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【カイハク】機械仕掛けの神

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カラクリ達に手を借りながら、熱いお湯で髪と体を洗い、用意されたドレスを身に纏う。ハクはやっと気を落ち着け、カラクリの肩に乗っている大ネズミに視線を向けた。

「よくお似合いですよ、お嬢さん。サイズが合って良かった」
「ありがとう・・・・・・ガルムさん」
「あっはっは。そんな堅苦しい呼び方はよしてくださいよ。尻が落ち着きませんや」

前足を振りながら、きーきーとガルムは笑う。

「さて、訳を話してくれませんかね? 何だって、森の中に入り込んだんです?」

ハクはハッとして、身を竦めた。もし彼らの気を損ねたら、自分だけのことでは済まないかもしれない。

「あの・・・・・・私・・・・・・」
「大丈夫、悪いようにはしませんから。なんなら、あたしから旦那に話しておきますよ」」
「いえ・・・・・・あの・・・・・・そういう取り決めだと・・・・・・」
「はい?」

聞き返され、ハクはびくりと身を震わせる。

「ああ、ごめんなさいよ。お嬢さんを責めてる訳じゃないんで。どうか続けてください。誰が取り決めたことだと?」

ハクはしばし躊躇った後、おずおずとレリクの語ったことを話した。ガルムはヒゲを撫でつけながら、時折「ふーん」とか「ほう」と相づちを打つ。
ハクが話し終えると、部屋の扉がいきなり開いた。

「そろそろ日が落ち」
「旦那! ノックぐらいしなさいなはしたない!! 女性の部屋ですよ!!」

カイトの言葉を遮り、ガルムが叫ぶ。ハクがあっけにとられている間に、カイトはつかつかと近づいてきて、ガルムの首の皮をつまんで持ち上げた。

「ちょっと旦那! 何するんですか!!」
「私とお前しかいないのに、何故ノックの必要がある?」
「お嬢さんがいるでしょうが!! もう忘れたんですか!? ボケたんですか!?」
「もう帰るんだろう?」

カイトの言葉に、ハクは驚いて顔を向ける。

「何言ってんですか!! 駄目ですよ!! お嬢さんにも立場ってもんがあるんですから!!」
「お前こそ何を言っている。暗くなるまで引き留めるつもりか?」
「ああもう! 後で説明してあげますから!! 今は駄目なんです!!」

ガルムは騒ぎながら身を捩り、カイトに向かって前足を振り回す。

「何時ならいいんだ?」
「それも後で説明してあげますから!! いいから下ろしてくださいよ!!」

カイトは手を回して、自分の肩にガルムを置いた。

「で?」
「長くなりますからね。とにかく、ほとぼりが冷めるまでお嬢さんを城に置いてくださいな。あたしが責任もってお世話しますから」
「此処にいたいのか?」

冷静な目を向けられ、ハクは身を縮めながら頷く。此処を追い出されたら、自分には行くところがない。

「そうか。それなら好きにしていい」
「ぎゃっ!」

カイトに手で払われ、ガルムは肩から転げ落ちた。

「ちょっと旦那!! 何すんですか!! 旦那!!」

出ていくカイトを追って、ガルムが大騒ぎしながらついていく。ハクはぽかーんとして、二人を見送った。