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【カイハク】機械仕掛けの神

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城の中はしんと静まり返り、レリクの息づかいだけがやけに響く。ひんやりとした空気に身震いし、足音をたてないよう、慎重にホールを進んだ。


気付かれる前に、あれを捕まえないと。


目も眩むほどの栄光を思い、レリクはぎゅっと唇を引き結ぶ。全ては、あの人形を手に入れてからだ。
慎重に扉の一つに近づき、中の音に耳を澄ます。そろそろとドアノブに手を掛け、扉を押し開けようとしたその時、背後からの衝撃にレリクは倒れ伏した。

「なっ!?」

息が詰まるほどの痛みに顔をしかめながら、レリクは慌てて身を起こす。だが、肩を押さえ込まれて、今度は仰向けに倒れ込んだ。

「・・・・・・はっ!」

目の前に、鋭い牙を剥きだした口元が迫る。怒りに燃えた対の瞳が、レリクを真っ向から睨みつけていた。

人の背丈を軽く越すほどの、巨大な狼。獰猛な顔つきの、鋭い爪と牙を持った黒い獣が、今まさにのし掛かっている。

「たっ・・・・・・たすけっ!!」
「最初の時も、そう言ったな」

レリクの掠れた叫び声に、狼は低く唸る。

「あたしは、もう誰も殺さないと、旦那に誓ったんだ。だから、お前も殺さない。命だけは助けてやる」

獣の言葉に、レリクは卑屈な笑みを浮かべた。

「あ・・・・・・ありがとう。感謝する。に、二度と、この城には近づかないと誓うよ」
「・・・・・・助けてやるのは、命だけだ」

狼の静かな言葉とともに、その背後に無数の人影が現れる。

この城に残された、カラクリ達。
醜く歪み、ねじれた、心を持たない「失敗作」達だ。

古代から眠る城に、悲痛な叫びが響き渡る。