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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 6

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 アルタミラ洞窟でバビに会った時、バビはそんな事を言っている。ロビンは忘れていた。
「あ、そういえば」
「でもどうしましょう。まだリョウカが起きてませんよ?」「寝てるとはいっても、もうこれ以上ここに留まってるわけにはいかないぞ」
 今更だが、ロビン達には灯台の復活の阻止という指名がある。トレビより南、ゴンドワナ大陸の東に地の灯台、ヴィーナス灯台がある。ガルシア達はもうすぐ着いてしまうかもしれない。長く居すぎてしまった。
「仕方ない、起こすか」
「おいおい、リョウカだって怪我して寝てんだぜ?」
「もう傷は塞がってるんだろ?だったらもう大丈夫、それにうかうかしてたら灯台も守れなくなる。ちゃんとした大義名分があるんだ、リョウカも怒らないさ」
「けど起こすにしてもどうやるんだ?」
「任せてくれ、オレにいい考えがある…」
 ロビンは不敵な笑みを浮かべた。その表情は何か悪いことを企んだ子供と同じだった。
 そろり、そろりとロビンはリョウカに歩み寄り、リョウカの顔のそばまで自身の顔を近づけ、大声で火事だと嘘を言って驚かそうと息を吸い込んだ。
「お…!」
「うん…?」
 ロビンが第一声を上げようとした瞬間にリョウカは目を覚ました。
 つり上がり気味な目とロビンの目が合った。
 二、三瞬きをした後、リョウカはぎょっとした。
 リョウカは体制に驚いていた。ロビンがリョウカの寝ているベッドの上に片手を付き、顔を近づけている。
 ロビンからするとその気はないが、意図を知らないリョウカにとってそれ以外考えられない。
 しばらくの沈黙が流れた後、ロビンは言った。
「や、やあ、リョウカ。起きたんだ…」
 驚かすつもりが驚かされてしまった。ロビンは当惑のあまり真顔で言ってしまった。
 リョウカは完全に誤解した様子で、顔を紅潮させてロビンに拳を入れた。
「いっ!」
 ロビンは鼻血を飛ばしながら床に伏した。
「貴様、次同じような事があったらどうなるか忘れたか!?」
 リョウカは声がうらがえるほど大声を出した。
「ロビン、いい考えがあるって、まさかそんな…、キスで起こす的な…」
 ジェラルドは言った。絶望したような顔である。
「違う違う!ただ驚かそうとしただけだ!」
 ロビンは鼻を押さえながら弁解した。
「見損ないましたよ。ロビン…」
 イワンは哀れむ目である。
「不潔ですわ」
 メアリィは最高の侮蔑を込めて言った。
「だから…!」
「この前の事もあるし、やっぱりお前ら…」
「この前も何かあったんですか?」
 イワンは訊ねた。
「いや、実はな…」
 ジェラルドは話そうとした。
「わ〜!わ〜!」
 これにはロビンだけでなくリョウカも大声を出して誤魔化した。
 ふと、リョウカははっとしてロビンを見た。
「何だよ、本当に違うって、まだ疑ってるのか?」
 リョウカが見たのはロビンの目である。これまで通り青色をしている。 言動も普段のロビンのもので、決勝戦の時のような殺気もない。
「お前、ロビンか?」
 リョウカは警戒の眼差しを向け、唐突に訊ねた。
「ええ?決まってるじゃないか、オレはロビンだよ」
 確信した。今のロビンはリョウカに勝つことは愚か人を殺すことなんてまずしないだろう。
「そのようだな、すまない…」
「…もう一人のオレの事を言ってるんだろ?」
 ロビンはリョウカの質問の意図に気が付いた。リョウカを真顔で見つめる。
「オレも夢の中で奴に会った、けどもう大丈夫。オレは奴には負けない」
「そうか…」
 リョウカは言った。
「私は怖かった。生まれて初めてだった、死の恐怖を感じたのは…」
 リョウカは布団の縁を固く握った。
「悔しいが、私ではあのロビンには勝てない。だから、ロビン、お前があれを認識しているなら、どうか負けないでくれ」
 もう二度とあの瞳を見たくなかった。死の恐怖を味わいたくなかった。
「大丈夫だ、さっきも言ったろう?オレは絶対に負けない」
 ロビンは笑って言うのだった。
「…そうだな」
 リョウカは言うとベッドから出た。
 もう起きていいのかとロビンが訊ねるとリョウカは大丈夫とだけ答えた。
「それじゃあリョウカも起きたし、バビの所へ行かないか?」
「それには及ばぬ」
 ジェラルドが言うと、部屋の入り口にバビとその執事が立っていた。
「何やら騒がしいので来てみたのだが、どうやら二人とも目覚めたようだな」
 先ほどの騒ぎはバビにも聞こえていたらしい。
 ロビンは少し恥ずかしくなった。
「それではすまぬが謁見の間へ同行してもらえぬか?ヨデム、お主は先に行きあれを」
 ヨデムと呼ばれた執事は畏まりました、と答えると先に謁見の間へ向かって行った。
「ではお主らワシについて来てくれぬか」 言うとバビは歩き出した。その後ろをロビン達が追いかける。
 コロッセオが始まる前に呼び出されたのは応接室だったが、今回は謁見の間へ同行を頼まれた。
 よほど大切な話なのだろうか、いや、それだけならば応接室でも十分である。バビの言っていた『あれ』というのも気になる。それは何か人に見られてはまずい物なのだろうか。
 ロビンは考えている間にも結構歩いたが、まだ謁見の間にたどり着かない。改めて宮殿を歩いて思ったが、かなり広いのだと改めて認識した。
「着いたぞ、ここが謁見の間じゃ」
 バビは扉を開けて、部屋へ入っていく、ロビン達も後へ続く。
 赤絨毯の敷かれた玉座までの道をバビはゆっくり歩いていき、そして座った。
 謁見の間には既にヨデムが玉座の側に控えていた。手には布にくるまれたものが握られている。
 しばらく沈黙が流れた後、バビは話し始めた。
「まずはロビン、コロッセオ優勝おめでとう。リョウカも素晴らしい戦いぶりだった」
「ありがとうございます」
「お誉めいただき、誠に光栄です」
 それぞれバビの賞賛に応じた。
「エナジーでの戦いは誠に見事なものであった。ジェラルド達の援護もワシがわざと置いておいた物を使って、よく工夫されていた」
 ジェラルドは得意そうに胸を張った。
「へへん、どうだ!」
「こら、ジェラルド、バビ様に向かって失礼な」
 ヨデムは注意した。
「しかし、あのように不自然な仕掛け、バビ様はどうなさるおつもりかと思っていたのだが。そのような不正を助長するような物だったとは」
「確かに本来ならば不正となろう。しかしエナジーは戦士の力、決して不正を働く為の力ではない…」
 バビは一つ咳払いをした。
「では本題に入ろうか。お主らを呼んだのはほかでもない、レムリアのことじゃ…」
 レムリア、アルタミラ洞窟でもバビが言っていた事である。
 バビはレムリアについて改めて説明した。
 レムリアとはウェイアードの大イースト海のどこかにあるという非常に文明の進んだ島である。そこでは不思議な事に時がゆっくり進んでいくという。故にレムリアの人々は非常に長生きをする。百年や二百年は当たり前、千年以上の時を経てレムリア人はようやく老いを迎え、そして死をむかえる。一応、レムリアにも死はある。
 その昔、バビは航海の途中、嵐に遭い、難破した。周りは全て霧の海を漂流しているうちに、気付けばバビはレムリアの地に漂着していた。