Wizard//Magica Wish −8−
「彼には、私ではなく…ぐすっ…本当は、美樹さんを欲していたのです。けど、私はそんな現実を受け止められず、日々、自分を偽って上条くんの彼女という立場を保っていたのです。けど、もう、…私自身も、そんなの嫌です…うぅっ…そんな中途半端な気持ちを抱きながら、上条くんと…お付き合いなんか!!…う、うあぁぁぁぁ!!」
「もう良い、もう良いよ…仁美ちゃん」
俺は仁美ちゃんを抱き寄せ、何度も頭を撫でてあげた。
仁美ちゃんは俺の胸のなかで涙や鼻水を垂らしながら、自分の上品な部分を切り捨てて、ただ、声を上げて泣いていた。
きっと、今まで辛かったのだろう。
全て知っていた上で、自分を偽りながら恭介と付き合っていた。
そんな自分を許すことはできず、さやかちゃんに悪いと思いながら、今日までずっと…。
これは、俺が蒔いた種でもあり、それと同時に彼女達に希望を導かせてあげなくてはいけない。俺がやるべき事は全て頭の中に浮かんでいた。
彼女達の、本当の思いを…。
作品名:Wizard//Magica Wish −8− 作家名:a-o-w