機動戦士ガンダムRS 第11話 刃VS鎌
正直いろいろありすぎた。
「下ろしてもらえるんだよね、地球に」
「え」
カズイの発言にサイが驚いた。
「だってラミアス大尉が言ってた『然るべき場所』が艦隊じゃないのかな?」
カズイが説明するとサイは、思い出したような表情をした。
正直これまでのいろいろなことで頭がいっぱいでそんなことなど忘れていた。
「でも」
「でも?」
しかしカズイが反語を言ったのでサイは、その続きが気になった。
「キラは、どうなるのかな?
下りられるのかな?」
カズイは、キラの処置を気にしていた。
「あれだけいろいろなことをやってユーピテルの撃墜数も軍トップになっちゃったし」
キラは、つい最近まで普通の学生だったにもかかわらずストライクガンダムのOSを勝手に書き直し挙句の果てにユーピテルの撃墜数も軍トップになってしまった。
地球軍がこのままこれだけの力をみすみす手放すとは、考えられなかった。
サイもそれがわかったのか難しい顔になった。
そこにキラがやってきた。
キラは、2人に軽く挨拶し飲み物をもらいに来た。
その後フレイが来た。
3人がフレイに気づいた。
フレイは、サイのところに来た。
「ねえサイ、サイは地球軍に志願なんかしないわよね?」
フレイは、このままサイが地球軍に志願するんじゃないかと不安だった。
「そんなことないよ。
艦隊が然るべきところだと思うからそこで地球に下ろしてもらえるんじゃないかと話してたんだ」
キラの胸にその言葉が突き刺さった。
「もちろんお前も下りられるさ。
下りられなかったらお前を拉致してでも地球に下ろしてやるさ」
サイは、明るくそういった。
これは、冗談のように聞こえるがトールなどに話したら真剣に作戦を練りそうなほど彼らとキラとの絆は深い。
「サイ」
キラは、苦笑いした。
無論キラもそのことをわかっており素直に喜べなかったのは、そのためだった。
しかしそれでもキラをうれしくさせるには、十分だった。
フレイもまたサイ本人から地球軍に志願しないと聞いたので一安心した。
※
アークエンジェルのブリッジでは、ロメロ伍長がレーダーの干渉を確認した。
「レーダー波に干渉。
Nジャマー反応、増大」
その報告にラミアス艦長とバジルール副艦長の表情が戦慄した。
※
ドゴス・ギア、ロンバルディアとアレキサンドリアからマン・マシーン隊が発進した。
※
「総員、第一戦闘配備」
アークエンジェルのブリッジでは、ラミアス艦長が艦長席に座り命令を出した。
「103、オレンジ、αにドゴス・ギア級、ロンバルディア級ならびにアレキサンドリア級を1隻ずつを確認」
ダリダ伍長が艦の種類と位置を報告した。
「マン・マシーンの熱紋照合。
ガンダムサイガー1機にユーピテルが111機です」
ジャッキー伍長がマン・マシーンの数と機種を報告した。
「死神め。
合流を目前に」
バジルール副艦長は、合流前に決着をつけようととする死神の決意に苛立ちを感じた。
「総員、第一戦闘配備。
繰り返す。
総員、第一戦闘配備」
ロメロ伍長が艦内放送で皆に伝えた。
キラは、モビルスーツデッキに向かおうとした。
「キラ」
サイがキラを呼び止めた。
「生きて帰って来いよ」
サイがキラに忠告した。
「こんなところで死んだらお前を拉致って地球に下りられないから」
こういうときのジョークは、不謹慎かもしれないがキラの心をほぐすには十分だった。
「わかった。
一緒に地球に下りよう」
そう約束するとキラは、モビルスーツデッキに向かった。
※
フラガ大尉は、一足速くメビウス・ゼロに乗り込んだ。
「さすが死神だ。
このタイミングでも仕掛けてくるとは」
フラガ大尉は、サオトメの襲撃タイミングに感心していた。
「ムウ・ラ・フラガ、出る」
フラガ大尉が一足早く出撃した。
その後後続機も出撃した。
キラもストライクガンダムに乗った。
「キラ、コロニー軍の戦力はドゴス・ギア級、ロンバルディア級ならびにアレキサンドリア級を1隻ずつ。
マン・マシーンは、ガンダムサイガー1機にユーピテルが107機よ」
キラは、ストライクガンダムに灯を点けながらミリアリアからの敵情報を聞いていた。
「あの艦隊」
キラは、死神のしつこさに飽き飽きしていた。
ストライクガンダムは、カタパルトへの固定位置まで移動した。
キラは、そこでバイザーを下ろした。
「APU、起動。
ストライカーパックはエールにソードのマイダスメッサーとパンツァーアイゼン、ランチャーのコンボウェポンポッドを装備します。
シュベルトゲベールは、後から射出します」
ストライクガンダムがカタパルトに接続された。
「カタパルト、接続。
ストライク、スタンバイ。
システムオールグリーン」
天井と両壁が開きストライクガンダムにエールストライカー、ソードストライカーのマイダスメッサーとパンツァーアイゼン、ランチャーストライカーのコンボウェポンポッドが装備された。
「針路、クリア。
ストライク、発進です」
ミリアリアが発進準備が整ったことを報告した。
「キラ・ヤマト、行きます」
発進準備がすべて整いストライクガンダムは、発進した。
そして後から来たシュベルトゲベールが射出されそれをストライクガンダムの手にとらせた。
※
「第8艦隊もこちらに向かっているわ。
持ちこたえて」
ラミアス艦長が皆を鼓舞した。
「イーゲルシュテルン、起動。
アンチビーム爆雷、用意。
艦尾ミサイル、全門セット」
バジルール副艦長の命令でアークエンジェルは、近接戦闘武器を起動させた。
※
ドゴス・ギア所属のマン・マシーン小隊ずつで背面を合わせて十字を作って回転した。
それを9小隊が行った。
ロンバルディア所属のマン・マシーン小隊は、6小隊でアレキサンドリア所属のマン・マシーン小隊は4小隊行った。
背後では、艦隊がそれめがけて主砲と副砲を発射した。
マン・マシーン小隊は、寸前でこれらを回避したのでアーガマもどき命中した。
※
その衝撃は、ブリッジを襲った。
「こちらの回避アリゴリズムが解析されている?」
ラミアス艦長は、敵の強さに驚いていた。
※
フレイは、就寝室のベッドの中で震えていた。
※
「機体で射線を隠すとは、味なことをしてくれるじゃないか」
フラガ大尉は、敵の戦いのうまさに感心した。
そしてガンバレルを展開すると1機のユーピテルに向けて一斉発射を行った。
しかし回避されビーム・マシンガンの連射で応戦された。
※
キラは、ガンダムサイガーを確認するとまたキラの中で何かがはじけた。
キラは、フェイズシフト装甲に回っていた電力をすべてシュベルトゲーベルにまわしガンダムサイガーに切りかかった。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第11話 刃VS鎌 作家名:久世秀一