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【カイハク】機械仕掛けの神

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ガルムはカラクリ達を連れてくると、破片を片づけさせる。

「・・・・・・お嬢さんは、わざと落とした訳じゃありませんよ」
「分かってる」
「でもね、旦那は怒るべきでしたよ。何で怒らないんです? 悲しくないんですか?」
「何が?」
「旦那にとって、生みの親とも言うべき人の形見ですよ。この世に二つとないものですよ」
「そうか」

首を傾げているカイトに、ガルムは溜息をついた。

「旦那、あたしは、いっそ旦那にも心がなければ良かったと思いますよ。カラクリ達と同じように」
「そうか」
「怒らないんですかい?」
「何故?」
「今、あたしは酷いことを言いましたよ」
「そうなのか」

ガルムはカイトを見上げると、その体を駆け登って肩に座る。

「旦那が怒ってくれなきゃあ、あたしは許してもらえません」
「誰に?」
「旦那にですよ。それ以上に、自分に。旦那は怒る、あたしは謝る、旦那があたしを許す。そうしないと、宙ぶらりんのままでさあ」
「私は怒ってないのにか」
「そこは、嘘も方便ってやつで。罪を罪でなくしてしまったら、償うことができませんや。お嬢さんも、旦那に謝ることが出来ませんよ」
「さっき謝っていた」
「旦那が怒らなかったら、一方通行ですよ。お嬢さんの気持ちが、宙ぶらりんになってしまいます。旦那に謝罪が受け入れられた、そうお嬢さんが感じることが大切なんです」
「そうか」

気のない返事に、ガルムは再び溜息をつき、

「旦那、お嬢さんのこと好きですか?」
「ああ」
「あたしと比べると?」
「同じくらいだな」
「・・・・・・旦那、また言葉の使い方を間違えてますよ」
「そうか」

同じでは駄目なのだという言葉は飲み込んだ。