<メモ>BLACK AVATAR
聖帝と皇帝(ホーリーロード編)
夜、遅いからという理由で、フィフスセクター本部内の客室で夜を明かした。
しかし、いろいろなことがありすぎて、寝つけなかった。
「協力って、何をするんだろう?」
などとうわごとを言っていた。
「松風、引き返すなら今の内だぞ」
寝付けないでいると、反対側で横になって眠っていた剣城が声をかけてきた。
「もう、引き受けた以上は引き返せない。お前に『未来』はない」
「……わかってるよ。でも、俺、あきらめたくないんだ。みんなで楽しくサッカーできることが。俺にはできなくても、みんなにやってもらいたい。そういう剣城はどうなの?」
反対側にいる剣城に声をかけた。
「……」
手を握って、彼は答えなかった。
「俺はなくすものがないからな。別にどうなっても構わない」
「……そう」
剣城の言い方に何か引っかかるものを感じたが、剣城にも事情があるのだろう。天馬はそれ以上は言わなかった。
「ねえ、一緒にサッカーしようよ」
何故か、誘ってしまった。
「お前のような弱小な奴とはやらん」
そういって、反対方向を向いた。
「そう……絶対楽しいと思うのになぁ……」
同時に疑問になっていたことを投げかけた。
「ねえ、シードってさぁ、何をすればいいの?」
「別に、普通にしてればいい」
応えはあっけないものだった。
「普通に?」
「何かあれば、聖帝の勅命が下る。動くのはその時だけでいい」
「そう……いうものなんだ……わかったよ、ありがとう」
そういって、天馬は眠った。
ある程度時間が過ぎ、剣城は体を起こして、天馬を見た。
「何故こいつが……」
革命の始まり、そして、今は同じ聖帝の協力者。
ことの始まりにいつも、松風天馬が中心にいる。それが疑問で仕方なかった。
その剣城の声は天馬には届かなかった……。
作品名:<メモ>BLACK AVATAR 作家名:るる