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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 7

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 ヴィーナス灯台の周りを浮かぶ台が光の粉を散らしながら上へ上へと上っていく。
 台に乗ったロビン達は直に受ける風に髪を揺らしながら、ただ灯台の頂上付近を見つめている。
 頂上はだんだん近付いてくる。残り20メートル、10メートル。そしてついに辿り着いた。
 ロビン達が台を降りると台は役目を終えたように元の場所へ返っていった。
 灯台の火口付近にはサテュロスとメナーディが立っていた。
 その傍らには金髪の少女が不安そうに立っている。
 サテュロスの手には黄色に輝くヴィーナススターが握られている。
「よし、まだ灯されてない。急いで止めるぞ!」
 ジェラルドは大声で叫んで止めようとした。
「待て、ちょっと様子を見よう」
 ロビンは小声でジェラルドを制止した。
 サテュロス達は何やら話している。その声は聞き取ることが出来た。
「ついにヴィーナス灯台を灯す時が来たな、サテュロス」
 メナーディは言った。
「これを灯せば二つ目、残るは半分となる…」
 サテュロスは手中のヴィーナススターを見る。
 メナーディは不敵な笑みを浮かべ、言った。
「いいや、ジュピターさえ灯せばマーズは灯したも同然」
 メナーディには自信があった。何故ならば、火の灯台マーズは彼らの故郷、プロクスの北にあるからだ。ロビン達は後から知ることになるが。
 サテュロスはニヤリとした。
「そうよな、残るはジュピターのみと言っても過言ではない」
「そうだ…」
 サテュロス達の後方からこつ、という足音とともに声がした。
「お前達の望みは目前にある」
 サテュロス達は振り向いた。
 ロビンも見て驚いた。
「何故お前達がまだそこにいるのだ?ガルシア、シン」
「お前達には先に船に迎えと命じたはずだ」
 メナーディが言った。
「もうジャスミン達はアレクスと出島へ向かわせたさ」
 シンが答えた。
「アレクスが、どこに行ったのかと思えば。で、それでお前達はどうして戻って来た」
 ガルシアは言い放った。
「約束が違うからだ」
「約束だと?」
 メナーディは訝しんで目を細めたが、すぐに悟った。
「シバか」
 視線は金髪の少女に向けられた。
「お前達言ってたよな、シバは守るって」
 シンが言った。
「ああ、そうさ。この通り無事だろう?」
「何が無事だ、アレクスから聞いたぞ。オレ達を従わせるためにシバを人質にしたってな!」
 サテュロス達はばつの悪そうな顔をした。
「人聞きの悪い、私達はそんなつもりはないぞ?」
「ならば何故シバを解放しない?」
 ガルシアは訊ねた。するとサテュロスはニヤリとして答えた。
「シバは特別だからだ」
 ガルシアは不意に笑みを浮かべた。
「やはりな…」
 シンには意図が分からなかった。
「シバがエナジストだからだな?」
 ガルシアはサテュロスの考えていると思われる事を説明した。
 サテュロス達はこれまでの灯台であることを知った。灯台はそのエレメンタルに属したエナジストがいなければ入る事すらもできない。
 アレクスのエナジーでマーキュリー灯台が開き、ガルシアのエナジーでヴィーナス灯台が開いた。恐らくジュピターもマーズも同じ事であろう。しかし、マーズはサテュロス達が属したエレメンタルだが、ジュピターは今のところ仲間の内にいない。
「これから行くことになるジュピター灯台のため、シバが必要なのだろ?」
 シンもサテュロスも納得していた。
「どうやらそのようだな」
 サテュロスは笑みを浮かべる。彼の様子から、そこまで深く考えてはいなかったようだった。
「やはりそうだったか。そういう事ならば俺もシバは解放できない」
 サテュロスは目を丸くした。
「思ったよりも物分かりがいいようだな。分かったのなら早く行け」
「いいや、シバは置いていけない」
 ガルシアはシバの前に歩み寄り、彼女の手を握った。
「俺がシバを船まで連れて行く。これから灯台が灯ってどうなるのか分からないのだ、シバをここに置いていけるか」
「ふん、どうあっても連れて行くのか、たとえ戦いになっても?」
 ガルシアは腰の剣に手を伸ばした。
「シバを危険に晒すくらいなら、戦う」
 シンも二本の短刀を抜きはなった。
「ガルシア、オレも戦うぜ、こいつらのやり方には、オレももう我慢できねえ」
 サテュロスも剣を抜き、メナーディは空間から大鎌を出現させた。
「面白い、戦士の能力が劣る貴様が戦えるか、やってみるがいい!」
 最初にシンがメナーディに攻撃を仕掛けた。メナーディは大鎌の柄で短刀を防いだ。
「ふん、そんなデカい武器でオレと戦えるか?」
 刃越しにシンが言う。
「確かに、お前は厄介な相手だな」
 右手の刃を滑らせ、シンは左手の剣を突き出した。
 メナーディは大鎌の柄の先端を上に振り、シンの短刀を弾き返した。
 シンは体勢を崩したが、そのままバック転をして距離をとり体勢を整えた。
『バーストボム!』
 シンの足元で大きな爆発が起きた。しかし、シンはその爆風に乗り、宙返りしつつ跳び上がった。
 メナーディの頭上まで行くと、シンは刃の切っ先を下に向けて降下した。
 メナーディはとっさに後ろに下がった。シンの刃が床に突き刺さった。
 石造りの灯台を貫けるほどの剣である。メナーディは反応が遅れれば串刺しになっていた。
 息つく間もなくシンの攻撃は続いた。
『雷鳴の術!』
 シンがエナジーを発するとメナーディ目掛けて落雷した。
 メナーディはかわしきれず、落雷を受けた。
「ぐう!」
 メナーディは膝を付いた。その瞬間にシンはメナーディの首筋に短刀を突き付けた。
「武器を捨てな。そうすれば命は取らない」
「ふん、これで勝ったつもりかい?」
「調子に乗るな。お前の命はオレが握ってるんだ」
「ふん、どうだか…」
 突然、シンの隣にガルシアが吹き飛ばされた。
「がは…!」
 服は所々切れており、顔に傷を作っている。
 横向に倒れたガルシアの顔をサテュロスは踏みつけた。
「バカが、貴様のような戦闘経験のない者が、私にかなうはずがあるまい」
「ガルシア…!」
 メナーディはシンがよそ見をした瞬間、大鎌の柄の先端でシンの腹部を突いた。
「うぐ!」
 シンの刃が外れた。その瞬間メナーディは立ち上がり、サテュロスの元へ駆けた。
「忘れたか?お前はガルシアというお荷物を抱えて戦っていることを」
 メナーディは言った。
「ガルシア、お前は前から反抗的だったからこれまで戦わせなかったのだ」
 しかし、サテュロスは思っていた。先ほど一戦を交えた時、初めて戦うにしては剣の型が出来ていたと。
 もしやどこかで戦った事があるのかとも思ったが、そうだとしても大人と子供の勝負だった。特に気にしない事にした。
「ちきしょう、てめぇら…」
 シンはサテュロス達を睨んだ。
「ふん、ガルシア、ヴィーナス灯台を灯すのみとなった今、貴様はもう用済みだ。ここで死ぬがいい。安心しろ、貴様の親は灯台を全て灯した後丁重に送り届けてやる。貴様の墓場にな!」
 サテュロスが言い、メナーディを見やると、メナーディは大鎌をガルシアの首に掛け、首を切り落とそうとした。
「や、止めろ!」
「死ねえ!」