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【カイハク】機械仕掛けの神

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翌日、ハクはホールにある鏡の前に立ち、村の様子を眺める。
忙しく道を行き交う人々の中に、レリクの姿が混じってはいないだろうかと目を凝らしていたら、背後からカイトの声がした。

「帰りたいか?」
「えっ?」

驚いて振り向いたハクに、カイトは同じ言葉を掛ける。ハクは俯き、

「私・・・・・・私、より、カイトさんは、どうなのですか?」
「何が?」
「あの、カイトさんは、この城を出ないのですか?」

顔を上げ、カイトの表情のない顔と向き合った。

「他に行くところもないからな」
「城を、森を、出て、世界を見たくはないのですか? もっとずっと、広大な世界があるのに」
「見るだけなら、鏡で好きなだけ見れる」
「そうではなくて」

ハクは苦い笑いを押し殺し、カイトにとっての幸せとは何だろうと考える。


たった一人、話し相手もなくこの城に縛られて、カイトさんは幸せなのかしら。
もし、この城がなくなったら、どうするのだろう。


「カイトさんは」
「ん?」
「カイトさんは、この城がなくなったら、どうします? この城も、カラクリ達もなくなったら」

ハクの問いに、カイトは首を傾げて、

「また造ればいいんじゃないか?」

と答えた。

「え?」
「此処に造れないなら、別の場所を探せばいい。世界中探せば、一カ所くらい気に入る場所も見つかるだろう」
「えっ、あ、そう・・・・・・です、ね」


何とも思わないのかしら。
自分が暮らしてきた場所がなくなっても。

私が・・・・・・いなくなっても。


「城はなくなってもいいが、ハクとガルムがいなくなるのは嫌だ。二人がいてくれたら、それでいい」
「えっ!?」

さらりと言われてハクは驚き、真っ赤になって俯く。

「わ、私は、他に行く場所もないので・・・・・・」
「村があるだろう。ハクの主人がいる」
「・・・・・・・・・・・・」

村には戻れないと言おうとして、ハクは口をつぐんだ。


私が村に戻れば、村の人はマスターを酷い目に遭わせるかもしれない。
この城で暮らす以外の道はない・・・・・・この城で、彼とともに。


そう、それが一番いい方法なのだ。