<メモ>BLACK AVATAR
そういって、シュウはある一枚の紙を剣城に渡した。
その紙の内容は……
「お前、これ……」
くすっ。シュウが無邪気な笑顔を見せた。
「そう、天馬と…神童くんだっけ? 二人のナンバーキーだよ。あと残りのメンバー…。収容施設の鍵の開け方ぐらいしってるんだよね? 何なら用意する?」
「何のつもりだ」
「何のつもり? 別に僕の勝手だけど……さっき言ったでしょ。弱い奴はここには必要ないって。その前にさ、本当に、ゴッドエデンから出られると思ってるの?」
シュウの一言に、閉口する剣城。
「無理ならなんでやろうとするのさ。おとなしく従えばいいのに」
自然と視線が下がる。
確かにここにいたときは、えげつないこともやらされた。サッカーという一言についても、それを使った暴力は限度を超えていた。
だが、以前にやっていたことと違う。胸がうずく。
「お前には関係ない……」
「そっか。できないだろうけれど、がんばってね」
ふんっ。剣城は鼻であしらって、シュウに対して踵を返した。
そこに、白竜がいた。
自然と目が合った。
しかし、その次の瞬間、白竜は横に目をそらしたのだ。
そして、二人は別な場所へ散って行った……。
「かつてのライバルとは話しないの?」
「弱くなった奴に興味はない」
シュウの問いに白竜が答える。
「そう」
「それにしても、雷門イレブン……。予想していた以上に小さい奴らだな」
「イラついてるね」
やはり、白竜は剣城を気にしていた。と同時に、彼との差を感じて落胆した。
何よりも、勝負にこだわらなくなった……。少し離れているだけでこれだけ違くなるとは彼も予想だにしていない。
落ちぶれたな。白竜は心の中でつぶやいた。
作品名:<メモ>BLACK AVATAR 作家名:るる