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Wizard//Magica Wish −9−

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「行っちゃったね、さやかちゃん」
「そうだね…仁美ちゃん?」

「…っ……っ…」

泣いているのか?
ずっと下を見て、誰にも自分の顔を見られないように手で隠している。
「仁美ちゃん…」
「…うっ…操真…さん…」
俺は仁美ちゃんの肩を軽く叩いてあげた。
きっと、死ぬほど辛く、悔しかったのだろう。

俺には、感じた事のない感情。
だからどうしてやれば良いのか、わからない。
「仁美ちゃん…ぐすっ…頑張ったね…」
「まどかさん…うっ…うあぁぁぁぁぁぁぁん!!」
まどかちゃんが優しく仁美ちゃんを抱いてあげた。
その瞬間に仁美ちゃんは大泣きし、教会内に鳴き声が響き渡った。

「ハルト…」
「杏子ちゃん?」

「人を愛するってさ…難しいことなんだな」

「…っ……うん、そうだね」


俺たちはまた一歩、成長する。
俺はずっと偉そうに誰かに何かを伝えてきた。
けど、それだけじゃない。
マミちゃん、さやかちゃん。たった少しの時間で沢山の事を教えられてきた。

ずっと一人ぼっちだった彼女に出来た、周りの友達の存在の大きさ。

本心が言えずにずっと苦悩して得られた、本当の愛の形。

時に人を絶望させ、希望を与えるこの世界の理は、こうして上手く出来上がっているのだろう。




−ふふっ…ここにも、絶望しかけている人間が一人…−




「っ!!この感じ…操真ハルト!!」
「わかってる…」

ふと、嫌な魔力を感じ取り俺の背筋が凍りついた。
ほむらちゃんはいち早くそれに気付き周りを警戒し始める。
どこだ…どこにいる!!


「居るのはわかっている!!姿を表せ、メデューサ!!」

その時、教会のステンドグラスが大きな音を立てて割れ落ち、その破片が俺たちに降り注がれた。俺は仁美ちゃんと まどかちゃんを庇うように着慣れたロングコートで身を守る。
それと同時に教会内に何かが着地した音が響き渡った。ガラス片を踏み特徴敵な音をたててこちらに歩み寄ってくる。

ロングコートを彼女達からどかし、教壇側へと身体を振り向けた。


「また会ったわね、魔法少女達に…指輪の魔法使い!」

「…っ…メデューサ」
「はぁ!?なんでだ!あの時ハルトが倒した筈だっ!!」

そういえば、ほむらちゃんと杏子ちゃんにはまだ伝えていなかった…そうだ、奴は復活したんだ。フェニックス、いやメデューサは何度倒しても復活してしまうんだ!!
だが、今だってそう言っていられない。
また復活したのなら、再び倒すだけだ!!

「『ドライバーオン』プリーズ!」
「また懲りずに姿を現したな、メデューサ」

「何?なんですの!?一体何が起きているのですか!?」
「仁美ちゃん、落ち着いて!」

「しまった…今、絶望しかけている志筑仁美 は奴にとっては最高の標的よ」
「なんだと!?まどか!そいつの事頼む!!」

「任せて、杏子ちゃん!」
「ま、まどかさん?」


「無駄よ、今の私は前も言ったとおり、昔の私より遥かに強くなっているわ」

「だとしても、俺たちはお前を倒さなくちゃいけない!…変身!」
「『フレイム』プリーズ!『ヒーヒー!ヒーヒーヒー!!』」

俺はウィザードに変身した…あ、しまった。
案の定、今の状況が理解しきれていない仁美ちゃんの前で変身してしまった為、身を見開いて声を出さずに驚いていた。そんなことはともかく、ウィザーソードガンを取り出し、俺はメデューサにそれを向けた。

