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【カイハク】機械仕掛けの神

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来た当初は、カイトの姿を見かけては身を縮めていたハクだが、向こうから近づいてくることがないと気づいて、大分緊張も解けてきた。
城の中を見て回るのも飽き、ガルムと一緒に掃除をしたり、カラクリ達におっかなびっくり命令を出したりと、徐々に城での暮らしに慣れていく。
そんなある日、ホールに降りてきたハクは、ガルムのキーキー叫ぶ声を聞きつけた。
慌てて声の方へ向かうと、ガルムが高い棚の上で右往左往している。

「あっ、お嬢さん! 助けてくださいよ! こんなとこから飛び降りたら、足を折ってしまいまさあ!」
「あ、は、はいっ」

ハクが急いで駆け寄ると、ガルムはハクの肩に飛び移った。

「ああ、良かった。ありがとうございます。全く、どうなるかと思いましたよ」
「あ、はい。でも、何でこんなところに登ったんです?」
「あたしの意志じゃありませんよ! 旦那に乗せられたんです! 全く、何度言っても聞きやしない! 旦那は悪戯がすぎるんですよ!」

ぷりぷり怒るガルムに、ハクは意外な気持ちになる。
自分が見かけるカイトは、何を考えているのか分からない、不気味な存在なのに。

「ガルムさんには、よく悪戯をするんですか?」
「よくなんてもんじゃありませんよ! お嬢さんも気をつけてくださいね。何するか分かったもんじゃありませんや。何かされたら、遠慮なくやり返してくださいよ。全く、旦那は子供じみたところがありますから」

まだ怒りが収まらない様子のガルムだが、ハクは遠目に見たカイトの姿に意識を奪われていた。


あの人は、あの顔で、どんな悪戯を考えつくのだろう。




「すみませんねえ、お嬢さんにまで手伝わせちゃって」
「いいんです。何もしないのも退屈だから」

ハクは、ガルムからハタキを渡される。

「適当にやってくださいな。そんなに汚れてもいませんからね。ああ、階段の上にある花瓶は、この城を作った魔道士のものだそうですから、一応気をつけてください。当の本人はとっくにいませんけどねえ、まあ形見みたいなもんですから」
「はい」

踊り場に置いてある大きな花瓶を見上げながら、ハクは庭で花を摘んで活けようかと考えた。


何もないのは殺風景だし・・・・・・少しは華やかになるから。


カイトは喜んでくれるだろうかと考えて、ハクはわずかに頬を染める。


あ、あの人の為ではない、けれど。


それでも、彼が機嫌良くいてくれれば、村に悪影響もないだろうと考え直した。