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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 7

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 口ではこんな事を言っていたが、建て前である。本当のところ、馬鹿なサテュロス達ではこの事を最初に言っても信用していなかったであろう、それに、無理に連れて行けば、馬鹿な二人である。途中でバビ灯台周辺の戦士が彼らに絡んできたとしたら暴れられてバビ灯台に入るのが面倒な事になっていただろう。
 そんな事にならないようにアレクスは既にバビ灯台を見張るトレビの戦士達を倒してきている。
 そして今、ガルシアによって灯台への道も切り開かれている。全てアレクスの思惑通りに事は進んでいる。
「アレクス、貴様の話は本当なのだな?」
 サテュロスは確認した。
「ええ、本当ですとも。確かにこの目で見てきました」
「ならば長居は無用だ。さっさとバビ灯台へ行くぞ」
 サテュロスが歩き出すと、メナーディも後に続いた。
「良くこの仕掛けを解いてくれましたね、ガルシア」
 サテュロス達が行った後にアレクスは言う。
「あの馬鹿どもだけでは絶対にここは分からなかったでしょう」
 本人達はもういないので隠そうともせず馬鹿と呼んでいる。
「アレクス、一つ訊かせてくれ」
「何ですか、ガルシア?」
「どうしてお前は灯台にも入ってもいないのに、入り口は別だと分かったんだ?」
 アレクスは少し天井を仰いで考えた。何か答えに困ることがあるのだろうか。やがて微笑しつつ答えた。
「さっきも言ったでしょ。独断だと」
 アレクスはそれ以上は言わなかった。
「さあ、私達も早く行きましょう。グズグズしているとまたあの馬鹿どもに怒られますよ」
 アレクスは青緑色の髪を揺らし身を翻すと部屋を出て行った。
「俺達も行こう」
 ガルシアはアレクスの答えに納得がいかなかったが、今はそれ以上考えず、彼らを追って大広間を後にするのだった。
    ※※※
 バビ灯台の建設現場で数人のトレビの戦士だけでなく作業員まで倒れていた。
「これは一体どういう事なのだ!?」
 ヨデムは驚き、倒れている者達へ駆け寄った。
「おい、しっかりするのだ。一体何があった?」
 皆死んではいなかった。苦しそうに呻いているが、傷は浅く、皆息がある。
 トレビの戦士の一人が答えた。
「あ、青緑色の髪の男が…妙な技で我々を…」
 ロビン達はそんな男を知っている。特にメアリィは過剰に反応している。
「アレクスが…」
 ロビンは言った。
「ヨデム様、奴はその後仲間を連れ、地下遺跡へと向かっていきました…」
「地下遺跡だな、分かった。その体でよく伝えてくれた」
 ヨデムは戦士をそっと横たえた。
「みんな、地下遺跡へ急ごう!」
「待ってください。この人達の手当てをしていきましょう」
 ロビンは言うとメアリィ、リョウカと共に倒れている者達の前に立った。そしてそれぞれ念じた。
『キュア』
『プライ』
『キュアライト』
 戦士達を優しい光や水のベールが包み込むと、彼らの傷が塞がっていった。
「ん、あれ?何だ、体が楽だぞ?」
 作業員は起き上がった。
「本当だ、あんなに痛かったのが嘘みたいだ!」
 戦士、作業員と次々と起き上がり、立ち上がっていった。
 ヨデムは驚いていた。
「これは驚いた。エナジーとは傷も直す力があるのか」
 まともにエナジーを見るのはヨデムにとって初めてではないが、それでも傷付いた人間が一瞬にして治るのには驚くしかなかった。
「お前達、本当に体は平気なのか?」
 ヨデムは戦士達に訊ねた。
「この通り、ピンピンしてますよ!」
 作業員の一人が自分の腕叩きながら答えた。
「それにしてもあの男、不意打ちしやがって。全く許せねえな!」
「ああ、後ろからいきなりおかしな技使いやがって、とっちめてやろうぜ!」
「おう、とっちめてやろう、行くぞみんな!」
 作業員達はバビ灯台の地下遺跡へと駆けようとした。
「ま、待て、お前達では行けぬ!」
 作業員達は立ち止まり、一人が怪訝な顔で訊ねてきた。
「どういう事ですか、ヨデム様?」
「その、これから先はエナジスト、しか行けないそうだ」
 ヨデムはうまく説明できない。そもそもこれはロビン達が言っていた事である。
 ロビン達はスハーラ砂漠を抜け、山道の通行ゲートを通り、真っ直ぐにヴィーナス灯台へと向かった。
 そこでは今までに一度も開かなかったと言われる扉が開いており、中に進むも、途中で行き止まりとなってしまった。
 行き止まりとなった大広間には女神像が壁に彫られていた。ロビンが胸元に埋め込まれた宝石に手を伸ばした途端、前のガルシアのように心に声が響き渡った。
 真の扉は北にあり、と。それをロビンが仲間達に話すと、ヨデムがバビ灯台の地下遺跡の事を話した。
 ロビン達はそこが怪しいと思い、こうしてバビ灯台までやってきた。
 作業員達の口振りからすると彼らはアレクスにやられており、アレクスはどうやらガルシア達も連れて地下遺跡に向かっているようだ。
 これによりいよいよ地下遺跡が怪しくなってきた。
 もしもそこが本当にヴィーナス灯台の真の扉だと言うならば、恐らくエナジストにしか通れない。
 そうした旨をロビンはヨデムに伝えていた。
「エナジストだか何だか知らないが、このまま黙って引きさがれるかってんだ!」
 作業員はヨデムの説明に納得がいくはずがなかった。
「うむ…それでは、こうしよう。お前達はヴィーナス灯台に向かってくれ」
「何でですか?奴らが行ったのは地下遺跡ですぜ?」
「いや、このロビン達によると地下遺跡とヴィーナス灯台は繋がっているらしいのだ。だから、お前達を襲った者達がそこへ現れるやもしれん。そこでお前達にはその見張りをしていて欲しいのだ」
 見張りということなら納得したらしく、作業員達は承諾した。
「そういうことでしたか、だったら任せてください。奴らを絶対とっつかまえてやりますよ。行くぞみんな!」
「おお!」
 作業員達はすぐさまヴィーナス灯台目指して走っていった。下手な兵隊よりも団結力があるかもしれない。
「少々時間をくってしまった。我々も急ごう」
 ロビン達はヨデムに連れられ、バビ灯台へ入っていった。
 バビ灯台はまだ建設中であり、外見は酷く武骨な作りで、ヴィーナス灯台やマーキュリー灯台に比べるとよっぽど醜い見た目である。
 内部も酷く汚れており、埃臭かった。
 ロビン達は階段へ連れられた。地下へ続く階段である。
 降りると、物々しい石の扉があり、作業員達がその前で扉を開こうと模索していた。
 武骨な作業員達にまじって、一人高級貴族のような綺麗な格好の男がいた。
「ギョルギス殿」
 ヨデムは男の名を呼んだ。
 ギョルギスはラリベロの町の町長であり、シバの父親代わりでもあった。
 ギョルギスは振り向いた。
「ヨデム殿ではないか、このような場所まで何をしに参られた?」
「ギョルギス殿こそ何故ここに?」
「シバを連れた者達がこの扉の先に向かったと聞いたのでこうして参ったのだが…」
 ギョルギスは扉へと視線を向けた。
「その者達がここへ来たときあの扉が開いたようなのだが、今はこれまで同様に全く開かぬのだ」
 作業員達が力ずくで扉を開こうとしているが、まるで比丘ともしない。
「シバがこの先に向かったと言うのに、行けぬとは…」