「さぁ、ショータイムだ!」
「かかってきなさい!指輪の魔法使い!」

戦闘が始まる、慣れた手つきで剣を振り下ろすがそれを拒むかのようにメデューサも剣を取り出しそれを受け止める。俺は動きを止めずに次は下から斬り上げ、続いて右から左へ流すように回転斬り、だがどれも奴の剣で止められてしまった。

「あたしを忘れるなよっ!」
「っ…忘れるわけないじゃない!」

すると、上から杏子ちゃんがメデューサ目掛けて大きな槍を振り下ろして突っ込んできた。メデューサはそれを簡単に避けて距離を取る。
「なんですの…操真さんは、あの方は一体…」

「ここから一歩も動かないで、志筑仁美」
「暁美さ…っ!なんですの!?その格好!」

「えへへ…一気にバレちゃったね、ほむらちゃん」
「仕方ないわ、状況が状況だもの」

「ま、まどかさん!?」
「ふふっ!クラスのみんなには、内緒だよっ!」

ほむらちゃん と まどかちゃんは仁美ちゃんを守るように前に立ち、そこから俺たちに当たらないように援護する形でメデューサに攻撃する。
「くっ…邪魔よ!」

「っ!!」
「ぬおっ!!またこの攻撃か!!」

俺と杏子ちゃんに頭から生えた無数の蛇が解き放たれた!何度も切り落とすが無数に生えて俺たちを噛み殺そうと突っ込んでくる。正直キリがない…。
「『コピー』プリーズ!」
「あぁもう!これで!!」
複製魔法でウィザーソードガンをもう一つ作り両手で回転斬りをしながらメデューサへと近づいていく!そこで距離が詰まったところで俺は必殺の魔法を発動させた!

「キャモナスラッシュシェイクハンズ!『フレイム』スラッシュストライク!」
「これでっ!」

「ぐっ…や、やるわね」

直撃…とはいかなかったが、奴に攻撃を当てることができた。メデューサは体勢を崩し大きなジャンプをして今度は入口側へと着地する。すかさず俺と杏子ちゃんは奴に向かって走り始める…だが、メデューサは右手に剣を持ったまま、今度は左手から何かを取り出した。

「そろそろ…本気でいかせてもらおうかしら」

「っ!!ハルトっ!」
「…っ!…うっ…ぐ」

左手から伸びた何かが俺の右肩に直撃し、その場で膝を着いてしまった。肩を抑えメデューサの左手に持ったものを見た。それは、杏子ちゃんが待つ数倍は大きな槍だった。伸縮自在のタイプなのか、遠くからでも攻撃出来るらしい。

「くそっ…油断した」
「ハルト!大丈夫か!?」
肩から血が流れる。利き手をやられた。これじゃあ思い通りに剣を握る事ができない。ウィザーソードガンをガンモードに変形させ何発かメデューサに放った。だが全て剣と槍で撃ち落とされ意味が無かった。

「どうしたの?指輪の魔法使い。まさかこれで終わりなんてことないわよね?」

「まさか…。杏子ちゃん、俺に時間頂戴」
「…あれか?わかった、10秒だけあたしの命をお前に託す!!」

杏子ちゃんは槍を構えて一気にメデューサに詰め寄った!しかし杏子ちゃんも以前より強くなったメデューサに対抗するのが精一杯だった。杏子ちゃんが槍で切り払っても剣で受け止められ、左手の槍で杏子ちゃんの体に付き刺そうとする。俺はこの隙を見逃さず、左腰のホルダーから黄色の指輪を左手の中指に装着し、ベルトにかざして魔法を発動させた。
「『ランド』プリーズ!『ドッドッド、ド・ド・ドン!ドッドッドッドン!!』」
「杏子ちゃん避けて!」
「チョーイイネ!『ティロフィナーレ』サイコー!!」
掛け声と共に巨大化したウィザーソードガンをメデューサに向けてティロフィナーレを放った!

「これでどうだっ!」
「…ふふっ」
「な…?」
作品名:Wizard//Magica Wish −9− 作家名:a-o-w