二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【カイハク】機械仕掛けの神

INDEX|14ページ/25ページ|

次のページ前のページ
 

あてがわれた部屋に戻ったハクは、床に座り込んで溜息をつく。
どうして何時も、余計なことをしてしまうのだろう。あの花瓶は大切なものだと、聞かされたばかりなのに。
マスターの時も、自分が大人しく待っていれば、気づかれず騒ぎになることもなかっただろうに。


彼は、呆れているかしら・・・・・・。


冷静な視線と声が、自分の全てを拒否しているようで、ハクは手で顔を覆う。
彼は自分をどう思っているのだろうか、どうするつもりなのだろうかと思い悩んでいたら、扉にノックの音がした。

「あっ、ど、どうぞ」

ガルムが慰めに来てくれたのかと顔を上げると、予想に反してカイトが入ってくる。
驚きのあまり言葉の出てこないハクを、カイトは一瞥すると、

「あの花瓶は、亡くなった魔道士が大切にしていたものだ。君の不注意で割れてしまった」

淡々とした口調に、ハクはかえって身を縮め、か細い声で「ごめんなさい」と言った。

「分かった」

カイトは頷き、「これでこの件はおしまいだ」と言う。

「え?」
「ハクは謝った、私は許した、それで終わりだ。何か間違っているか?」
「えっ、あっ、で、でも、大切なものだったのでしょう?」

狼狽えるハクに、カイトは首を傾げ、

「花瓶が必要なら、他にもある」
「えっ」

ハクは一瞬あっけにとられ、カイトの真面目な顔に吹き出した。

「そういうことじゃないですよ」

ころころと笑うハクに、

「ハクの笑った顔を初めて見た」
「え? あっ、あの」
「ハクは笑った方が綺麗だ。笑っているハクは、ガルムより好きだな」

大真面目に言われ、ハクは真っ赤になって言葉に詰まる。


そんなこと、初めて言われた・・・・・・。


そして、自分もカイトの笑った顔を見たことがないと思い当たった。


彼は、どんな顔で笑うのだろう。