周辺ではトトカルチョという賭事が行われていた。どの戦士が優勝するかを予想するものらしいが、必然的にトライアルで一位通過した者に皆賭けている。
 コロッセオの門前にファイナル出場戦士が張り出されている。
 第一戦士、アザート。第二戦士、ウラヌス。第三戦士、サトレージ。第四戦士、シオン。第五戦士、デッカ。第六戦士、ナヴァンバ。第七戦士、リョウカ。最後の第八戦士がロビンである。
 同時に試合順も以下の通りになっている。
 一回戦第一試合、リョウカ対サトレージ。第二試合、デッカ対シオン。第三試合、ナヴァンバ対ウラヌス。第四試合、アザート対ロビン。
 場所が変わって、戦士の控え室。
 試合直前ということで室内は大きな緊張感に包まれている。
 戦士達は皆甲冑を着込んでいる。この中で軽装なのはロビン達だけであった。しかし、ファイナルでは試合前に障害物競走がある。競走を勝ち抜くには軽装の方が良い、それを考えているのか、壁際で座禅を組んで瞑想している第五戦士、デッカは比較的軽めの防具を身につけていた。
「さすがにみんな強そうだなあ…」
 ロビンは緊張した面持ちで言った。
「安心しろ、私達にはエナジーがあるんだ。そう簡単に負けはしない」
 リョウカは言った。
「どうした、シオン?」
 ウラヌスは訊ねた。
 シオンはじっとデッカを見つめている。
「あいつ、やっぱり勝ち抜いたのか」
 デッカとシオンはトライアルで闘い、そしてシオンが負けた。運のいいのか悪いのか、彼らは初戦で闘う事になっている。
「今度は俺が勝つ!」
 シオンは一人誓いを立てるのだった。
「は?、はっはっは!」
 突如、この緊張した空気にはそぐわない笑い声が、控え室に響いた。
 見ると重そうな甲冑に身を包み、顔が見えない鉄仮面を被った三人組がロビン達の前にふんぞり返っている。
「三男、アザート!」
 アザートと名乗った戦士は妙なポーズをとる。
「次男、サトレージ!」
 さらにポーズをとる。
「そして長男、ナヴァンバ!」 重そうな鎧を着ているわりには柔らかい動きをしている。
「三人合わせて…」
 真ん中にナヴァンバを置き、横にアザートとサトレージが左右対称に腕を伸ばしたポーズをとり、ナヴァンバは腕組みをしている。
「格闘戦士三兄弟!」
 ロビン達はポカーンとしていた。三兄弟はそれぞれ言い始めた。
「お前達、まぐれで勝ち残ったようだが…」
「その悪運もそこまでだ!」
「優勝は我ら三兄弟のものだ!」
 ロビン達はぱっくりと開いた口が塞がらなくなり、もはや何もいえなかった。
「ふふふ、奴らそうとう怖じ気づいたぞ兄者!」
 アザートは言った。
「こうして見ると、奴らどいつも弱そうだな!」
「我らの勝利は確実だな!決勝の相手は、アザートか?サトレージか?」
 三兄弟の間で俺だ、いや俺だ、と議論が始まった。
 リョウカは呆れ果てた溜め息をついた。
「え?と、三バカ兄弟といったか?」
「格闘戦士三兄弟だ!女!」
「どうでもいいが、何ださっきのは?」
 三兄弟は自信満々に言った。
「決めポーズだ、カッコ良かろう!」
 どこがだ、とリョウカ含めロビン達は思った。
「…で、その三兄弟が私達に何の用だ?」
「初戦の相手を脅かし…、もとい、挨拶にきたのよ」
 あれで脅かしているつもりだったのか。ただのひどい曲芸にしか見えなかった。
「貴様の相手はこの俺だ!」
 サトレージはリョウカに指差した。
「女が相手というのは不服だが、精々楽しませてくれよ」
 サトレージはどうやらリョウカこそがトライアルを一位通過した戦士だと知らないようだった。
「そしてお前は俺様が相手だ!」
 ナヴァンバはウラヌスの前に立った。背丈はウラヌスとあまり変わらない。
「うむ、良い勝負をしよう」
 ウラヌスだけが三兄弟をまともに相手している。
「そして私は…」 アザートはロビンを見た。
「お前だ!」
 三兄弟の末っ子のアザートはロビンと歳が変わらないように思えた。
「あ、ああ…よろしく」
 ロビンは妙に圧倒されていた。
「では、試合を楽しみにしているぞ!」
 言うと、笑いながら三兄弟は去っていった。
「リョウカ、あいつら一体何だったんだろう?」
「気にするな、ただのバカだ…」
 係員が控え室にやって来て告げた。
「間もなく試合開始時間です。皆さん試合場にご移動願います」
 緊張感が高まった。
「行こう、ロビン」
「うん!」
 ロビンとリョウカはウラヌス達と共に試合場へと歩き出した。
    ※※※
 大会審判員よりファイナルの説明がなされた。
 ファイナルは一対一の勝負で出場戦士には周知のように障害物競走が行われ、先に試合場にたどり着いた者から武器を選択することができる。
 対外武器は先についた方が良い武器を手に入れるので、実質これで勝負が決まると言っても過言ではない。
「以上で説明は終了です。では、間もなく一回戦第一試合を開始します。第七戦士、第三戦士、ご準備願います」
 本来一回戦は免除のリョウカであるが、人数がちょうど集まっているので初戦から闘うことになっている。しかし、位置はシードのままである。にも関わらず、対戦相手のサトレージは余裕を見せている。
「へへん、精々楽しませてくれよ。お嬢ちゃん」
「フン」 両者ともに障害物競走の開始位置へと立った。
 障害物競走の道は向かい合う形で左右対称になっており、リョウカは右側へ、サトレージは左側へ行った。
「それでは?!会場の皆さんの合図で試合開始します!会場の皆さん!私と一緒に三つ御唱和ください!」
 審判員の男と共に、会場の観客はカウントダウンを始めた。
「3!」
「2!!」
「1!!!」
 スタート、会場の掛け声と同時に試合が始まった。
 両者一斉に走り出した。最初の障害物は石柱を押すものだった。