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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 7

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「そうですね、これでは帰れませんわ」
 メアリィは言った。
「こうなったらオレ達も飛び降りるしか…」
「おい、バカな真似はよせ、ロビン!」
「冗談だよ、ジェラルド」
「しかし、どうする。このままずっと動けないままなのか?」
 ロビン達はどうする事もできず、途方に暮れていた。彼らには空を飛ぶ事は愚か、アレクスのように空間移動のエナジーもない。
 困り果てていたその時だった。
「おい、なんだあれは?」
 ジェラルドが灯台の下の方を指差して言った。
 何か円形の物がこちらに向かって飛んでいる。それは近付くごとに正体が明らかとなった。
「あれは!?」
 灯台の内部からこの頂上まで送り届けてくれた台であった。来たとき同様に光の粉を撒き散らしながらこちらへ近付いてくる。
 やがて台はロビン達の前に来て停止した。彼らが乗るのを待っているかのように。
「ずいぶんと親切な事だな…」
「…一体どうなってんだこの灯台は?」
「それはボクらにはとても分からない事ですよ」
「まあでも、これで灯台を下りられるってわけだ」
 ジェラルドは台に乗った。
「ほらみんな、何してんだ早く行こうぜ!」
「あ、ああ、今行くよ」
 ロビン、イワン、メアリィと順に台に乗った。 ふと、ロビンはリョウカが乗っていない事に気が付いた。どこにいるのか見回すと、リョウカは灯台の真ん中にいた。
 シンの落ちていった辺りの海を見ていた。そしてすっと、目を閉じると髪を風になびかせて空を見上げた。シンの短剣を両手で持って。
 ロビンはしばらくそっとしておこうと思ったが、ジェラルドが無神経にもリョウカを呼んだ。
「すまない、今行く」
 リョウカが歩み寄ってくる間にロビンはジェラルドを小突いた。
 何すんだよ、とジェラルドは言ったがロビンはただ一言告げた。
「察してやれよ」
 あ、そうか、とジェラルドは途端にすまなそうに肩をすくめた。
 リョウカが台に乗り込むと来た時同様ロビンは念じた。ロビンのエナジーに台が反応するとロビン達を元の場所へ帰すべく、台は光の粉を撒き散らし、飛び立った。
    ※※※
 ロビン達が灯台を出ようと出口へ差し掛かると、そこは陸地が崩れすぐ前が崖になり、その下は海となっていた。
 仕方なくロビン達は再び地下遺跡を通ってラリベロへ帰る事にした。仕掛けは来るときに解いていたおかげですんなりと帰る事ができた。
 ラリベロへ着くと、ロビン達は一日かけてジャスミン達を探した。ラリベロ近辺、スハーラ砂漠、一応トレビにも戻って探してみた。しかし、それらのどこにもいなかった。
 スハーラ先の通行ゲートを回って行くことのできる出島が一番怪しかったのだが、灯台が灯った瞬間の大地震により、なんと島ごと無くなっていた。そこで、ジャスミン達は近辺にいるのではとラリベロ周辺を探していた。
 しかし、いなかった。となると無くなった出島で地震に巻き込まれ、海へ消えてしまったのか、それとも島ごと海に流されたのか。
 しかし、ジャスミン達は死んではいないような気がした。どうしてか、理由はない。ただ死んだと思いたくないだけなのかもしれない。それでも妙な確信が持てた。
 島ごと流されたとしたら、もうこの大陸にはいない。ロビン達はこれらの事と旅立つ旨をギョルギス宅にてギョルギスとヨデムの前で告げた。
「そうか、こちらもシバが見つかっていない。お互いに心配だな…」
 ギョルギスは言った。
「今回の事は全てトレビの責任です。シバ様がさらわれるような事があったから…」
 ギョルギスもヨデムもシバが灯台から落ちていった事を聞いている。しかし、ギョルギスはシバは死んでいないと言うのだった。
「シバはこれまでも何度となく死の危機に瀕してきた。しかし、そのたびに彼女は生き延びてきた」
「それは偶然ではないのですか?いくらシバ様でも灯台から落ちては…」 ヨデムは言った。
「それがあの子に限って偶然ではないのだ。きっとどこかで生きている、そんな気がする」
 ヨデムはふと気が付いた。
「そうか、もしシバ様がエナジストだったら、そんな奇跡も信じられる…」
 ギョルギスは訝しげに目を細めた。
「エナジスト?何ですかそれは」
 あ、いや、とヨデムはロビン達を指した。
「エナジストとは彼らのような能力者の事です」
 ギョルギスは納得したようだった。
「おお、確かにロビン殿達はすばらしい。決して開くことのない扉を開いて地下の古代遺跡からヴィーナス灯台へ行ったのですからな」
 しかし、とギョルギスは告げた。
「シバは違う。あの子は地下遺跡へ行くことはできませんでしたからな」
「それはシバ様の能力が彼らと違うからであって…」
 ギョルギスはこれまでは理解できていないようだった。
「そんな事、いくらギョルギスに言ったって、分かりっこねえだろ」
 ジェラルドは溜め息混じりに言った。
「んな事より、オレ達はそろそろ行くぜ」
 ジェラルドは面倒くさそうに言う。
「おっと失礼、ついお引き留めしてしまったようだ」
 イワンはジェラルドを注意すると、お詫びした。
「すみません、ギョルギスさん。決してそんなつもりで言ったわけでは…」
「いえいえ、いいのです。ジャスミン殿が心配なのでしょう、急いで探してあげるのがよろしい」
 すみません、イワンは謝るのだった。
「シバは我々が必ず探し出して見せます。ですから皆さん、どうかお気になさらず旅をなさってください」
「ありがとうございます。色々とお世話になりました」
 ロビンが礼を言うと、彼らはギョルギス宅を後にした。
 家を出て、当て所もなく歩いていると後ろからロビン達を呼ぶヨデムの声がした。
 ロビン達は立ち止まり、振り返った。
「ふう、忘れるところだったよ…」
 ヨデムは息を整えた。
「ヨデムさん、どうしたんですか?」
 ロビンは訊ねた。ヨデムは相当慌てていた、きっと何か重大な用があるのだろう。
「君達、灯台を下りる時に、北の方の海を見たそうだね?」
 確かに見ていた。ロビン達を運ぶ台の上から遥か遠い海を眺めた。すると確かに見えた。大イースト海の水平線に霧に閉ざされた何かが。
「きっと、いや必ずそうだ。そこがバビ様の探す『レムリア』に違いない」
「まあ、一瞬ちらっと見ただけだから何とも言えないけどな」
 ジェラルドは言った。それでもヨデムはそこがレムリアだと信じて止まなかった。
「そこで君達にはすぐにでもそこを目指してほしい」
 言うとヨデムは黒い何かを取り出し、ロビンに差し出した。それはブラックオーブという不思議な力の込められた宝石のような物だった。
「これは?」
「高度な文明を誇る、レムリアの船を動かす動力源だとバビ様から聞いている。約束通り君達に船を与えよう、必ずやレムリアへ行ってほしい」
 ロビンは困惑した。
「でも船はもう…」
 ロビン達はスハーラ砂漠を抜け、その先の通行ゲートを通っていった。その際、一度回り道をして出島へ向かった。そこには船があった。その時にヨデムはブラックオーブをその船の動力部に取り付けてみた。しかし、船は全く反応しなかった。
 しかも、今地震の影響で出島は島ごと無くなっている。最早もうそれらしい船は一隻もないはずだった。