二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 6

INDEX|3ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 

 会場は歓声に湧いた。
「ロビンのやつ、無事ゴールできたみたいだな」
 ジェラルド達は試合場の一番前の席まで移動してきた。
「ロビン!負けんなよ!」
「ロビン、頑張ってください!」
 ロビンは仲間のいる観客席を見て、声援に応えた。
「おう、頑張るぜ!」
 それから少しの時間が経ってからアザートが到着した。
「くそ、足には自信があったのに…」
 アザートは悔やんだ。
「それでは、先に辿り着いたロビン。武器をお選びください」
 ロビンは迷わずに手に馴染みのある型の長剣を選んだ。
「これにします」
「では次に、アザート」
 アザートは残った普通の剣を選んだ。
「ロビンと言ったな、競走では負けたが試合には負けぬぞ!」
「ああ、仲間の為に、オレだって負けられない」
 両者構えた。
「一回戦第四試合、試合開始!」
 一回戦最後の試合がついに始まった。
 最初にロビンが仕掛けた。上に下に突きと流れるような連続攻撃を繰り出した。
 アザートは何とか防ごうとしたが防ぎきれず、所々掠り傷を作り、甲冑にも傷を付けた。
「この程度か?」
「見くびるな!」
 今度はアザートの攻撃をロビンが受ける番である。
 アザートの攻撃は形こそ良かったが、力不足な感じがした。
 アザートが剣を振るうと同時にロビンは合わせて剣を振り上げてアザートの攻撃を弾き返した。
 攻撃を弾かれがら空きになった胴体にロビンは蹴りを入れた。アザートは吹き飛ばされて土煙を上げ、地面を転げ回った。
 伸縮性に乏しい甲冑のせいでなかなか起き上がれずにいた。ロビンはその瞬間を見逃さなかった。
「やあああ!」
 アザートはとっさに腕で剣を防ごうとした。
 とても固い甲冑だというのに、剣を受けたことでひしゃげた。同時に衝撃でアザートの手は痺れた。
「ぐう!」
 アザートは痺れていない方の手で剣を拾うと、何とか立ち上がり、片手で剣を振るってロビンに向かった。
「とう、この!」
 アザートの剣はロビンに簡単にかわされている。勝負はほぼ決まっていた。
 アザートは剣を突き出した。ロビンはさっきの要領で剣を弾き返した。今度は片手だったので、アザートの剣は彼の後ろへ弾き飛ばされた。
 ロビンはアザートの喉元に剣を突き出した。そのまま押し込まれてアザートは尻餅をついた。
 ロビンは甲冑のつなぎ目から覗いたアザート喉に切っ先を突き付けた。よく斬れる剣はほんの少し皮膚に触れただけで出血させた。
「オレの勝ちだな」
「ま、参った…」
「勝負あり、勝者、第八戦士ロビン!」 試合はロビンの圧勝に終わった。
「お?し、やったなロビン!」
 観客席からジェラルドが叫んだ。大歓声の中でもよく通る声である。
「ああ、みんなのおかげだ。ありがとう!」
 ロビンも叫び返した。
 この試合を持って一回戦は全て終わった。
 勝ち上がったのは第七戦士リョウカ、第四戦士シオン、第二戦士ウラヌス、そして第八戦士ロビンである。
 間もなくリョウカ対シオンの試合が始まろうとしていた。    ※※※
 何度も突き出す壁の障害物が目の前にある。
 壁は一定のリズムで出入りを繰り返している。
 リョウカは駆け出した。
 タイミングを見計らうのではなく、自らを壁の動きに合わせている。突き出てくれば、飛び上がり、引っ込めばすぐに駆け抜ける。全ての動きに無駄がなかった。
