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Wizard//Magica Wish −9−

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「ここは…」

どこかのコンサートホールなのだろうか。
俺は今、ホールのステージ上にいる。
そのすぐ傍に、幼い子供が二人立っていた。


−きょ~すけ!さっきの演奏すごかったよ!!−
−あ、ありがとう。さやかちゃん!−


「あれは…幼い頃の恭介とさやかちゃん?」

恭介の手にはバイオリンが、そして さやかちゃんは恭介に花束を渡そうとしていた。どうやら演奏後らしい。
だがその時、どこかの空間が割れたような音がして、周囲の光景が一変した。周りの空間の時間が止まったように静止し、客席が無残に飛び散った。そこにいたのは、さやかちゃんの中に潜む一匹の魔女だった。

−Oktavia Von Seckendorff−

その姿は、西洋の鎧・マント・剣とまるで魔法少女の時の さやかちゃんの姿がそのまま魔女になったような外見だ。下半身はまるで人魚のようだ。襟がハートの形で胸にはピンクのリボンがあしらわれている。

「でかいな…っ!!」
魔女の両手に剣が現れ、俺の姿を見た瞬間に切り刻んできた。俺は避けるが、舞台が無残に斬りつけられてしまった。どうやら受け止めることは無理のようだ。

ここでは戦い憎いため、俺は一体外に出る。魔女はコンサートホールの壁を破壊しながら俺を追いかけてきた。
「なんでもありだな…でも!」
ウィザーソードガンのガンモードを何発か放つ。多少よろけるがあまり意味はないようだ。自分の数倍の大きさがある剣を闇雲に振り回し、電柱やら車やら色々な物を切り刻んできた。

『ウオォォォォォン…』
「泣いて…いる?うぉっ!!」

ふと、自分の真横から円型の物体が飛んできた。気がつけば周りに大量生成されており、どうやらあの魔女が出現させているみたいだ。

「車輪を使って攻撃ね!」

無数に飛んでくる車輪を何度も打ち落とす。だが無数に出現させることができるため全くキリがない。
「『フレイム』プリーズ!『ヒーヒー!ヒーヒーヒー!!』」
「直接、本体をやるしかないみたいだな」
俺は車輪を切り刻みながら魔女へと突っ込む。しかし魔女も黙ってはいない。両手の剣を何度も振り下ろして反撃してくる。さっきも体感したとおり、当たればそこでおしまいだ。流石にこれを受け止められる自身は無い。

『ウオォォォォォォォン…』
「あんまり暴れるなって!くそっ…」

魔女が暴れると同時に周りの空間が崩壊する。それは、ソウルジェムからグリーフシードを生まれると同時にこの空間から魔女が飛び出すという意味でもあるのだ。そう、この空間こそ、ソウルジェムの中なのだ。魔女は普通、穢れが溜まると力を付け、雛鳥が殻を自分の力で破るように、魔女もこの空間を破壊して外へと飛び出すのだ。俺はこのエンゲージウィザードリングを使用することによってソウルジェムの中へと侵入することができる。
なので、いくらソウルジェムの中に入っても魔女を制限時間内に浄化させることができなかったらそこでゲームオーバーだ。

『ウオォォォォォォォン!!』

「いい加減っ泣きやめよ!!」
「『ビッグ』プリーズ!」

俺は左手にウィザーソードガンを持ち、持ったまま左手を巨大化させた。そのまま勢いを殺すことなく魔女へと斬りつける!!
『ウオォォォォォォッ!!!!』
「うっぐぅぅ…はあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そのまま止めるこなく何度も斬りつけた!巨大化した腕に無数の車輪が切り刻み、激しい痛みが押し寄せてくるが、俺は勢い任せでさらに切り刻んだ!!

「い、今だっ!!」
右手に「リボーン」の指輪をはめ込み、魔女に向かって大きくジャンプする!魔女はダメージが大きかった為か、沈黙していた。
「『リボーン』プリーズ!」

『ウォォォォォォォォっ!!!!』

「うっ…フィナーレだ!!」

魔女が光を浴びて浄化していく…。

それと同時に周りの空間が白く変化し、完全に魔女が浄化された後、二つの指輪がそこに漂っていた。俺はそれを掴む。今度は綺麗な青に光輝く二つの指輪だ。


「…やっちゃったな…」



−あんた…いや、ハルトには色々迷惑かけたよ、ごめん−

「っ!さやかちゃん?」

何も無い空間に さやかちゃんの声が響き渡った。俺は二つの指輪を懐にしまい、薄れゆく意識のまま話しかけた。
「勝手な事してごめん、でも、さやかちゃんを救うにはこうすることしか…」


−いいんだよ…あたしは、散々馬鹿なことやってきたんだから、これはその報いなのかもしれない−


「けどっ!」

−大丈夫!ハルトも口が酸っぱくなるくらいいつもいってるじゃない!絶望の先には、絶対希望があるって!−



「あっ…そうだったね。忘れてたよ」



−ははっ!…あ、そうだ…あの時、ハルトも初めてだったんだよね?−




「えっと…あぁ、キスの事?」



−まぁ…そう。そのっ…あのことは謝るよ−



「大丈夫、この事は誰にも言わないつもりだから」




−そっか…なら良いんだ…ねぇ、ハルト−


「なに?さやかちゃん」



−ねぇハルト、私はこれからどうなっちゃうのかな?−

夢を見ることになる。さやかちゃんがかつて臨んだ夢。長い眠りになるかもしれないし、あっというまに目が覚めることだってある。

−そっか、たまには夢を見るのも、悪くはないかもね−

俺は、さやかちゃん達の絶望を吸い取って、希望を見せてあげることしかできない。だから、せめて夢の中だけでも幸せでいてほしい。

−ありがとう、ハルト。ねぇハルト!一つお願いしたいことあったんだけど、良いかな?−

もちろん、俺が出来る範囲でならね。

−あのさ…現実の世界に戻ったら…恭介に伝えてほしいことがあるの−

何?教えてよ。


−その…私は絶対に目覚めるから…それまで…えっと…待っていてほしい、私からも、恭介に話したいことがあるって…−

…うん。わかった、伝えておくよ。

−ちょっとだけ、お別れに……なっちゃうけど、恭介の事頼んだわよ…ハルト−

いや、その必要はないよ。恭介はさやかちゃんが思っている程、もう弱くないよ。



−そっか!…うん…じゃあ、私…眠るから…ね…−



うん、今はお休み。さやかちゃん。






−……あり…がとう…ハル……ト…−




作品名:Wizard//Magica Wish −9− 作家名:a-o-w