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【カイハク】機械仕掛けの神

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カイトの戻ってきた気配に、ガルムはちょこまかとホールを横切る。

「旦那、お帰りなさいませ。どうでした?」
「何かいた」

カイトはそう言うと、髪の長い女を床に降ろした。泥だらけでしくしくと泣いている彼女の姿に、ガルムは呆気にとられる。

「旦那、これは一体どうしたことで?」
「迷っているようだったから、声を掛けたら叫んで転んだんだ。怪我はないから、後はお前に任せる」
「えっ? ちょっ、旦那!」
「私が怖いらしいからな」
「ちょっ! 旦那! 絶対誤解ですから! って、旦那! 何でそんなに無責任なんですか! 旦那!!」

ガルムはカイトを追いかけようとするが、泣いてる女性を放っておけず、そろそろと側に戻った。

「お嬢さん、どうか泣かないでくださいよ。あんたも人形だね? どういった訳で、森に入ったりしなさったんだい?」

ガルムは精一杯優しく話しかけるが、相手は泣くばかりで何も答えない。ガルムは困ったように髭を撫でてから、

「お嬢さん、名前くらいは教えてくれませんかね? あたしはガルム。さっきの旦那は、カイトって言うんでさ」
「・・・・・・ハク」

か細い声が返ってきた。

「ハクお嬢さんね。何、怖がることはありませんよ。すぐに着替えを用意しますからね。お湯も沸かして、汚れを拭きなさいよ。綺麗になったら、少しは気が晴れるってもんで」

ガルムがぺちぺちと手を叩けば、カラクリ人形達が集まってくる。ハクは怯えたように身を竦めるが、ガルムはハクに安心するよう言い、

「心配はいりませんよ。この子達は、あたしの言う通りにしか動けないんでさあ。さあお前達、お嬢さんの支度を手伝っておあげ」

カラクリに支えられ、ハクはよろよろと立ち上がった。

「お嬢さん、歩けますかい? ああ、そりゃあ良かった。さあ、こっちへどうぞ。何、心配はいりませんよ。悪いようにはしませんからね」