Wizard//Magica Wish −9−
「…っ…この感じ…魔女?」
山道を降りている途中、私のソウルジェムが微かに反応した。しかもここから距離はそこまで離れていない。この感じ…並大抵の魔女じゃない、もしかしてメデューサが現れたのか!?
「こっち…さっきの教会!?ど、どうしよ…」
どうすれば良い?
このまま気づかない振りをして病院へ行くか…
でも…そんなことしたら皆が!!
「はぁっ…はぁっ!!」
今のメデューサは遥かに強い、いくらハルトでも、杏子がいても太刀打ちするのが精一杯だ。しかもあそこには仁美がいる!!
「はぁっ…はぁっ!!…はぁっ!!!!」
怖い…ここで病院に行かなきゃ…いけないのに…
でも…でも…でもっ!!
「何かを犠牲にするのは…もう嫌だっ!!!」
私は携帯を取り出し、アドレスを開く。
慣れた手つきで検索…すかさず恭介の番号を打つ。
呼び出し音が何度か響いた…。
−もしもし…さやか?−
「きょ、恭介!?」
−どうしたんだい?さやか、息を切らしているみたいだけど、何かあったの?−
「恭介…あのね…。あたし、恭介に伝えたいことがあるんだ」
−えっ…−
「けどっ…けどね!!今はまだそっちにいけない!!だから…そのっ…」
−…さやか−
「きょ、恭介?」
−僕は、ずっとさやかを待つよ−
「えっ…」
−さやかの用事が終わるまで、僕はずっとここで待つ。だから先に行っておいでよ。僕はもう、どこにも行かないし、逃げないから−
「うん…ありがとう、ありがとう!!絶対に恭介に会いにいくから、ちょっとだけ待ってて!!」
−うん、待ってるよ。ずっと−
携帯を閉じ、降りてきた道を再び走り始める。疲労が溜まる、喉が痛くなる。けど止まることなく教会を目指す。坂道が私の体力を無残にも食い尽くす。そして、ようやく目の前に教会が見えてきた!!
「はぁっはぁっはぁっ!!」
ドアを開けて、ソウルジェムを同時に取り出した。
けど…その時私の目に入ってきたのは…。
作品名:Wizard//Magica Wish −9− 作家名:a-o-w