 この障害物を越えると、会場は歓声に包まれた。リョウカが障害物を越える度に歓声があがる。それほどまでに彼女の動きは素晴らしく美しいのである。
「一着、第七戦士リョウカ!」
 程なくしてシオンも到着した。
「思ったよりも早かったな」
 リョウカは言った。
「ち、絶対に勝つと思ってたのにな…」
 シオンは悔しそうだったが、すぐに気持ちを切り替えた。
「リョウカ、試合では知り合いだと思わずに全力で来い!」
「今更何を言う、当然だ」
 リョウカは武器を選んだ。選んだのはやはり両刃の細身剣である。
 シオンも選んだ。彼もまた細身の剣を取った。
「さあ、始めようかシオン?」
 リョウカは独特の構えをとった。
「どこからでもかかってこい!」
 二人はじりじりと睨み合った。審判の合図が出されるのが少し遅く感じるほど集中していた。
「試合開始!」
 両者一斉に仕掛けた。刃のかち合う音と共に剣閃が走った。
 最初の攻撃にしてシオンは頬を掠められ、リョウカは髪の毛を数本切られた。
 シオンは頬をさすった。掌が赤く染められた。――速い、なんて速い剣だ。もう少し遅れていれば…――
 リョウカはシオンを見ている。
――私の一太刀目を頬を掠めるだけに止めるなんて――
 互いに見つめ合った。
――リョウカ――
――シオン――
 二人は駆け出した。
――これはかなり楽しめるかもな!――
 二人がぶつかり合う度に剣閃が煌めいている。 リョウカが横薙に剣を振ればシオンは飛び退いてかわし、その間隙に合わせて剣を突き出すも刃で防がれ、さらに追撃を加えられる。
 リョウカの納刀の瞬間を狙おうとシオンは攻めたが、一見隙だらけに見える納刀には、その実隙はなく、逆に弾き返されてしまった。
 剣を弾き返されることによって逆に隙をさらしたシオンにリョウカは剣の柄を鳩尾に突き出した。
「がは」
 シオンは鳩尾に衝撃を受けて、崩れ落ちた。
 リョウカは納刀した後シオンの首目掛けて剣を振った。
 リョウカの剣は首の手前で金属音と共に止められた。シオンは首とリョウカの剣の間に自分の剣を差し込んでいた。
「舐めるなよ」
「ふ、早く立て。肋骨は折れてないだろう?」
「ほざけ!」
 シオンは立ち上がりながら剣を振った。リョウカは飛び退いた。
 両者の間に距離ができた。一歩踏み込まないとお互いに剣が届かないほど間合いが広い。
「どうやら…」
 リョウカは構えなおした。
「本気を出しても大丈夫なようだな」
 シオンにはこの言葉は聞き捨てならなかった。今までのは本気ではなかったというのか。
「勘違いするな」
 リョウカは言った。
「本気というのは、技を使うと言うことだ!」 リョウカはまっすぐに駆け出した。凄まじく速い、無駄のない動きである。
 間合いはあっという間詰められた。
「くそ、くらえ!」
 シオンは剣を振るった。その剣は迷わずリョウカに当たったように思えた。実際には虚空を切り裂いただけである。
 シオンの目前のリョウカの姿がシオンの真横を通り抜け、背後に回った。
 シオンが斬ったのはリョウカの残像であった。リョウカは一瞬にして背後に回っていた。
「転、影、刃…!」
 転影刃、リョウカの使う剣術の技の一つである。
 一瞬にして間合いを詰め、相手の目の前で身を翻して相手の背後に回り、斬る。流れる動きで影の如く背後に転じることから転影刃の名が付いた。
 忍の者の暗殺剣を参考に創られた技である。それ故にこれは一撃で相手を倒すことを目的とした技である。
 しかし、リョウカが抜刀した瞬間、この技に例外が生まれることとなった。
「うおおお!」
 シオンは身を投げ出してリョウカの方に振り返り、剣で技を防いだ。
「何!?」
 シオンは勢いのまま後ろに背中から倒れたが、剣から身を守った。